おいしいフシギ

ステンドグラステリーヌ(No.37 量子ドット)

  • 調理時間110分
ステンドグラステリーヌ(No.37 量子ドット) ステンドグラステリーヌ(No.37 量子ドット)

監修:ケーキデザイナー・芸術教育士 太田さちか、東京理科大学 教授 山本貴博 ※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

神秘的なガラスをゼリーで再現

板ガラスが普及し始めた西暦400年ごろ、ヨーロッパで広がったといわれるステンドグラス。色とりどりのガラスが太陽の光を受けると、神秘的な美しさが広がります。まるで教会のステンドグラスを写し取ったようなテリーヌをつくってみましょう。テリーヌとはフランス語で「容器」の意味で、長方形の器に具材を入れてつくる料理です。ゼリーが完成したら光にかざし、じっくり鑑賞してからどうぞ。

容器を傾けながら冷やし固めていく

Science point

ステンドグラスの色を解明した「量子力学」とは

色ガラスは、ガラス原料に金属や金属の化合物を溶かしてつくられます。例えば、黄金色の「金」を高熱のガラスに溶かし込むと赤色のガラスができ、銅を加えると青色のガラスができるのです。混ぜる前の金属色とは全く異なる発色をするこの不思議な現象は、量子力学の誕生によって、20世紀にようやくその理由が解き明かされました。

量子力学とは、目に見えない電子や分子レベルのミクロな世界におけるルール(自然法則)であり、そのようなミクロな世界では私たちが五感で感じる日常の世界とはかけ離れた現象も起こります。色ガラスの中に溶けている金の微粒子は数十から数百ナノ(10億分の1)メートル。この極めて小さな粒子は「量子ドット」と呼ばれます。
色ガラスに光を通すと、たくさんの電子を含む金の量子ドットに光が当たり、エネルギーを受け取った電子たちが集団で一斉に激しく振動します。このとき吸収する波長は量子ドットの粒子サイズによって異なり、金は緑の光を吸収するため、私たちの目には緑の補色である赤が届くというわけです。ステンドグラスの神秘的な色の正体が、まさか量子力学で説明できるとは驚きですね。

金属の量子ドットだけでなく、1980年代には半導体の量子ドットが発見されました。現在では研究も進み、高輝度で高精細なディスプレーや、高効率な太陽光パネル、量子コンピューターなどへの応用が期待されています。2023年には、量子ドットの発見や合成に関与した功労者らにノーベル化学賞が贈られました。

銅で青色、金で赤色、銀で黄色、鉄で緑色など、ガラスに混ぜた金属によってさまざまな色のステンドグラスが生まれる

材料のイメージ画像

6cm×15cm×6cmの型1個分

<ホワイトゼリー>

牛乳
300g
グラニュー糖
20g
顆粒(かりゅう)ゼラチン
10g

<カラーゼリー>

200g
顆粒(かりゅう)ゼラチン
7g
グラニュー糖
10g
かき氷シロップ
(イチゴ、ブルーハワイ、メロン)
各10g

つくり方

下準備

  • ・テリーヌ型を水にくぐらせておきます。
  1. ホワイトゼリーをつくります。鍋に牛乳とグラニュー糖を入れて中火にかけます。ふつふつとしてきたら火を止めます。ゼラチンを振り入れゴムベラで混ぜ溶かします。

  2. カラーゼリーをつくります。鍋に水とグラニュー糖を入れて中火にかけます。ふつふつとしてきたら火を止めます。ゼラチンを振り入れゴムベラで混ぜ溶かします。3つの容器に等分し、それぞれかき氷シロップを加えて着色します。

  3. テリーヌ型を約30°傾けて、バットの上に固定します。ホワイトゼリー液の3分の1を、テリーヌ型へ流し入れ、冷蔵庫で約20分冷やし固めます。

    作成中のイメージ画像
  4. 同じ角度のまま、ホワイトゼリーの上に緑(メロン)のゼリー液を流し入れ、15分冷やし固めます。

    作成中のイメージ画像
  5. 型を反対側に傾けて、ホワイトゼリー液を3分の1程度流し入れて15分冷やし固めます。同じ角度のまま、赤(イチゴ)のゼリー液を流し入れて15分冷やし固めます。

    作成中のイメージ画像
  6. 同じ角度のまま、青(ブルーハワイ)のゼリー液を流し入れて15分冷やし固めます。平面に型を置き、残りのホワイトゼリー液を全て流し入れ15分冷やし固めます。

    作成中のイメージ画像

    Cooking point

    型に入れる前にゼリー液が固まってしまった場合は、電子レンジ600w10秒の加熱を繰り返し、ゼリー液を溶かしてください。

  7. ぬるま湯に1分程度つけて取り出します。ナイフで厚さ2cm程度に切り、器に盛りつけます。

    Science point

    ゼラチンはコラーゲンでできています。コラーゲンの繊維は、温めるとバラバラになる性質を持つため、人肌程度のぬるま湯につけることで型とゼリーの間に隙間ができ、ゼリーが取り出しやすくなります。

  8. 完成

    完成品のイメージ画

注意事項

  • 必ず手順を読んでから調理を行ってください。
  • 調理器具、特に火気などの取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
  • 小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
  • NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
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