なんでだろう?
CD、画びょう、ペットボトルのふたで、記録に挑戦するコマを作りましょう!
そうなんだ!
コマの回転を止める最も大きな要因は、軸の先端の摩擦です。そこで、身近な材料を使って、運動エネルギーの損失を徹底的におさえるコマに挑戦しました。摩擦を小さくするために金属の画びょうを軸に使います。
画びょうの針はコマの質量を一点で支えることができ、しかも、硬くなめらかな画びょうの頭の上で回すことで、摩擦を非常に小さくできます。
コマをのせる台のがたつきもエネルギーの損失につながるので、できるだけ防ぐように工夫しています。またこのコマは、重心が軸の先端より下にある「やじろべえ」のような構造なので、回転が遅くなっても倒れません。そのため、完全に停止するまで回り続けるのです。
ちなみに、宇宙空間に浮かんで回転している地球は、軸の摩擦も空気抵抗も考えなくてよいので、自転が止まる心配はありません。
超低速で回るコマを観察しながら、運動エネルギーについて考えてみませんか。
①いらないCDやDVD 3枚
②プラスチック用接着剤
③画びょう(押す面が凹んでいるタイプ) 2個
④ペットボトルのふた 1個
⑤超強力両面テープ(透明)
⑥割りばし 1本
⑦水を入れたビンなどのしっかりした台
・千枚通しかコンパス
・はさみ
・カッターナイフ
・セロハンテープ
実験で使用した材料の詳細
・CD マクセル データ用CD-R
・プラスチック用接着剤 コニシ ボンドGPクリヤー 速乾 20ml
・画びょう プラス 画びょう
・超強力両面テープ DAISO 超強力アクリルフォーム両面テープ
・割りばし 元林 割り箸 50膳
・台のビン DAISO メタルスクリューキャップ200ml
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
CD3枚を接着剤で貼り合わせ、十分に乾かします。
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2
ペットボトルのふたの中心に画びょうを垂直に差し込みます。
※ふたの中心は、裏から千枚通しなどでバランスをとり、水平になったところを軽く刺してマークします。 -
3
CDの穴の回りに両面テープをすき間なく貼ります。
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4
②をCDの中心に合わせて両面 テープに強く押しつけてくっつけます。
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5
余分な両面テープをカッターナイフで切り取ります。
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6
割りばしの端に画びょうを差し込み、余分な部分を切り取って台にセロハンテープで固定します。
※台は水を入れたビンやマグカップなどを利用します。下にすべり止めシートを敷くとさらに効果的。 -
7
ふたの針を割りばしの画びょうの上にのせ、台をおさえながら、ふたを持って 水平に強くひねります。
実験を成功させるコツとヒント
・回転時の揺れや振動をおさえるため、部品の中心の位置や垂直・水平などは、できるだけ正確に合わせるようにしてください。
・コマをのせる台は、側面が垂直で、ある程度の重さがあり、重心があまり高くないものが適しています。
・コマの構造上、多少傾いて回っても摩擦はほとんど増加しないので、台に当たらないように注意しながらできるだけ強くひねるのが長く回すコツです。
運動エネルギーの損失は地球にとっても大きな問題です
私たちが日々利用しているさまざまな動力について、地球環境のために運動エネルギーの損失をおさえ、省エネルギー化を図る必要があります。たとえば自動車で考えてみましょう。運動エネルギーの損失がなければ、最初にちょっとエンジンを動かすだけで、どこまでも走って行けます。しかし、実際はタイヤと地面の摩擦や、自動車内部の機械の摩擦、空気抵抗などによってじきに止まってしまいます。そのため、走り続けるためにエンジンを動かし続けなければならないのです。
このような運動エネルギーの損失をおさえれば、化石燃料の消費量を削減し、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出も減らすことができます。
さまざまな工夫で運動エネルギーの損失をおさえています
動いている機械や乗り物の運動エネルギーは、おもに摩擦によって熱に変えられ、徐々に失われていきます。そのため、機械や乗り物には摩擦や振動を減らすさまざまな工夫がほどこされています。
コマと同様に、回転する軸とそれを支える部分の摩擦は大きな問題なので、油などの潤滑剤を使ったり、接触する面積を減らしたりする工夫が考えられてきました。その中でも最も効果が大きく、現代のあらゆる機械や回転する場所で使われているのがベアリングです。ベアリングは、二重になった輪の間に硬いボールやローラーをはさみ、それらを回転させることで摩擦をきわめて小さくできます。
自動車などの乗り物は、空気との摩擦によるエネルギーの損失も大きいので、なるべく空気抵抗を小さくする形に設計されています。また、走行中のタイヤは熱くなりますが、これは運動エネルギーが「ころがり摩擦(参考:No.173 よく走るのは大小どちらの車輪?)」としてむだに使われるのが原因。そのためタイヤは、ころがり摩擦をなるべく小さくする形状や材質で作られています。しかし、タイヤの空気圧が低くなると、どんなタイヤもころがり摩擦が大きくなるので、適切な空気圧で使用することが大切です。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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