なんでだろう?
本当は白い模様の黒い牛。ある条件で見ると白黒逆転します。
そうなんだ!
ある条件とは、光の条件です。実験で使う黒い牛と白い模様は別々に紙で作り、重ね合わせて見ています(写真①)。
左の写真は、明るい部屋で見ているのに対し、右の写真は、部屋を暗くして黒い牛だけに強い光を当てて見ています。
同じものでも部屋の照明や光の当て方を変えることで違う色に見え、極端な場合には、白黒が逆転してしまうのです。
それではなぜ、こんなことが起こるのでしょう? 私たちが自ら光らないものを見るときは、ものに当たって反射した光が目に届き、明暗や色彩を感じとっています。黒い紙でも実際はわずかに光を反射します。部屋を暗くして黒い紙の牛に光を当てると、さらに黒い背景との対比で白く見えます。反対に白い紙の模様でも、光が当たらないと黒く見えてしまいます。
写真①
1. 黒い色画用紙 1枚
2. 白い画用紙 1枚
3. ダブルクリップ(中)2個
4. LEDタイプの懐中電灯
5. 黒い布または黒いビニール袋
・定規
・コンパス
・はさみ
・セロハンテープ
実験で使用した材料の詳細
・黒い画用紙 大創産業 色画用紙 / くろ(10枚入)
・白い画用紙 大創産業 色画用紙 / しろ(10枚入)
・ダブルクリップ アスクル ダブルクリップ ブラック 中
・LED懐中電灯 三菱電機 懐中電灯CL-4601
・黒い布 大創産業 フェルト 黒(70×60cm)
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
黒い画用紙を直径7cm、白い画用紙を直径5cmの円形に2枚ずつ切り抜きます。
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2
ダブルクリップのつまみを伸ばし、①の円板を2枚重ねてセロハンテープで貼りつけます。
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3
黒い色画用紙の残りで長さ10cmの筒を作り、懐中電灯にかぶせます。
※筒の直径は懐中電灯に合わせてぴったりのサイズに調節します。
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4
壁などに黒い布を貼り、布から30cm以上離して図のように2つの円板と懐中電灯を置きます。部屋を暗くして懐中電灯の光をつけ、黒い円板がどう見えるか観察しましょう。
※なるべく黒い円板だけに光が当たるように懐中電灯の位置や角度を調整してください。
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5
白い円板を横に移動させ、黒い円板に重ねたときの見え方を観察しましょう。
実験を成功させるコツとヒント
・照らす範囲が調節できる懐中電灯では、範囲を狭くして実験してください。また、どうしても光が広がってしまう場合は、黒い紙筒を長くするか、先を少し絞ってみてください。
素顔の月はどんな色? 月の色と光について考えてみましょう。
晴れた夜空に昇った月は、青みや黄みを帯びて白く輝いて見えます。でも、アポロ計画で持ち帰った月の石は黒っぽい印象です。本当の月は何色なのでしょう?
月は自らは光らず、太陽の光を反射する天体です。地球からの観測や月面探査によると、月の表面の大部分は、地球の火成岩に近い黒っぽい岩石や砂でおおわれているようです。月は太陽系の天体の中でも光の反射率が低く(地球の約1/3)、かなり暗い星なのです。しかし、真っ暗な宇宙空間を背景にして太陽の光を反射すると、比較的距離の近い地球からは、ほとんど白い色に見えます。
また、月はもともと太陽光のうちの赤い光をよく反射します。普通なら赤っぽく見えるはずなのですが、人間の目は月のような弱い光では、赤色よりも青色を強く感じる傾向があります。そのため、月の光は青い光に見えるのです。
人間は眼と脳でかしこく色を見ます。でも、混乱することも。
日常生活では、多少暗くても明るすぎても、白いものは白く、黒いものは黒く見えています。また、信号や毎日見る看板など、他の色もおおむね本来の色で認識できています。一見、今回の実験と矛盾しているようですが、これは人間の視覚の巧妙なはたらきによるもので、色の恒常性といいます。
私たちがものを見るときは、眼の網膜に映った像をそのまま見ているわけではありません。眼と脳の共同作業でものを見ています(No.202参照)。色を認識するときも、脳は正常に見えている周囲の色や、過去に習得した知識から正しい色を推測して見ているのです。そのため、影になったり強い光が当たったりしていても、本来の色で認識できます。ただし、正しい色を推測する手がかりがない場合は脳が混乱してしまい、本来とは異なった色に見えてしまうことがあります。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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