試してフシギ

重さ空気をよむてんびんばかり(No.269)

空気をよむてんびんばかり 空気をよむてんびんばかり

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

てんびんにつるした2つのボトルの一方に空気を詰めると、つり合いがくずれました。

そうなんだ!

てんびんばかりに、2個のペットボトルをつり合いがとれるようにつり下げます。一方のボトルにポンプで空気を詰め込むと、つり合いがくずれて重くなったことを示しました。ボトルの中に入っているのはどちらも空気。 しかも同じ体積なのに、どうして片方だけ重くなったのでしょう。空気にも質量があることは、以前の実験でも確かめました(No.257「かたまりの空気は超パワフル」参照)。
今回の実験では、ポンプで強制的に空気を詰め込み、ボトルの中の空気の密度を高めました。空気のような気体は、圧力が変化すると密度も変化しやすい性質があります。そのため、同じ体積でも密度が高くなって質量が大きくなったのです。しかも、ボトルをつるしているてんびんばかりは、簡易な構造であっても、非常に小さい重さまで、かなり正確にはかれる装置です。
空気の密度の違いによる、わずかな質量の変化まで示してくれました。

①炭酸飲料の保存キャップ(空気注入式のもの)
②炭酸飲料のペットボトル(500mL)2本
③糸
④1cm角程度の角棒(90cm) 1本
⑤竹ひご 2本
⑥目玉クリップ(小) 1個
⑦定規か目盛りを描いた紙
⑧1円玉
・セロハンテープ
・机などの台
・本などの重し

実験で使用した材料の詳細

・炭酸飲料の保存キャップ SALUS SODA CAP ブルー
・角棒 DAISO 工作材料 S-6 角棒
・竹ひご DAISO 竹ひご 約3φ×360mm 20本入
・目玉クリップ DAISO 目玉クリップ シルバー 挟口20mm 14個
・定規 クツワ アルミ定規(15cm)シルバー

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    1本のペットボトルのふたをはずし、保存キャップを装着します。取りはずしができるように、長さ30cmの糸を図のように結び付けます。

  • 2

    残りのペットボトルに長さ30cmの糸を結び付け、糸の端を小さな輪にします。

  • 3

    手順1の糸を角棒の端に結び付け、ずれないようにセロハンテープで固定します。

  • 4

    角棒の反対の端に竹ひごの1本をテープで固定します。

  • 5

    角棒の端から約40cmの位置に目玉クリップをはさみます。

  • 6

    残りの竹ひごを机などに重しで固定し、クリップの穴を通します。

  • 7

    手順2のペットボトルを角棒につるし、角棒が水平になる位置にテープで固定します。
    竹ひごの先端の変化がわかるように定規などの目盛りを取り付けます。

    ※このとき、一方のペットボトルに1円玉(約1g)を乗せると、竹ひごの指す目盛りの変化量から、一目盛りのおおよその単位がわかります。

  • 8

    保存キャップをつけたペットボトルをはずし、キャップを40回押します。ボトルを角棒に戻し、竹ひごが指す目盛りの変化を確かめます。

実験を成功させるコツとヒント

・炭酸飲料の保存キャップは、なるべく小型で軽量なものを使い、空気が漏れないようにしっかりねじ込んでください。
・ペットボトルをつるす位置など、空気注入の前後でてんびんの条件が変わらないように注意してください。

ペットボトルに詰め込んだ空気の量をはかってみよう

ペットボトルに空気を詰め込むと、確かに重くなることがわかりました。それでは、この実験で詰め込んだ空気の量はどれぐらいなのでしょう。気体を水と置き換えて集める「水上置換法」というやり方ではかることができます。まず、2Lのペットボトルとじょうごを用意します。浴槽などの深さのあるものに水をため、2Lボトルに水をいっぱいに入れて口を水中に沈めます。実験で空気を詰め込んだボトルも水中に沈め、じょうごをセットした2Lボトルの口の下で保存キャップをはずして中の空気を移します。小さなボトルの空気が全部移ったら、水中で2Lボトルにふたをして取り出します。ボトルの中の水の量をはかって2Lから引き、さらにもともとの500mLを引けば、詰め込んだ空気の量がわかります。

重さと質量はどうちがうの? 空気にはなぜ重さがあるの?

実験の説明で使った「重さ」と「質量」はよく似た意味合いの言葉ですが、科学でははっきり区別して使います。質量とは、物体そのものの量を指し、常に一定の値です。一方、重さとは、物体にはたらく重力の大きさを指し、その場所の重力によって変化します。同じ「質量」の物体でも、重力が地球の約1/6の月面では「重さ」は地球の約1/6になり、重力がほとんどゼロの宇宙空間では「重さ」もほとんどゼロになります。
空気に重さがあるのは、空気が質量を持つ分子(原子)からできているからです。空気は約21%の酸素、約78%の窒素、その他の約1%の気体が混ざったもので、それぞれの気体の分子を構成する原子には、それぞれ質量があります。ペットボトルに多くの空気を詰め込むと密度が高くなり、気体の分子(原子)の個数が増えるので重くなります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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