透き通るステンドグラスフルーツ(No.17 ミー散乱)
- 調理時間60分
監修:ケーキデザイナー・芸術教育士 太田さちか、東京理科大学 教授 山本貴博 ※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社
甘いフルーツでビタミンチャージ
レモンやリンゴなどがたくさん手に入り、保存がきくシロップ漬けをつくった経験がある人も多いはず。実はここにもサイエンスが潜んでいます。本来、細胞膜は小さな水分子は通しても、砂糖のように大きな分子は通しません。そのためレモンを濃いシロップに漬けると、水が浸透圧により濃度の低い細胞内から抜け出します。すると、細胞膜の半透性が失われ、砂糖が細胞内に入り込み、甘いシロップ漬けができるのです。一方、煮豆の調理では、まず水だけで煮て、乾燥した豆を芯までやわらかく戻した後、数回に分けて少しずつ砂糖を入れることで、浸透圧により中まで味が染みておいしくなります。
Science point
本当の色は白か、それとも透明か
レモンをシロップで煮込むと、内皮や内果皮と呼ばれる白い皮の部分が透明に変化しました。実はこの皮の部分はもともと透明な繊維でできています。
ではなぜ生レモンのときは、白く見えていたのでしょうか?
この理由は、白い皮が微細な繊維で構成されていることにあります。この繊維1本1本に光が当たると四方八方に光が散乱します。これをミー散乱といいます。ミー散乱は細かな繊維や粒に光が当たることで発生し、白色光となって私たちの目に届くのです。ところがシロップで煮込むと繊維と繊維の間がシロップで満たされ、ミー散乱が起こらなくなります。すると本来の透明な繊維の色が見えてくるのです。ちなみに、これと同様の現象が起こっているのがおでんの大根です。ミー散乱によって白く見えていた大根が、煮込むことで繊維間が煮汁で満たされて透き通るのです。紙の原材料であるセルロースも実は透明ですが、セルロースの繊維がミー散乱を起こすため白く見えているのです。
また、本来は透明なものが、その粒径が小さいためにミー散乱が起こり白く見えることがあります。身近な例は「雲」や「かき氷」です。水や氷はもともと透明ですが、水蒸気や氷粒のように粒径が小さくなると白く見えます。透明な粒の塩や砂糖が白く見えるのもミー散乱が原因です。
材料
4人分
- 水
- 400g
- 白グラニュー糖
- 400g
- レモン
- 1個
- リンゴ
- 1/2個
- オレンジ
- 1個
- 塩
- 5g
- グラノーラ
- 200g
- ヨーグルト
- 160g
つくり方
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レモン、リンゴ、オレンジを厚さ約2mmの薄切りにします。
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レモンとオレンジは約1分湯通ししてから、水に約3分漬けます。(湯・水は分量外)
リンゴは食塩水(分量外の水300gに塩5gを混ぜたもの)に約2分漬けておきます。湯通ししてから水に漬けたり、食塩水に漬けておくことで果物の変色を防ぎます。
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②のフルーツをボウルから取り出し、鍋に水とグラニュー糖、フルーツをいれて、約40分弱火にかけて煮ます。レモンやオレンジの外皮が透明になってきたら取り出します。
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オーブン用シートにフルーツを1枚ずつ重ならないように並べて、室温で約3時間乾かします。
気温や湿度が高い夏場は食材が傷みやすいため、空調のきいた室内で乾かしてください。 -
オーブンシートからフルーツを持ち上げて砂糖水が垂れてこなければ完成です。グラノーラ、ヨーグルトと一緒に器に盛り付けます。
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注意事項
- 必ず手順を読んでから調理を行ってください。
- 調理器具、特に火気などの取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
- 小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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