試してフシギ

フックの法則何でもバネばかり!?(No.273)

何でもバネばかり!? 何でもバネばかり!?

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

よくしなる細長い物体にオモリをつるすと、重さに比例して変形するようです。

そうなんだ!

竹ひごをはじめ、金属やプラスチックなど、弾力性のある細長いものの一方を固定し、もう一方にオモリをつるしてたわみ方を観察します。オモリを2個、3個と増やしていくと、たわみ方も約2倍、3倍と大きくなり、オモリをなくすとたわみはなくなりました。グラフにするとほぼ直線になり、オモリの数と物体の変形量は比例しているように見えます。
この測定結果は、バネばかりに使われる「つるまきバネ」の性質にそっくりです。つるまきバネのように加えられた力に比例して変形する現象のことをフックの法則といい、このような性質を弾性といいます。
金属・木・ガラス・プラスチックなど弾性をもつ物質は、弾性の範囲内(こわれたり、元に戻らなくなったりしない) であればフックの法則に従うので、目盛りをつけることで、バネばかりのように重さをはかることも可能です。

①竹ひご(直径3mm・長さ35cm程度) 1本
②つまようじ 1本
③S字フックなどのオモリ 5〜6個
④養生テープ
⑤定規
・セロハンテープ
・本などの重し
・定規を貼る壁など

※発展実験用として、金属や木の棒、スパゲティなど弾性のある棒状のものと対応するオモリ。

実験で使用した材料の詳細

・竹ひご DAISO 竹ひご 約3φ×360mm
・つまようじ DAISO 料理用ようじ
・S字フック DAISO クロムメッキ S字フック
・養生テープ DAISO 仮止めテープ(養生)38mm×10m
・定規 DAISO 幅広タイプ 方眼直線定規 30cm

〈ビジュアル用〉
・フライ返し ニトリ ステンレスビーター Favorite
・歯ブラシ DAISO くぼみの歯垢を落とすコンパクト歯ブラシ 平型 5PCS
・釣り用オモリ TACTICSENJOY 六角型20号/120号
・オモリ 山善 Circulate クロムダンベルセット 10kg

〈動画用〉
・スパゲティ ディ・チェコ No12 スパゲティ
・釣り用オモリ TACTICSENJOY 茄子4号

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    つまようじを半分に切ります。尖った方は竹ひごの先端に、もう一方は机などの端にセロハンテープで固定します。

  • 2

    竹ひごの何もついていない方を図のように養生テープで机などにしっかり固定します。さらに上から本などの重しを置きます。

  • 3

    竹ひごにつけたつまようじが目盛りの「0」を指すように、定規を壁などに貼りつけます。

  • 4

    竹ひごとつまようじの段差部分にS字フックを引っかけ、目盛りを読みます。

  • 5

    オモリのフックを1つずつ増やして指す目盛りを記録し、グラフにします。

  • 6

    金属や木の棒、スパゲティなど、身の回りのものでも実験してみましょう。

実験を成功させるコツとヒント

・オモリをつけない状態で、竹ひごの先端が水平よりやや上向きになるようにしてください。たわみが大きくなったときに、目盛りを読み取る誤差を小さくするためです。
・竹ひごよりたわみにくい素材で実験するときは、釣りのオモリなどを利用し、足に落下させないように注意してください。また、棒がはずれないように端を確実に固定してください。
・たわみやすい素材で実験するときは、オモリにクリップなどを利用するとよいでしょう。

現代の建築や工業にも応用されるフックの法則

17世紀にロバート・フックが発見したフックの法則は、バネばかりの原理となっているだけでなく、現在でも建築や工業のさまざまな分野で利用されています。というのも、ほとんどの物質には弾性があり、力が加わるとフックの法則に従って変形するからです。木材やコンクリートで建物をつくる際も、金属やプラスチックで工業製品をつくる際も、あらかじめフックの法則でゆがみや強度を計算することによって、安全性や正確さを保つことができるのです。快適な現代の私たちの暮らしも、フックの法則で支えられていると言っても過言ではありませんね。

フックはロンドンのレオナルド・ダ・ビンチ!?

ニュートンとともに17世紀のイギリスを代表する科学者ロバート・フック(1635-1703)は、物理学をはじめ生物学や天文学、建築など数多くの分野で大きな功績を残しています。その中でも、フックの法則と並ぶ重要な発見が生物の細胞です。フックは自ら製作した顕微鏡を使って、さまざまな動植物を観察しました。コルクの樹皮がたくさんの小部屋からできていることを発見し、それをセル(細胞)と名づけたのです。絵も得意だったフックは観察結果をスケッチし、図鑑のような本として出版しました。
その他にも、ぜんまい式の懐中時計を発明したり、望遠鏡を改良して月のクレーターや惑星を観測したり、1666年のロンドン大火後の復興計画にたずさわったりするなど、各方面で多彩な才能を発揮しています。そのため、彼のことをロンドンのレオナルド(・ダ・ビンチ)と呼ぶ人もいたようです。ところが、これほど大きな業績を残しながら公式の肖像画は一枚も残っておらず、20世紀になるまで評価もあまり高くありませんでした。気難しい性格のせいで、ニュートンをはじめ敵を多くつくってしまったからといわれています。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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