スイーツ・イン・ザ・ダーク 漆黒ケーキ(No.35 炭)
- 調理時間70分
監修:ケーキデザイナー・芸術教育士 太田さちか、東京理科大学 教授 山本貴博 ※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社
竹炭が誘う黒の世界
生地に竹炭パウダーを混ぜ、ケーキを黒く染め上げましょう。生地をオーブンの熱でじっくりと焼き上げたら、竹炭パウダーを混ぜた漆黒のバタークリームの出番です。クリームに混ぜた竹炭パウダーは、竹を焼いて炭化させたもの。思わず二度見する真っ黒スイーツは、パーティーのサプライズとしてもうってつけです。
Science point
いまだ謎が多い竹
竹炭をつくるには、酸素を遮断した状態で竹を加熱する必要があります。空気を十分に供給しながら完全燃焼すれば、竹の主成分である炭素は空気中の酸素と結びついて二酸化炭素となり、最終的にミネラルだけが固体として残って灰になります。一方、酸素がない環境では、炭素が残り、炭になります。木炭も同じ仕組みでできます。
竹の繊維は非常に密度が高く、竹炭は木炭より微細な多孔質構造を持ちます。分子吸着性に優れることから、脱臭材によく利用されています。また、竹炭は高温で炭化されることで炭素の含有量が上がるため、炭素の分子が六角形に規則正しく並ぶ「グラファイト構造」を多く持つようになります。グラファイトは電気をよく通す性質があるため、竹炭は木炭より電気をよく通すのです。 発明王として有名なトーマス・エジソンもこの優れた性質に目をつけました。白熱電球のフィラメントに最適な素材として日本の京都の竹(京都府八幡市の竹林に生息する八幡竹)を選んだのです。八幡竹のフィラメントを用いた白熱電球は、連続1200時間も点灯し続けることができたため、1880年代初頭から世界中に普及しました。
竹の開花周期は約60年とも120年とも言われ、非常に珍しいイベントです。開花は前触れもなく突然始まり、一つの竹林が花を咲かせ始めると、根がつながっていない周囲の竹も一斉に開花し始め、その後一斉に枯れます。これらの理由はいまだよく分かっていません。竹で連想するものといえば、かぐや姫の「竹取物語」でしょう。その内容が神秘的で謎めいているように、科学者にとっても竹は、不思議な存在なのです。
材料
1台分(4号サイズ)
<スポンジ生地>
- 卵
- 2個
- グラニュー糖
- 50g
- 薄力粉
- 25g
- 竹炭パウダー
- 10g
- コーンスターチ
- 10g
- バター
- 20g
<バタークリーム>
- バター
- 150g
- 粉砂糖
- 300g
- 牛乳
- 大さじ2
- 竹炭パウダー
- 10g
<シロップ>
- 水50gにグラニュー糖20gを混ぜて溶かしたもの
<デコレーション>
- ブラックベリー
- 適量
つくり方
- ・薄力粉と竹炭パウダー、コーンスターチを合わせてボウルにふるいます。
- ・型にクッキングシートを敷きます。
- ・スポンジ生地用のバターは湯せんで溶かします。
- ・バタークリーム用のバターは室温でやわらかくします。
下準備
-
スポンジ生地をつくります。ボウルに卵とグラニュー糖を入れてハンドミキサーでかき混ぜます。ボウルを湯せんにかけて泡立てながら、生地を人肌程度に温めます。
卵が泡立ちやすい温度(37℃前後)にすることで、たくさんの空気を含み、スポンジ生地がきれいに膨らみます。
-
湯せんからはずし、色が白くなるまで泡立てます。生地をすくい上げ、リボン状に落ちた生地が表面に留まるくらいが目安です。
-
下準備でふるった粉類を加えて、ゴムベラでさっくりと混ぜ合わせます。溶かしバターを加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わせます。
-
型に③の生地を流し入れ、170℃に予熱したオーブンで30分焼きます。
-
生地を焼いている間にバタークリームをつくります。ボウルにバターを入れて、固さがなくなるまでハンドミキサーで混ぜます。粉砂糖と竹炭パウダー、牛乳を加えて、なめらかになるまで混ぜ合わせます。デコレーション用に3分の1程度を絞り袋に入れておきます。
バタークリームは油中水滴型(油の中に水が分散している状態)で常温でも離水しないため、きれいな形と色を保つことができます。
一方、水中油滴型の生クリームは色素を上手に抱え込めず、時間が経つと水分の影響で発色が変化しやすいです。 -
生地が焼き上がったら、平らな台の上で、15cmほどの高さから落として蒸気を抜きます。型からはずして金網の上に逆さに置き、粗熱をとります。
-
生地を3枚にスライスします。断面と側面のすべてに、ハケでシロップをまんべんなく塗ります。底になる生地の表面にバタークリームを塗り広げ、その上に2枚目の生地を重ねます。同様にバタークリームを塗り広げ、3枚目の生地を重ねたら、表面をバタークリームで覆います。
-
絞り袋に入れたバタークリームやブラックベリーで、お好みのデコレーションをします。
-
注意事項
- 必ず手順を読んでから調理を行ってください。
- 調理器具、特に火気などの取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
- 小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
- NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
- 本サイトのコンテンツ利用に関しては、本サイトお問い合わせ先までご相談ください。