監修:空想科学研究所 柳田理科雄
企画制作: NGK株式会社
3万6000kmの彼方から、
2億キロワットの狙い撃ち。
生成AIの普及やデータセンターの急増に伴い、電力需要がかつてない勢いで高まっている。
国際エネルギー機関(IEA)の報告によれば、世界中のデータセンターの消費電力は、2030年までに2024年水準の2倍にまで増える見通しだ。電力供給手段の強化はますます重要になっている。
未来はどうなるだろう? すこし空想してみよう。
舞台は地上から遥か3万6000km彼方の静止軌道上。太陽光発電衛星から放たれたマイクロ波(電磁波の一種)によって、地上へ電力が届けられている。
宇宙ではほぼ24時間、大気や天候に邪魔されずに太陽光を受けることが可能。宇宙で2億キロワットの発電を行い、地上で受けとるまでの総変換効率を50%に抑えれば、日本が必要とする電力1億キロワットをまかなうこともできるだろう。膨大な電力を宇宙から受けとるために、超巨大な受信アンテナが海の上で宙(そら)を見上げているのかもしれない。
サイエンスコラム
長距離ワイヤレス給電の
実用化を目指した研究
スマホの置くだけ充電など、身近な場所で活躍している「ワイヤレス電力伝送技術」。現在、より遠く離れた場所への送電の実用化に向けた研究が進んでいます。
舞台のひとつは「月」。月のクレーターのくぼ地や洞窟といった太陽光が届かない場所には、水が存在する可能性が高いと推測されており、そうした暗闇で活動する探査車への電力供給が課題となっています。そこで現在、解決策として開発が進められているのが、マイクロ波を用いた無線電力伝送です。
この研究開発の鍵を握るのが、届いたマイクロ波を効率よく直流電流に変換する半導体技術。実証に成功すれば、月面探査の範囲が劇的に広がるだけでなく、将来的には地上における給電インフラへの応用も期待されています。
関連するNGKの技術・サービス
「窒化ガリウム(GaN)ウエハー」
次世代の半導体として注目される窒化ガリウム(GaN)。この材料を用いたGaNデバイスは電力ロスを劇的に減らせるのが特徴で、ワイヤレス給電機の小型・高効率化が可能となります。また、放射線照射に対する強さも期待されており、大量の放射線が降り注ぐ月面での活用も見据えて研究されています。地球の省エネだけでなく、宇宙探査の未来も切り拓く技術です。