フシギなTV

美しくて機能的!? 自然の中のらせん(No.19 らせん)

監修:生物学者  福岡伸一 
※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

今回のテーマ「らせん」のサイエンス

貝やヒマワリの種の配列、そしてDNAに至るまで、自然の中に潜む「らせん」構造の意味や機能について紹介します。

福岡ハカセのもう一言よろしいですか?

自然は、無限のデザインリソースといえます。自然界の中のデザインを見つけ、その意味や機能を知ることで、自然への理解が深まります。また、そのデザインを人間の生活に応用することも可能になります。

皆さんは、釣りに行ったとき釣り糸が絡まって困ったことはありませんか。あるいは、ひも状のイヤホンをポケットから取り出したとき、コードをほどくのに苦労した経験があるでしょう。糸やひもは細くて長いので、互いにもつれやすくなります。自然界は、この問題を解決する画期的なアイデアを生み出しました。それが、らせんです。その代表例は、フシギなTV内でも取り上げたDNA。ヒトの細胞核の中には細い糸のようなDNAが約2メートルもぎゅっと折り畳まれています。狭い空間に、糸をコンパクトに収納し、しかも絡まったり、こんがらがったりしないよう、DNAはらせん状に巻かれています。それがまた大きならせん状になって、階層的ならせんを形成しています。これをスーパーらせん、といいます。らせんはDNAを安全にしまうための知恵なのです。

らせんの解説図

ある一定の長さの半径で、ぐるりと一周すると円になります。でも、半径の長さが少しずつ長くなりながら、円を描くとどうなるでしょう。そうです。円は外側に広がってらせん状になります。カタツムリや巻き貝は、成長とともに身体が大きくなるので、半径を少しずつ大きくしながら貝殻を作り出しています。これが結果的に、らせん状の貝殻を形成することになります。アワビのような一枚貝も、ハマグリのような二枚貝も、よくみると貝殻はらせんによって形成されていることが分かります。

らせんの解説図

皆さんは、ヒマワリの種の並び方を見たことがありますか。中心からぐるぐるらせんを描いて配列されています。このらせんはちょっと不思議な並び方をしています。時計回りにらせんを数えると、らせんの数は21本、このとき反時計回りにらせんを数えると34本あります。34本と55本、55本と89本の組み合わせもあります。
実はこの数には規則性があることにお気づきでしょうか。21+34=55、34+55=89となります。このように隣同士の数を足し合わせて、次の数になる数列をフィボナッチ数列といいます。フィボナッチ数列を最初から書くと、1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89・・・となります。ヒマワリの種がなぜフィボナッチ数列で並んでいるかといえば、限られた円の中にいちばん効率よく、隙間なく種を並べるやり方がフィボナッチ数列に従うことなのです。

らせんの解説図

皆さんも自然の中のらせん構造をいろいろ探し出して、その意味を考えてみましょう。

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