監修:空想科学研究所 柳田理科雄
企画制作:
NGK株式会社
憧れの人の
経験や気持ちを追体験
謎に包まれてきた脳の仕組みは、近年の研究によって明らかになりつつある。脳の電気信号や血流の変化を測定し解析することで、頭に思い浮かべた画像や、さらには感情の傾向までも大まかに推定できるようになってきた。
歌手が大規模ライブを成功させた時の高揚感。スポーツ選手が勝利した瞬間の達成感。そんな“感動”を、ファンが一緒に味わう。そんな日が来るだろうか?
カギを握るのは、装置の高性能化・小型化を支える「半導体」だ。脳内の神経細胞が発する微弱な信号を細かく捉えるには、ノイズの影響をいかに抑えるかが課題となる。そのノイズを取り除きながら、脳活動をリアルタイムに追いかけるには、現状では高い演算能力を備えた大きな計測装置が必要だ。
だが、半導体のさらなる進化により、処理能力はより高度に、サイズはよりコンパクトになっていくはずだ。たとえば、脳内に点在する大きさわずか0.5ミリメートルほどの「コラム構造」(神経細胞約10万個の集合体)の動きをつぶさに解析できる超小型のウェアラブル端末が実現すれば、今よりもずっと鮮明に感じたことを記録できるようになるだろう。
いずれは憧れの人の経験や気持ちを追体験する新しい“推し活”のトレンドが生まれるかもしれない。
サイエンスコラム
半導体の進化を実現する
微細な回路づくり
スマホやパソコンの“頭脳”として活躍する半導体デバイスの中には、わずか1万分の1ミリメートル程度という、驚くほど小さなトランジスタ(電気信号を制御する部品)がぎっしりと詰まっています。トランジスタを搭載した回路の集積度を限界まで高めることで、高速化や低消費電力化、そしてコストダウンなどの恩恵がもたらされてきました。
この極限の微細化は次のようなプロセスで実現されています。まず、シリコンなどを用いた薄い円盤「ウエハー」の表面に特殊な薄膜を形成し、その上に紫外線に反応する薬剤を塗布します(A)。その後、紫外線を当て、回路のパターンを転写する「露光」(B)を行い、紫外線で薬剤が溶けた部分をけずりとって(C)から、不純物を注入(D)して電気的な特性を与えます。この一連の精密な作業を何百回もくりかえし、回路が完成します。半導体の目覚ましい進化は、こうした気の遠くなるような微細な回路づくりの積み重ねによって支えられているのです。
サイエンスコラム
関連するNGKの技術・サービス
(右)エッチング工程で使われる静電チャック