おいしいフシギ

みるみるふくらむ
カラメルドーム(No.2 ボイルの法則)

  • 調理時間30分
みるみるふくらむカラメルドーム みるみるふくらむカラメルドーム

監修:ケーキデザイナー・芸術教育士 太田さちか 
※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

吹きガラスのような透明感と艶感。
まるでスノードームみたい!

ラップをかけたボウルの中央にカラメルをとろり。タイミングをはかって両手で一気にセルクルを押せば、あら不思議!カラメルが風船のようにふくらみます。デコレーションしたカップケーキにかぶせれば、ずっと眺めていたくなる琥珀(こはく)色の小宇宙のできあがり。

Science point

圧縮された空気が生み出す
大きな力
【ボイルの法則】

セルクルを押し込むとカラメルがふくらんだ理由は、空気のかさ(体積)と圧力の関係を知ると分かります。
気体には、体積と圧力が反比例する性質があり、体積を半分に圧縮すれば圧力は2倍に、体積を3分の1にすれば圧力は3倍になります(温度が同じ場合)。1662年に物理学者ロバート・ボイルによって発見されたこの法則は「ボイルの法則」とよばれています。
普段はあまり意識することのない空気の圧力ですが、平地では1cm²あたりおよそ1kg重もあります。今回のカラメルドームでは、仮にボウルの中の体積が半分になれば1cm²あたりおよそ2kg重の圧力になります。そして、高温のカラメルを流したラップは、熱によって伸びやすくなっています。そこに高い圧力がかかると、息を吹き込んだ風船のようにふくらむのです。
気体の圧力とは、自由に動き回る分子が壁などにぶつかったときの力を示したものです。体積が小さくなると満員電車のような状態になり、分子が壁にぶつかる力が大きくなる、つまり圧力が高くなります。高温で柔らかくなったラップがふくらんだのは、満員電車でドアが開いて一気に人が流れ出る様子と似ています。

ボイルの法則解説図 ボイルの法則解説図

スキューバダイビングとボイルの法則

スキューバダイビングでは、体積と圧力が反比例するボイルの法則を知っていないと大変なことになります。海の中に潜ると、水圧が強くかかって、肺の中の体積が小さくなります。そこから急浮上すると、圧力が下がって肺の中の体積が急に大きくなり、息苦しさを感じることがあります(減圧症や潜水病といいます)。それを防ぐため、肺の中の体積が大きくならないように、息を吐き続けながら浮上するように指導されています。

空気は温まるとふくらむ

加えて、空気は温まるとふくらみ、冷えるとしぼむ性質があります(シャルルの法則)。溶けたカラメルの温度は130~140℃もあるため、周りの空気があたためられ、ふくらんだのです。
ジャムなどのビンを冷蔵庫に入れておくと、容器内の空気が冷えてしぼみ、圧力が下がるため、ふたが開かなくなることがあります。そんなとき、ふたを温めれば、中の空気がふくらみ、圧力が上がるので、簡単にフタが開く、というわけです。

完成品のイメージ画像

直径5cmカップケーキ2個分

グラニュー糖
100g
20g
カップケーキ(市販)
2個

<デコレーション用>

ホイップクリーム

- 生クリーム
100g
- グラニュー糖
10g
ミント、お好みのフルーツなど
適量

つくり方

下準備

  • ・カラメルがふくらむ様子を下から観察したいときは、ガラス製の耐熱ボウルを用意してください。
  • ・耐熱温度140℃のラップを用意し、耐熱ボウルにピンと張るようにラップをかけます。セルクルで強く押してもラップが外れたり、空気が漏れたりしないように、しっかりとラップをかけてください。
  • ・ボウルの直径の半分ぐらいのサイズのセルクルを用意し、ラップをかけたボウルの中央に置いておきます。
    (今回は直径12cmのセルクルを使用)
  1. 鍋にグラニュー糖と水を入れて弱火にかけます。黄色く色づいたら鍋を回して全体の色を均一にし、カラメル色になるまで煮詰め、火から下ろします。

    作成中のイメージ画像

    Cooking point

    砂糖が結晶化してしまうため、かき混ぜないようにしましょう。鍋を回して水分を全体に行き渡らせます。

  2. 粗熱がとれたら、ラップの上に置いたセルクルの中央に、約10g(500円玉くらいの大きさ)のカラメルを注ぎます。

    作成中のイメージ画像

    Cooking point

    ハチミツの固さ程度のとろみがついたら、粗熱がとれた証拠です。
    カラメルをたくさん注ぎすぎると、広がってセルクルにくっついてしまいます。セルクルの直径の半分ぐらいを目安に、カラメルを注ぎましょう。

  3. カラメルが固まらないうちに、速やかに両手でセルクルを垂直に下方へ押します。

    Science point

    ボイルの法則によって、
    カラメルが風船のように膨らみます。

  4. カラメルがふくらんだ後もセルクルを押さえた状態を保ち、カラメルが固まるまで2~3分待ちます。カラメルが固まったら、セルクルとラップをカラメルからそっと外します。

    作成中のイメージ画像

    Cooking point

    カラメルの薄い部分は2~3分で固まりますが、底の厚い部分までしっかり固まったことを確認してからラップを外しましょう。

  5. ボウルに生クリームとグラニュー糖を入れ、氷水に当てながらハンドミキサーで泡立て、7分立てのホイップクリームを作ります。

    作成中のイメージ画像
  6. カップケーキに、⑤のホイップクリームを絞り、ミントやベリーを添えます。

    作成中のイメージ画像
  7. 完成

    完成品のイメージ画像
    ④のカラメル風船を被せます。

注意事項

  • 必ず手順を読んでから調理を行ってください。
  • 調理器具、特に火気などの取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
  • 小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
  • NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
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