フシギなTV

青い血?銅ってどうなの!?(No34 銅)

監修:生物学者  福岡伸一 
※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

今回のテーマ「銅」のサイエンス

加工しやすく、導電性が高い銅は身の回りのさまざまなものに使われていますが、私たち生き物の体の中でも重要な役割を果たしています。

福岡ハカセのもう一言よろしいですか?

銅は、英語ではcopper、その語源は「キプロス島」(ラテン語でcuprum)です。この名は、地中海に文明を築いたフェニキア人がキプロス島で銅を採掘していたことに由来すると言われています。

自然界にそのまま産出し、比較的低温で加工が可能だった銅は、鉄に先行して人類が最初に利用できた金属でした。農具や工具、あるいは狩りのための道具、武器として使われました。
また、銅は世界中で大量に産出され、他の金属を加えると、より固くなったり、さびにくくなったりするので広く使われてきました。これを銅の合金といいます。銅とスズの合金を青銅といい、ニューヨークにある自由の女神も青銅でできています。その他にも銅とニッケルの合金である白銅もあり、いずれも耐久性が増し、色や輝きも異なります。合金のバリエーションが多いのも銅の特性です。

銅の解説図

銅のもうひとつの特性は、電気を非常によく通すことです(導電性が高い)。そのため電気が主要なエネルギー源となった現代社会では、電線や電気のコード、電気機械の回路などに広く銅が使われるようになりました。導電性では銀の方が優れていますが、価格は銅が圧倒的に安いので経済的なのです。銅は、廃棄された電気製品、電線などから簡単にリサイクルすることが可能です。環境のことを考えるとき、銅のリサイクルは今後ますます重要な施策となります。

銅の解説図

銅は金属としてだけでなく、生命現象にも必須の物質です。
水の中で電気を帯びた状態の銅原子、つまり銅イオンとなって、エビやイカなどでは酸素を運ぶためになくてはならない血の成分「ヘモシアニン」となっています。また、私たちヒトの細胞の中でも、ミトコンドリアの中の酵素や、コラーゲンを作る酵素などに銅イオンが必要です。なので、一日に1mg程度の銅の摂取が推奨されています。さきほど説明したエビやイカをはじめ、銅イオンはさまざまな食材に含まれているので普通の食生活をしていれば不足することはありません。
硬貨や芸術・文化、電線などに加え、銅イオンとしても銅はわたしたちにとってなくてはならない金属なのです。

銅の解説図

日本ガイシの解決テクノロジー「銅の超合金」

このサイトが気に入ったらシェアしてください

page top