試してフシギ

光の三原色頭の中で色が混ざる!?(No.271)

頭の中で色が混ざる!? 頭の中で色が混ざる!?

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

赤・緑・青の光を順に映すと他の色が現れ、速くすると白くなりました。

そうなんだ!

透明な円板に赤・緑・青の3色のセロハンを貼り、回転させながら白色ライトで照らして白い壁に色を映します。 円板をゆっくり回すと赤・緑・青が順番に映りますが、回転を速くしていくと、3色の間に黄色・赤紫色・青緑色が現れ、さらに速くすると色がなくなり白になってしまいました。光の色は赤・緑・青の3色しかないのに、どうして他の色が見えるのでしょう。
存在しないはずの色が見えたのは、頭の中で色が混ざったからです。人間の目の色を感じるセンサー(細胞)は、赤・緑・青の3色にしか反応しません。そのため、赤・緑・青を光の三原色といい、この3色の光だけですべての色を認識することができます。
赤と緑が混ざると黄色、赤と青では明るい赤紫色(マゼンタ)、青と緑では明るい青緑色(シアン)、3色が混ざると白になります。
これを加法混色といいます。一方、目のセンサーで光をとらえてから脳が認識するまでには、わずかに時間差が生じるので、光の変化が非常に速いと、先に見た光の残像が次に見た光と重なり、頭の中で加法混色が起こってしまうのです。

①白い紙(B5程度) 1枚
②コンパス
③透明下敷き
④細い油性マーカー
⑤赤・緑・青の色セロハン (15cm×15cm) 各1枚
⑥テープのり
⑦ストロー 1本
⑧竹ぐし 1本
⑨LEDライト 1個
⑩ブックエンド 1個
・定規
・はさみ
・カッターナイフ
・セロハンテープ
・白い壁などのスクリーン

実験で使用した材料の詳細

・油性マーカー ゼブラ マッキー 細字/極細 黒
・透明下敷き DAISO A4サイズ下敷き 透明
・色セロハン トーヨー 教育セロファン 5色・12枚入 約15×15cm
・テープのり DAISO テープのり 使い切りタイプ クリア 超強粘着 テープ幅6mm 長さ8m
・LEDライト DAISO 明るいランチャーライトメタリック(1LED)
・竹ぐし DAISO あじわい 竹串 18cm 150本入
・ストロー DAISO ペーパーストロー(ホワイト)40本入 約 直径6mm×120mm
・ブックエンド DAISO ブックエンド No.62 13.5cm×20cm×10cm

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    コピー用紙にコンパスと定規で図のような下絵を描きます。

  • 2

    透明下敷きを①の上に重ねて円形をマーカーでなぞります。はさみで円形を切り抜き、中心にコンパスで穴を開けます。

  • 3

    色セロハンを①の上に重ねてマーカーでなぞり、扇形を2枚切り抜きます。
    各色同様にします。

  • 4

    透明な円板にテープのりをつけ、色セロハンを貼ります。色を濃くするため裏側にも同じように貼ります。

  • 5

    ストローでストッパーを2つ作ります。

  • 6

    ブックエンドにストローを貼りつけます。円板などを図の順番で竹ぐしに通し、回転するようにします。

  • 7

    竹ぐしにセロハンテープを巻きつけ補強します。図の位置にライトを固定します。

  • 8

    部屋を薄暗くし、ライトを点灯して白い壁などに映します。竹ぐしを持って円板を回し、映る色を観察します。

実験を成功させるコツとヒント

・色セロハンは製品によって濃さが異なります、薄すぎる場合は3枚重ねにして試してください。
・最初はゆっくり回し、少しずつ回転速度を上げてください。肉眼では中間の色が見えにくいので、回転が速すぎると、すぐに白く見えてしまいます。

人間の目は、どのように色を見ているのだろう

人間の目の色を感じるセンサー(細胞)は、赤に反応するもの、緑に反応するもの、青に反応するものの3種類です。目に光が入ると、それぞれのセンサーが赤・緑・青の光の強さを感知し、脳にデータを送ります。データを受け取った脳は、3色の割合を計算して、何色か判定します。たとえば、強い赤の光と緑の光が同じくらいなら黄色、少し弱めの赤と青の光なら紫といった具合です。光は重ねるほど明るくなるので(加法混色:No.138「光の足し算 引き算」参照)、赤・緑・青すべてを混ぜるほど、最も明るい白に近づき、どの光もないときは黒になります。一方、絵の具は、その色以外の光を吸収するので、混ぜれば混ぜるほど暗くなります(減法混色)。

動物や虫は、人間と同じ色を見ているの?

人間が見える光を可視光線といい、赤から紫までの範囲です。赤より波長の長い赤外線や、紫より波長の短い紫外線は見えません。人間の色を感じるセンサーである3種類の視覚細胞は、紫から赤までの波長の光に反応し、それ以外の波長の光には反応しないからです。
それでは人間と一緒に暮らしているイヌやネコはどうでしょう。霊長類以外の多くの哺乳動物は、赤と青に反応する2種類のセンサーしか持ちません。そのため、見える色の範囲は人間とおおよそ同じですが、2種類の光でつくられる色の少ない世界を見ています。
ミツバチなどの昆虫は、反応する光の範囲が少し異なるものの人間と同様に3種類のセンサーを持ちます。花の色も見分けているといわれ、私たちが見るようにカラフルな世界を見ている可能性があります。そして、鳥類はさらに広い範囲に反応する4種類のセンサーを持ちます。その1つは紫外線領域までカバーするので、もはやどんな世界を見ているのか人間にはイメージできません。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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