おいしいフシギ

注ぐと凍る、衝撃ソーダ(No.4 過冷却)

  • 調理時間225分
注ぐと凍る、衝撃ソーダ 注ぐと凍る、衝撃ソーダ

監修:ケーキデザイナー・芸術教育士 太田さちか、東京理科大学 教授 山本貴博 ※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

ショックで凍りつく!フローズンドリンク

冷凍庫で静かに動かさず、ゆっくり冷やしたソーダ水を冷たいグラスに注ぐとみるみる凍って、しゃりしゃりのシャーベットに早変わり。好きな色のシロップを組み合わせれば、オーロラのように美しい、カラフルなグラデーションもつくれます。削ってつくるかき氷とはひと味違う、自分だけのフローズンドリンクを楽しんじゃおう!

Science point

0℃以下でも凍らない水

水は0℃になると凍りますが、ゆっくり、揺らさずに静かに冷やすと、マイナス10℃以下でも凍らず、液体のままの状態が続くことがあります。これを「過冷却」といいます。
過冷却の水に、氷のかけらや衝撃など、凍るきっかけを与えると一瞬で凍ります。今回のレシピでは、グラスに注ぐときの衝撃によって水の一部が凍り、そのとき生まれた小さな氷が核となって一気にシャーベット状になったのです。

過冷却のコントロールはとても難しいのですが、このレシピではソーダ水をよく振って圧力を高めたり、シロップを混ぜたりして凍る温度を下げ、過冷却状態をつくりやすくしています。

雲の中にも凍らない水がある

過冷却状態の水は、雲の中にもあります。気温は高度が高くなるほど下がるため、上空で0℃以下となった雲の中には、過冷却状態の水の粒が多く含まれます。上昇気流でさらに上空の冷たいところに移動すると、小さな氷の粒となって周りの水蒸気や氷と合体するという、今回のシャーベットのような現象が起きます。こうして合体した氷のまま落ちてきたのが、雪の正体です。地上の気温が高く、氷が溶けて水の状態で落ちてくると雨になります。また、過冷却状態となった水の粒が大量にあると大きな氷となり、霰(あられ)や雹(ひょう)として降ってきます。
雲の中に、凍るきっかけとなる核を外から入れることができれば、雨や雪を意図的に降らせることができると考えられています。これは「人工降雨」や「人工降雪」と呼ばれている研究テーマで、1940年代ごろから世界中で実験が行われています。現在は、核として「ヨウ化銀」という物質を雲の中にまく方法があります。実用化されれば、雨が少ない地域や時期の水不足解消に貢献できると期待されています。また、スキーなどの冬季スポーツで雪不足の心配をすることがなくなるかもしれません。

まだまだ知らない、身近な水の性質

水は身近な物質でありながら、科学者にとっては最もフシギな物質の一つとも言えます。過冷却水の温度をさらに下げて、液体のまま凍らせずにマイナス100℃程度になると、2種類の異なる状態が存在することが理論的に予測されています。ある一定の圧力より高い条件下で存在する「高密度水」と、圧力が低い条件下でできる「低密度水」です。さらには、常温・常圧の水も、実はこの二つの状態が入り混じった液体であるとも考えられるのです。
この予測通り、水が2種類の異なる構造の混合液であることが実証されれば、いまだ謎に満ちた水の性質を、うまく説明できるかもしれないといわれています。例えば、一般的に物質は冷やすほど密度が大きくなるのに、水は4℃で最も密度が大きくなり、さらに温度を下げて氷になると逆に密度が小さくなります。このように、よく知られていながら科学的に解明されていない謎が、水には数多くあるのです。
しかし、過冷却水がほんの少しの衝撃で氷になってしまうように、高密度水も低密度水も一気に凍ってしまうため、二つの水の存在を実験で確認するのは非常に困難でした。
ところが最近、日本の研究機関が結晶化しにくいトレハロース水溶液を使い、高密度水と低密度水が確かに存在することを実証したのです。水の性質の解明につながるのではないかと期待されています。

完成品のイメージ画像

2人分

炭酸水 500ml入りペットボトル
2本
かき氷シロップ(ブルーハワイ)
10g
かき氷シロップ(いちご)
10g

つくり方

下準備

  • ・グラスを冷凍庫で冷やしておきます。
  1. 炭酸水のペットボトルのふたを開け、かき氷シロップ(ブルーハワイ、いちご)をそれぞれ10gずつ入れて、しっかりふたを閉めます。

    作成中のイメージ画像

    Science point

    シロップを混ぜた炭酸水は、水よりも凍りにくくなり、冷凍庫で過冷却の状態にしやすくなります。

    Cooking point

    ふたがゆるんでいると、中身が飛び出し危険です。冷凍庫内で液漏れする可能性もるため、しっかりふたを閉めましょう。

  2. ふたをしたペットボトルをよく振ってから冷凍庫に入れて3時間半冷やします。

    作成中のイメージ画像

    Science point

    ペットボトルをよく振ると、炭酸水に溶けていた二酸化炭素が抜けて、ボトル内の圧力が高まります。水は気圧が高くなるほど凍りにくくなるため、過冷却状態をつくりやすくなります。

    Cooking point

    冷やす時間は目安です。冷蔵庫内の場所や設定温度などに左右されるため、何度か試して時間を調整してください。長時間冷凍するとペットボトルが破裂することがあります。中身が凍って実験に失敗したペットボトルは、すぐに冷凍庫から出してください。

  3. 冷凍庫から冷やしたグラスとペットボトルを取り出し、ペットボトルのふたを静かに開けます。
    手から伝わる熱を和らげるため、ペットボトルをタオルで包み込みながら、ゆっくりふたを開けます。

    作成中のイメージ画像

    Science point

    炭酸水がまだ凍っていないことを確認して、冷凍庫から取り出してください。

    Cooking point

    冷蔵庫から取り出すときやふたを開けるとき、振動を与えると中身が一気に凍ってしまいます。そっと静かに取り扱いましょう。

  4. グラスに③をブルーハワイ、いちごの順に注ぎ入れます。
    ペットボトルから出る時は液体ですが、グラスに注ぎ入れるとシャーベット状に変わるため、色が混ざらずに美しいグラデーションをつくることができます。

    作成中のイメージ画像

    Science point

    過冷却状態の液体が、グラスに注がれる衝撃で凍る様子を確認しましょう。

  5. 完成

    完成品のイメージ画像

注意事項

  • 必ず手順を読んでから調理を行ってください。
  • 調理器具、特に火気などの取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
  • 小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
  • NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
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