監修:空想科学研究所 柳田理科雄
企画制作: NGK株式会社
炎天下に飛来する
超大型パラソル
じりじりと照りつける真夏の太陽。その強烈な陽射しを和らげる「巨大な日傘」が、もしも街の上空に浮かんだら――。
暑さが危険域に達すると、大都市の真上に円盤状の飛翔体が姿をあらわす。
高層ビルにぶつからない高度1000mの上空でこの円盤が太陽光線を遮ると、都市の中心部はまるで日食の影に入ったかのような光景に変わる。
日よけ部分に備えられた無数の細長い翼が、気流をとらえて揚力を生み出し、外周に配置されたドローン群が位置を制御して滞空する仕組みだ。
高度1000mの上空で直径200mの日よけを浮かべれば、地上では直径160mの濃い影ができ、その中心部では気温が2〜5℃ほど低下する。また、地面からの照り返しも弱まるため、それ以上の効果を体感できるだろう。
いずれは青空に浮かぶ円盤が真夏の風物詩になるかもしれない。
サイエンスコラム
雲をより白くして、
海水を冷やす
オーストラリア北東岸に広がるグレートバリアリーフは、世界最大級のサンゴ礁として知られています。近年、海水温の上昇によるサンゴの死滅が進行しています。
こうした危機への緊急の対策として検討されているのが、「太陽放射改変(SRM:Solar Radiation Modification)」とよばれるジオエンジニアリング(気候工学)の技術の一種です。太陽放射改変は、地球に届く太陽光の一部を宇宙へ反射し、地表や海面に吸収される熱を減らすというもので、さまざまな手法が考案されており、その一つに雲をより白く明るくする試みがあります。
雲は、微細な水滴や氷の粒で構成されていて、一般的にそれらの粒子が多いほど雲は白くなり、太陽光の反射率が上がります。海水を吸い上げ、細かいミストにして空に向かって噴霧することで、微細な塩の粒子が低空の雲にとりこまれ、雲がより白く明るく変化すると考えられています。 グレートバリアリーフでは、雲を白くする装置の試運転が行われ、実際に太陽光の反射率を高めることができるか、実証実験と検証が進められています。