水中で輝くプラチナ卵(No.38 光の全反射)
- 調理時間2日


監修:ケーキデザイナー・芸術教育士 太田さちか、東京理科大学 教授 山本貴博 ※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社
黒いはずのススが光るのはなぜ?
ロウソクであぶってススまみれにした黒い卵を、水の中に入れると銀色に輝いて見えます。これは、水をはじく性質を持つススと、水の間に薄い空気の層ができるためです。水と空気の境界で、鏡のように光を完全に反射する「光の全反射」という現象が起きるのです。
取り出した卵の中身でカヌレをつくって、キラキラと輝く卵を眺めながら優雅なおやつの時間をどうぞ。

Science point
水になじむホルモン、なじまないホルモン
ススがもつ水をはじく性質(疎水性)の反対は「水になじむ」性質(親水性)です。疎水性と親水性という性質の違いは、私たちの体の中でも巧妙に利用されています。体内で働くホルモンには、親水性の「水溶性ホルモン」と、疎水性の「脂溶性ホルモン」があり、それぞれ特長を生かして役割を分担しています。水溶性ホルモンは、脂質でできた細胞膜を通り抜けられません。そのため、細胞表面から細胞内に働き掛け、その効果は短時間です。心拍数を上げるアドレナリンや血糖値を下げるインスリンがその一例です。一方、脂溶性ホルモンは、ターゲットの細胞内へ入り遺伝子にまで作用するため、効果は長時間続きます。このタイプには、男性ホルモンや女性ホルモンが含まれます。ホルモンが親水性・疎水性の違いによって上手に役割分担していることに、人体の不思議を感じますね。
ちなみに、1900年に世界で初めてホルモンを抽出したのは、ワシントンDCの桜を寄贈したことでも有名な高峰譲吉博士です。現在発見されている約100種類のホルモンのうち20種類以上は日本人研究者によって発見されており、医療の発展を支える礎となっています。

入射角の小さい光①は、空気層を通過して卵の殻に到達し、ほとんど反射せず吸収されるので卵は黒く見える。
入射角の大きい光②は、空気層の表面で全反射するため卵は銀色に見える。
材料

(スス卵)卵1個分
(カヌレ)直径3cmのカヌレ8個分
- 卵
- 1個
- 卵黄
- 1個分
- グラニュー糖
- 100g
- 薄力粉
- 25g
- コーンスターチ
- 25g
- バター
- 15g
- 牛乳
- 231g
- 生クリーム(乳脂肪35%)
- 30g
- バニラエッセンス
- 3滴
つくり方
- ・卵を流水で洗います。
- ・薄力粉をボウルにふるいます。
- ・バターは耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジ(600W)に20秒かけて溶かします。
- ・オーブンを230℃に予熱します。
下準備
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スス卵をつくります。卵の上部と下部に、キリを使って小さな穴を2カ所開けます。上の穴からシリンジ(針のない注射器)で空気を入れて、下の穴から出てきた卵の中身をボウルで受けます。(取り出した卵液は⑤でカヌレの材料として使います)
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殻の内外を流水で洗います。
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卵の殻の穴に割り箸を差し、ロウソクの炎にかざします。殻の全面がススで真っ黒になるまで20~30分かけてあぶります。
【注意】
引火しやすい物が周囲にないかよく確かめ、火の取り扱いには十分気を付けてください。
ススを付けた直後の卵の殻も高温のため、やけどに注意してください。 -
卵の殻の粗熱がとれたら、水を入れた透明な容器内に沈めて、光の入射角度による色の変化を観察します。
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取り出した卵液を利用してカヌレをつくります。①のボウルの全卵に、卵黄1個分とグラニュー糖を加えて、泡立て器で混ぜ合わせます。滑らかになったら薄力粉とコーンスターチ、バターを加えて混ぜ合わせます。
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鍋に牛乳と生クリームを入れて火にかけ、人肌程度に温めたらボウルに加えます。バニラエッセンスを加えてラップをし、冷蔵庫で一晩休ませます。
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カヌレ型の8分目まで流し入れ、230℃に予熱したオーブンで1時間焼きます。カヌレ型から取り出して粗熱を取ります。
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注意事項
- 必ず手順を読んでから調理を行ってください。
- 調理器具、特に火気などの取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
- 小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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