試してフシギ

光弾性透明だから力が見える(No.277)

透明だから力が見える 透明だから力が見える

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

透明な樹脂を押し合うと、スマホに虹色の模様が映りました。

そうなんだ!

2枚の偏光板の間に透明な物質を置くと、虹のような模様が見えることがあります。これを光弾性(こうだんせい)といい、力のかかり方を調べる方法として広く利用されています。今回の実験では、撮影用の偏光レンズを使って、作用・反作用の法則を確かめてみましょう。ちなみに、もう1枚の偏光板は、光源に使うディスプレイ(偏光フィルターが使われています)を利用します。透明な樹脂を押すと模様が変化し、外からの力によって、分子の並び方が変化したことを示しています。よく観察すると、両側から押した場合でも、片方を固定して一方から押した場合でも、左右に同様な形が同時に現れます。これは、物体が他の物体に力(作用)を及ぼすとき、それとは逆向きで同じ大きさの力(反作用)が同時にはたらくという、作用・反作用の法則に合致しています。

①スマートフォン用偏光レンズ
②スマートフォンスタンド
③スマートフォン
④光源用のパソコン
⑤透明なプラスチック製品
⑥透明な円形の耐震マット 4個

※光源は、タブレット、スマートフォン、テレビでも代用できます。

実験で使用した材料の詳細

・スマートフォン用偏光レンズ クリエーション
・スマートフォンスタンド DAISO スマホスタンド三脚タイプ 幅約55mm~75mmに対応
・透明な耐震マット Amazon 透明耐震転倒防止粘着マット(丸形 直径50mmx厚み3mm 12枚入)
・プラスチックスプーン DAISO 袋入りミニスプーン20本
・テープカッター ニチバン AKS ニチバンセロテープ
・はさみ DAISO クリアハンドルハサミ
・プラスチックカップ DAISO ザ・クリアロックカップ

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    スマートフォンに偏光レンズを取り付け、スマートフォンスタンドにセットします。

  • 2

    パソコンのデスクトップを白色にして①を モニターの20cm程度前に置きます。

  • 3

    スマートフォンを撮影モードにし、偏光レンズを回転させて画面が黒くなる場所で止めます。

  • 4

    透明なプラスチック製品をパソコンとスマートフォンのレンズの間で持って、観察します。

  • 5

    同様に耐震マットをセットして、引っ張ったりねじったりして観察します。

  • 6

    耐震マットを2枚ずつ重ね、はじ同士を当て、力を加えて観察します。

実験を成功させるコツとヒント

・スマートフォン用の偏光レンズが入手できないときは、偏光レンズを使ったサングラスや、市販のシート状の偏光フィルムでも代用できます。また、偏光レンズを装着した一般のカメラでも観察や撮影が可能です。
・偏光レンズの角度が正確でないと光弾性がよく見えません。偏光レンズを回転させて、画面が真っ暗になる位置で実験してください。
・作用反作用の実験を行うときは、左右の耐震マットが一直線上になるように並べ、まっすぐに押し当ててください。

見えないひずみや壊れやすい場所を光弾性で発見

光弾性を利用すると、物質にかかる目に見えない力を測定することができます。そのため、部品や構造物の強度を調べたり、最適な設計を行ったりするなど、工業や建築の分野で幅広く利用されています。でも、透明でない物質はどうするのでしょう? 実は不透明な物質でも、透明な模型を作る、表面に光弾性を起こす物質を貼り付ける、不透明な物質を透過する電磁波を利用するなどの方法で光弾性を活用することが可能です。近年では、人体を扱う生体力学の分野でも使われるようになり、活躍分野を広げています。

不思議な虹色を生み出す面白い光の性質

光弾性には、偏光・複屈折・干渉という3つの光の性質が関わっています。
光には波の性質があり、太陽やランプの光は、さまざまな方向に振動する波が混ざっています。ばらばらな向きに振動する光の波を1つの方向にそろえることを「偏光」といいます。パソコンなどの液晶ディスプレイには、もともと偏光フィルターが使われているので、そこから出る光は一方向だけに振動する波になっています。(参考:No.123 偏光板で遊ぼう
光が透明な物質を通るとき、分子が一定の方向に並んでいると、2つに別れて進む「複屈折」という現象を起こすことがあります。複屈折した2つの光の波は向きが直角になり、進む速度も変わります。
複屈折した光の波をもういちど偏光板に通して振動の向きをそろえると、2つの波が重なり合って互いに強め合ったり弱め合ったりする「干渉」という現象が起こります。干渉を起こした光の波は、特定の色の波長が強められるので、虹のような色が現れるのです。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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