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ロボットで再現!? 蝶はなぜひらひら飛ぶ?(No27 飛行)

監修:生物学者  福岡伸一 
※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

今回のテーマ「飛行」のサイエンス

鳥と蝶、同じように空を飛ぶ生き物でも、それぞれ独自の飛行法を獲得しているのです。
今回は、蝶のロボットを実際に飛ばして、鳥と蝶の飛行のしくみをひもときます。

福岡ハカセのもう一言よろしいですか?

大空を自由に飛びたい。これは太古から人間の夢でした。ルネサンス時代の天才、レオナルド・ダ・ビンチもそのひとり。手記に、鳥の飛行の様子を事細かにスケッチし、熱心に研究を進めていました。また、大きな羽がついた飛行機械の設計図を考案したりもしていました。しかし実現することはありませんでした。
鳥は飛ぶために、身体に対して十分大きな翼を持ち、かつその翼を激しく動かすために強力な筋肉を持っています(鳥の胸肉が立派なのはそのためです)。

飛行の解説図

一方、蝶の飛行法は鳥とは異なり、空気の渦を作り出してその渦に乗る、という省エネ型です。ハエや蚊、トンボなども原理的には同じ方法で飛んでいるはずですが、それぞれ独自の飛行法を獲得しており、まだまだ完全には解明できていません。

飛行の解説図

昆虫が羽を持って飛行する理由は、第一には、行動範囲を広くして、パートナーを見つけるためです。アリマキという虫は、オスにだけ羽があります。第二に、外敵から逃げること(ただし、地上の敵からは逃げられますが、鳥など空中の敵からは逃げ切れない場合もあります)、第三に、花の蜜や樹液など、広範囲に餌を求めるためです。

人間は、飛行機という大型テクノロジーを開発して、空を移動することができるようになりました。さすがのダ・ビンチもこのような未来は想像できませんでした。
さらに、昆虫のように、軽量で、小さく、自由に飛べるロボットが実現すれば、狭い空間を観測したり、たくさん飛ばして群れで情報収集したりでき、配管の内部検査や災害時の捜査などに応用できます。わずか数グラム、数センチメートルの機体に、動力や各種センサーなどを搭載することは難しかったのですが、超小型のバッテリーやモーターの登場により、昆虫の飛行を模倣する研究が進展しつつあります。

飛行の解説図

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