監修:空想科学研究所 柳田理科雄
企画制作:
NGK株式会社
バイオテクノロジーを着飾る
未来のファッション
二酸化炭素を資源として捉え、分離・回収し再利用する。それにより化学品や燃料、建材といった新たな価値を生み出すテクノロジーが、脱炭素社会を実現する方策として期待されている。なかには「光合成」の仕組みを応用したものも少なくない。
もしも、そういった技術がぐっと身近になり、光合成を行うファッションアイテムが登場したら──。
たとえば、アフロ型のヘッドデバイスだ。縮れた繊維が二酸化炭素を取り込み、繊維内部では光利用効率を最大化するよう制御されたバクテリアが光合成を行う。アフロの直径が50cmの場合、太陽光をフル活用することで、1時間あたり65gの二酸化炭素を回収し、それと26mlの水から、44gの糖(おにぎり1個分)と47gの酸素を生成できる計算になる。こまめな水やりは手間でも、生成された糖はバイオマス資源として収穫できる。
未来では、個人の生活圏においても大気中の二酸化炭素を資源と捉える価値観が一般的になっているかもしれない。
サイエンスコラム
微生物の力で燃料や
プラスチック原料をつくる
微生物の中には、糖を分解してエタノールをつくり出す驚異的な能力を持つものが存在します。この力を借りて、植物などのバイオマス資源を燃料やプラスチック原料へと転換する技術の開発が世界各国で進められています。
なかでも「バイオエタノール」は、現在、最も主流となっているバイオ燃料です。トウモロコシなどの植物に含まれるデンプンやセルロースといった有機物を糖に分解し、その糖を微生物に与えて発酵させることで生成されます。
こうして作られたバイオエタノールは、燃料として活用できるだけでなく、ポリエチレン(PE)の原料「エチレン」に変換することも可能です。現在、PEの多くは石油製品の「ナフサ」から作られていますが、その代替として植物由来のPEを使ったレジ袋や容器も身近になってきました。
バイオ燃料・バイオマスプラスチックも、燃やせば二酸化炭素を排出しますが、これはもともと植物が成長過程で大気中から取り込んだものです。吸収量と排出量がプラスマイナスゼロとなるため、大気中のCO₂総量が変化しない「カーボンニュートラル」とみなされます。