甘く透明な三次元キャンディー(No.10 アモルファス)
- 調理時間30分
監修:ケーキデザイナー・芸術教育士 太田さちか、東京理科大学 教授 山本貴博 ※監修者の肩書きは掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社
おいしい三次元の世界を楽しんで
熱で溶かした砂糖の変化を利用して、ジュエリーのように繊細なキューブや、王冠の形をしたキラキラクラウンなど、
いろいろなキャンディーをつくることができます。
食べられる器をつくったり、デザートを飾ったり、あなたのイメージやアイデアを形にしてみて!
Science point
実は普通の固体ではないアモルファス
【アモルファス】
今回ご紹介するレシピは、まるでガラスのようなあめ細工。実はあめとガラスはどちらも同じ「アモルファス(非結晶)」という、硬いのに結晶構造を持たないフシギな固体なのです。あめが砂糖の非結晶であるならば、砂糖の結晶は氷砂糖です。濃い砂糖水を数週間、ゆっくり時間をかけて結晶を成長させると、砂糖の分子が規則正しく整列して硬い氷砂糖ができます。
一方、砂糖を高温で溶かしたものを急冷すると、分子がきれいに整列する暇がなく固まります。このように、分子がバラバラのまま固体になった状態を非結晶といいます。綿あめやキャラメルも、砂糖の非結晶固体です。あめやガラスが、高温でドロドロの液状から固まる過程では、液体と固体の性質を併せ持つため、固体でありながらやわらかく、形を自在に変えることができるのです。冷やす温度や速度で性質が変わるとは、面白く興味深い世界です。
常温でも固まらない水あめ
水あめは同じ「あめ」でも科学的な成分がまったく異なります。通常のあめの主成分がショ糖であるのに対して、水あめの主成分は、デンプンが酸や酵素によって加水分解できるブドウ糖、オリゴ糖類、デキストリンなどの混合物です。あめは室温で固体となるのに対して、水あめが常温で滑らかな液状を保てる理由はデキストリンにあります。デキストリンは粘性と保水性のある多糖類であるため、水あめの結晶化を防ぎます。そのため、常温でも液体の状態を維持できるのです。
医療への応用が期待される3Dペン
「3Dペン(ペン型3Dプリンター)」を知っていますか? ペンの中にインクのかわりに樹脂を入れ、ペン先から高温によって溶けた樹脂がニョキニョキと細いあめ状になって出てくるものです。3Dペンで空間に絵を描くと、立体的な物体をつくることができ、芸術や建築、服飾などの分野で応用されています。
最近では、紫外線(UV)硬化樹脂を用いた光で固まる3Dペンもあり、ペン先の高温を気にすることなく制作できるようになりました。さらに、3Dペンで治療用の細胞を人体に注入する技術の開発なども進められており、医療などさまざまな分野での活用も期待されています。
材料
球体2個分
- パラチニット(あめ細工用の砂糖)
- 100g
- 着色料(青)
- ごく少量
つくり方
- ・水風船をふくらませておきます。
下準備
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鍋にパラチニットと着色料を入れて中火にかけます。
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鍋を回しながら完全に溶かします。
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火からおろして、スプーンで空気を含ませながら温度を下げ、粗熱をとります。
粗熱がとれた目安としては、はちみつ程度のとろみがついたらOKです。
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スプーンを使って、水風船の周りに③をかけていきます。
オーブン用シートに置いて乾かします。鍋を湯せんにかけておくと、溶かしたパラチニットが固まることなく作業を続けられます。
※液状のパラチニットは高温のため、触れてやけどしないように気をつけてください。 -
④が固まったら、つまようじで風船を割って取り出します。
液状のパラチニットは水風船の表面で冷やされて固まり、非結晶の固体になります。
※水風船を割って取り除く際、破片が残ることがあります。
残った破片を誤飲しないように気をつけてください。 -
注意事項
- 必ず手順を読んでから調理を行ってください。
- 調理器具、特に火気などの取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
- 小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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