フシギなTV

知るほど、なるほど、身近なフシギ。
生物学者の福岡伸一先生が、生物学にとどまらず、
自然や環境、歴史にアート、
さまざまなジャンルの疑問を科学の視点で解明します。

フシギなTV CAST

  • ミッシェル遥身近なフシギに興味を持つ
    好奇心旺盛な女の子。

  • 福岡伸一ハカセいつもフシギを解明
    してくれる頼れる博士。

  • クロコくんフシギ解明のヒントを
    くれるナビゲーター。

#04

昨日と今日のあなたは違う!?

September 10, 2021

ハカセからのコメント

人間の身体は約37兆個もの細胞でできています。細胞はたえず消滅しつつ、たえず生成されています。たとえば消化管の細胞は2〜3日で入れ替わります。古い細胞が剥がれ落ち、新しい細胞が押し上げられて置き換わります。新しい細胞は、幹細胞が分裂することによって作られます。幹細胞は分裂するときに、DNAをコピーして新しい細胞に手渡します。細胞内でDNAがコピーされる際には、まずDNAの二重らせん構造がほどけて、2本の鎖が一本ずつになります。その一本を鋳型にして、もう一本が合成され、二重らせんが二組できます。これが新しい細胞に分配されるのです。細胞の中では、DNAをほどく酵素やDNAを合成するポリメラーゼ酵素など、複雑な仕組みが働いて、DNAがコピーされます。

生きている細胞の中でしかコピーできなかったDNAを試験管の中で人工的に素早くコピーする画期的な技術が1980年代に開発されました。これがPCR法です。PCRとはポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略称です。PCR法を発明したのは、キャリー・マリスという人で、もともとサーファーだったという変わり種の科学者でした。PCR法は、ウイルス検査の他、親子鑑定やDNA指紋法(犯行現場から採取された髪の毛などからDNAをコピーし、犯人を突き止める方法)、ゲノム研究などに広く応用されています。

ところで、細胞はなぜ常に入れ替わっているのでしょうか。それはエントロピーの増大に抵抗するためです。エントロピーとは乱雑さのこと。細胞内には老廃物が溜まったり、酸化が起きたり、タンパク質が変性したり、あるいはDNAが変異したりして、いつも乱雑さが増大しています。この流れに抵抗して生き延びるために、細胞は率先して自らを壊し、作り変えているのです。人間の社会や組織も、生物の仕組みを手本に、絶えず柔軟にリニューアルを行うことができれば、サスティナブル(持続可能)なものに生まれ変わることができるはずです。

監修:生物学者  福岡伸一

#03

まるで写真?名画に隠れたサイエンス

August 6, 2021

ハカセからのコメント

今回は17世紀、オランダの天才画家ヨハネス・フェルメールを紹介します。科学番組なのになぜ芸術(アート)?と思ったかもしれません。でも、科学と芸術は、昔も今も、方法こそ違えど、同じことを目指していると思います。この世界の美しさや生命の精妙さをなんとか表現したい、という目的です。福岡ハカセが、特にフェルメールが好きなのは、フェルメールの絵の中に科学者的なマインドを感じるからです。正確な構図、光と影、レンズの作用、カメラ的な視点。そんな科学的な要素がいっぱい含まれています。それは当時、フェルメールが暮らしていたオランダ・デルフトが文化の交差点のような都市でもあったからだと思います。フェルメールのすぐ近くには顕微鏡学者のアントニ・レーウェンフックが住んでいました。私は、レーウェンフックがフェルメールに、カメラオブスクラやレンズの作用を教えたのかもしれないと想像しています(あくまで想像です)。絵画を見ることによって、時間旅行をしたり、当時、科学と芸術がとても近い領域にあったことを感じたりできるでしょう。理系も文系も実はみんなつながっているのです。このTVでも分野にこだわらず、いろいろな側面のフシギを皆さんに紹介していきたいと思います。

監修:生物学者  福岡伸一

#02

古代の赤が復活!?

July 9, 2021

ハカセからのコメント

色シリーズの2回目は「赤」の歴史や原料について取り上げます。赤は、人類にとって最も身近で特別な色で、アルタミラ(スペイン)にある洞窟壁画にも赤色の彩色がみられます。ここで使われている「ベンガラ」は、最古の着色剤の一つで、なんと1万年以上も前の旧石器時代の人々が、鉄が酸化すると赤くなるという性質に気付き発見した赤い顔料です。日本でも縄文土器や古墳などの彩色に古くから使われてきました。そしてこのベンガラは、土(鉱物)から取れて、また土に戻るサスティナブルな材料として見直されていて、繊維やオーガニック製品の染料としても再注目されているんです。ちなみに、酸化鉄は安定していて毒性が少なく、その安全性が確認されています。先人の知恵から私たちが学ぶことは、まだたくさんありそうです。

監修:生物学者  福岡伸一

#01

見えるのに見えない!?
青色の秘密

June 24, 2021

ハカセからのコメント

私は、青という色が好きです。空の青、海の青、遠い山の青。でもこれらの青は取り出してくることができません。この青で布を染めることもできません。なぜなら空や海は青い色素で出来ているわけではなく、気体や液体の作用によって青い光が選び出されているから青く見えるだけ、つまり物質ではなく現象として青いのです。たとえば、青く輝くモルフォ蝶から青い色素を取り出そうとしてみても、同じことが起こります。青い翅をこすってみると、落ちてくる粉は黒いものになっています。羽には複雑な構造をした薄い層があり、その層自体は青くないのですが、そこに光が当たると、青い光だけが反射してくるのです。これもまた現象としての青、構造色といいます。他にも、カワセミの青い羽も構造色ですね。このように自然界には不思議な青がたくさんあります。

監修:生物学者  福岡伸一

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