何が映る? MIRROR CAKE(No.39 鏡)
- 調理時間230分


監修:ケーキデザイナー・芸術教育士 太田さちか、東京理科大学 教授 山本貴博 ※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社
フランス発祥のお菓子技法「グラサージュ」
チョコレートに砂糖やゼラチンを加えてつくる、つややかな「グラサージュショコラ」でケーキをコーティングすると、まるで鏡のようなスイーツに変身します。表面が平らで滑らかなため、入射光を同じ角度で反射し、鏡のような効果を生み出すのです。グラサージュはフランスの伝統的なお菓子づくりの技法で、つややかな鏡面の下には、ふんわりとしたムースが隠れています。繊細な光沢と、口どけの違う二つの食感。笑顔まで映りそうな、特別なデザートの完成です。

Science point
鏡の国の科学
左右がひっくり返っているように見える鏡の世界ですが、右手で東を指せば、鏡の中の自分も同じ東を指します。頭と足もひっくり返りません。一方、北に置いた鏡に向かって歩くと、鏡の中の自分は南へ進みます。鏡の中の世界では、上下はひっくり返らず、前後がひっくり返っていると考えられるのです。
このような鏡の世界を題材にした物語の一つに、イギリスの数学者ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」があります。その中で、主人公のアリスが「きっと鏡の国のミルクはおいしくない」と言います。本当でしょうか?ミルクの成分である乳糖やアミノ酸には左右非対称な構造が多く、ほとんどが左型(L型)といわれるものです。それらを鏡に映すと、こちらの世界とは異なる右型(D型)構造になります。L型とD型を鏡像異性体といい、これらはしばしば異なる味を示します。ミルクにはさまざまなアミノ酸が含まれているため、アリスが言ったように、鏡の国のミルクはおいしくない可能性もありますが、人によってはとびっきりおいしいかもしれません。まさに、鏡の国の“おいしいフシギ”なお話ですね。
さて、物理学者たちは長年、空間が反転した鏡の中の世界でも物理の法則は変わらず、私たちの世界と同じように物事が起こると考えていました。ところが1957年、自然界を支配する4つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)のうち、素粒子の間にはたらく「弱い力」が関与する現象ではこの法則が破れることが発見されました。鏡の中の世界と私たちの世界が同じ自然法則でできていると思い込んでいたのは、私たちが目で見る大抵の自然現象は重力と電磁気力によって生じているからです。ミクロな素粒子の世界は私たちの常識を越えた世界なのです。

材料

1台分(6号サイズ)
<ムース>
- 卵黄
- 3個
- グラニュー糖
- 45g
- 牛乳
- 150g
- 顆粒ゼラチン
- 11g
- ホワイトチョコレート
- 225g
- 生クリーム
- 70g
<ゼリー>
- 水
- 125g
- ベリーピューレ
- 5g
- アガー
- 5g
- グラニュー糖
- 10g
<グラサージュ>
- 水
- 50g
- グラニュー糖
- 145g
- 水あめ
- 150g
- 生クリーム(乳脂肪分48%)
- 100g
- 顆粒ゼラチン
- 12g
- ホワイトチョコレート
- 150g
- フードカラー(オレンジ)
- 少量
- スポンジケーキ 6号(市販)
- 3分の1枚
つくり方
- ・ケーキ型(直径18cm)にクッキングシートを敷きます。
- <ムース>
- ・生クリームを泡立てます。
- <ゼリー>
- ・アガーとグラニュー糖を混ぜ合わせます。
下準備
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<ゼリーをつくる>
鍋に水とベリーピューレを入れて中火にかけます。アガーとグラニュー糖を混ぜ合わせたものを、少しずつ振り入れながら泡立て器で優しく混ぜ溶かします。一煮立ちしたら火を止めます。 -
ゼリー型(直径10cm)に流し入れ、冷蔵庫で30分冷やし固めます。
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<ムースをつくる>
ボウルに卵黄とグラニュー糖を入れ、泡立て器で混ぜ合わせます。 -
牛乳を耐熱容器に入れて電子レンジ600wで60秒加熱します。ゼラチンを加えて混ぜ溶かしたら、③に加えて混ぜ合わせます。
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湯せんで溶かしたホワイトチョコレートを加え、ゴムベラで全体が滑らかになるまで混ぜ合わせます。泡立てた生クリームを加え、ゴムベラで泡が見えなくなるまで混ぜ合わせます。
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型(直径18cm)にムース液を半量流し入れ、冷凍庫で20分冷やし固めます。ゼリーをのせて、残りのムース液を流し入れます。その上にスポンジをかぶせて冷凍庫で2時間凍らせます。
冷凍してつくることで型から取り出しやすくなります。
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<グラサージュをつくる>
鍋に水とグラニュー糖、生クリーム、水あめを入れて中火にかけて混ぜ合わせます。鍋を火から下ろし、ゼラチンを加え混ぜ溶かします。 -
湯せんで溶かしたホワイトチョコレートを加えてブレンダーで滑らかになるまで混ぜ合わせたら、3分の2の量を容器に取り分け、フードカラーを加えて着色します。グラサージュを人肌程度の温度(約35℃)になるまで冷まします。
グラサージュの温度が高すぎるとすぐ流れ落ち、低すぎると広がる前に固まってしまいムラができます。ホワイトチョコレートの融点より少し高い約35℃のグラサージュを流すことで、ケーキ全面を美しくコーティングできます。
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バットに置いたケーキクーラーの上に、ムースケーキをスポンジのある面を下にしてのせます。オレンジ、ホワイトのグラサージュを素早く交互にケーキの中央から流し込みマーブル模様をつくります。室温で30分ほど解凍します。
チョコレートが冷えて結晶化すると光沢を持つようになります。
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注意事項
- 必ず手順を読んでから調理を行ってください。
- 調理器具、特に火気などの取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
- 小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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