フシギなTV

面白レアメタル(No.18 レアメタル)

監修:生物学者  福岡伸一 
※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

今回のテーマ「レアメタル」のサイエンス

レアメタルとは、精製しにくい(岩石の中から取り出しにくい)金属を意味しています。
私たちの生活とは切っても切り離せないレアメタルと、希少な金属を再利用するために研究が進む都市鉱山についてご紹介します。

福岡ハカセのもう一言よろしいですか?

今回は、レアメタルについて。皆さんにぜひ知ってもらいたい科学情報なので、取り上げてみました。レアメタルとは日本語では希少金属のことです。鉄、銅、亜鉛、アルミニウムのように産業上、大量に使われる金属(これをメジャーメタル、またはコモンメタルといいます)に対して、重要ながら、流通量、使用量が少ない金属のことを指します。ですので、英語圏では、メジャーメタルに対して、希少金属のことをマイナーメタルとも言います。

レアメタルの解説図

レアとは、珍しい、貴重という意味ですが、必ずしも地球上の存在量が少ないということではなく、精製しにくい(岩石の中から取り出しにくい)ということを意味しています。

「フシギなTV」では、代表的なレアメタルのガリウムを使って、スプーン曲げのマジックをご覧にいれました。ガリウムは、電子機器にとって最重要部品である半導体の材料です。2014年のノーベル賞に輝いた青色発光ダイオードにもガリウムが使われています(赤崎勇、天野浩、中村修二の三人が共同受賞しました)。また、ネオジムやジスプロシウムは、電気自動車のモーター部品に必要な重要なレアメタルです。

レアメタルの解説図
日本ガイシの窒化ガリウムウエハー「FGAN」の詳細はこちら

貴重という意味では、金や銀といった金属も、レアですが、これらの金属は、レアメタルとは区別して、貴金属(英語ではプレシャスメタル)と呼んでいます。ネオジムやジスプロシウムは、レアアース(希土類)とも言われます。このあたりの言葉の定義は、ちょっと難しく、混乱しやすいので、無理に暗記しなくても大丈夫です。

金や銀は、指輪やペンダントなどジュエリーとして使われていますが、携帯電話やコンピューターの部品としても重要です。

番組でも触れたとおり、レアメタルも貴金属もいったん機器に使われたあと、その機器が廃棄されると、そのまま埋蔵されてしまうことになり、資源の無駄遣いになってしまいます。そこに着目したのが都市鉱山の開発です。廃棄物の中から、レアメタルや貴金属を取り出し、再利用する研究が進んでいます。しかし、これはなかなか難しい技術なのです。たとえば、ケーキやクッキーを作るとき、お砂糖を使いますよね。でもいったん混ぜてしまったお砂糖を、ケーキやクッキーの中からもう一度、取り出してくるのは大変です。これと同じことなのです。難しいことほど、成功すれば価値のあるテクノロジーになります。皆さんの中からこんな課題にチャレンジする人が出てくることを期待します。

レアメタルの解説図

ちなみに、レアメタルは、生き物にとっても必須なものがあります。マンガン、コバルト、クロム、セレン、モリブデンがそうです。この他、レアメタルではありませんが、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素も生き物にとって必要な金属です。これらの金属は、血液やホルモンの材料、細胞の中の化学反応に使われます。いずれも普通の食事をしていれば不足することはまずありません。

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