スワンシュークリーム(No.30 水蒸気)
- 調理時間50分
監修:ケーキデザイナー・芸術教育士 太田さちか、東京理科大学 教授 山本貴博 ※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社
シューを膨らませる「水」の状態変化
シュー生地をオーブンで焼くと、生地の中に閉じ込められている水分が水蒸気に変化します。このとき、膨張した水蒸気が生地を押し広げるため、膨らんだシュー皮ができるのです。
スワンの首をあしらって仕上げる「スワンシュークリーム」は、膨らみ具合によって一つ一つ表情が違って見えるフォトジェニックなスイーツです。
Science point
サウナでやけどしない理由
シュー生地は、水が水蒸気に変化する際、体積が1,700倍に増えることを利用して膨らみます。実は、このような液体と気体の密度の違いは、熱の伝わりやすさや温まりやすさにも関係していて、皆さんが高温のサウナに入れる理由の一つでもあるのです。
例えば、90℃の熱湯に触れればやけどしますが、同じ温度の水蒸気に満ちたサウナに入ることはできますよね。これは、水蒸気は水よりはるかに温度が変わりやすく、皮膚との接触部が体温程度まで下がるからです。
伝熱工学の理論によると、温度差がある二つの物体AとBの接触部は、「熱伝導率が高く、温度が変わりにくい(温度拡散率が低い)物体Aの温度に近づく」ことが知られています。サウナ室内において、皮膚は物体A、水蒸気はBに対応し、その接触部は物体A(皮膚)の温度、つまり体温に近づくというわけです。
一方、液体の水は熱を伝えやすく冷めにくいので、90℃の熱湯に触れれば強く熱さを感じますし、皮膚との接触部は、計算上70℃もの高温になり、やけどします。
同じ温度でも温かさや冷たさが違って感じられる例として、銅でできた10円硬貨と紙のお札とでは、硬貨に触れた指先のほうがひんやりすることが挙げられます。
熱の伝わりやすさや、温度の変わりやすさは、物質の種類によって異なります。効率よく温まる調理器具、低温ではないのに触るとひんやりする製品など、その原理は身近なところでも生かされているのです。
材料
8個分(プレーンとブラック各4個)
<シュー生地>
- バター
- 30g
- 牛乳
- 60g
- 水
- 60g
- グラニュー糖
- 小さじ2
- 塩
- ひとつまみ
- 薄力粉
- 140g
- 卵
- 4個
- ブラックココア
- 5g
<デコレーション>
- 生クリーム(乳脂肪分45%)
- 200g
- グラニュー糖
- 20g
- ブラックココア
- 3g
つくり方
- ・バターを1cm角にカットし冷蔵庫で冷やします。
- ・薄力粉とブラックココアを、それぞれボウルにふるいます。
- ・天板にオーブン用シートを敷きます。
- ・絞り袋に丸口金(10mm、5mm)と星口金をセットします。
下準備
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<シュー生地をつくる>
鍋にバターと牛乳、水、グラニュー糖、塩を入れて中火にかけます。バターが溶けたら火を止めます。 -
薄力粉を加え、粉っぽさがなくなるまでゴムベラで混ぜ合わせます。再び中火にかけたらゴムベラで素早く混ぜ合わせ、うっすらと鍋底に膜が張ったら鍋を火から下ろします。生地の半量を、ブラックココアをふるったボウルに入れて混ぜ合わせます。
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卵2個をよく溶き、白生地に2~3回に分けて加え、その都度よく混ぜ合わせます。黒生地にも同様に、溶き卵を加えて混ぜ合わせます。
ゴムベラですくった生地が、逆三角形にゆっくり落ちるのがかたさの目安です。
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【胴体】10mmの丸口金をセットした絞り袋に、生地を4分の3程度入れます。3cmほど間隔をあけて、天板に直径5cm、高さ1cmの大きさに絞り出します。
【首】残りの生地を5mmの丸口金をセットした絞り袋に入れ、S字型に絞り出します。頭の部分は丸く絞り、生地を引っ張るように伸ばしてくちばしをつくります。 -
水をつけたフォークの背で胴体の生地の表面を丸く整えてから、格子状に筋をつけます。
生地が膨らむとき、筋に沿って均一に亀裂が入るため、いびつな形に膨らむのを防ぎます。
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霧吹きで生地の表面に水を振り掛けてから、190℃に予熱したオーブンで生地(胴体・首)を23分焼きます。
霧吹きをすることで生地の表面が先に焼けて固まるのを防ぎ、より大きく膨らみます。
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生地を焼いている間にホイップクリームをつくります。ボウルに生クリームとグラニュー糖を入れ、ボウルを氷水に当てながらハンドミキサーで泡立てます。半量にはブラックココアを加えて混ぜ合わせます。
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生地が焼けたらオーブンから取り出して、生地の粗熱をとります。
胴体の上3分の2を切り落とし、中にホイップクリームを絞ります。切り落とした生地を半分にカットし、スワンの羽に見立てて飾り、首を差し込みます。 -
注意事項
- 必ず手順を読んでから調理を行ってください。
- 調理器具、特に火気などの取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
- 小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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