試してフシギ

電流と抵抗細いアルミはなぜ光る?(No.272)

細いアルミはなぜ光る? 細いアルミはなぜ光る?

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

アルミホイルをごく細く切って電流を流すと、オレンジ色に明るく光りました。

そうなんだ!

アルミホイルを折りたたんで作ったパーツに糸のように細く切ったアルミホイルをのせます。電流を流すと、細いアルミホイルが赤熱して光を放ちました。同じアルミニウムなのに、なぜ細い方は光ったのでしょう?
細いアルミホイルが光るのは、電流の流れにくさ(電気抵抗)が原因です。太いアルムニウムは電流が流れやすく(抵抗が小さい)、細いアルミニウムは流れにくい(抵抗が大きい)のです。太い管は水が流れやすく、細い管は水が流れにくいのとよく似ています。電流は連続的な電子の移動なので、細いアルミホイルを電流が無理に流れようとすると、電子が次々とアルミニウムの原子に衝突します。衝突によって熱が生じて温度が上昇し、500℃を超えたあたりから赤い光を放ちはじめます。温度が高くなるにつれて光の色は白っぽくなり、燃え尽きるまで光り続けるのです。
この原理を利用したのが、白熱電球のフィラメントです。現代の一般的な電球は、タングステンという熱に強い金属でフィラメントをつくり、長持ちさせるために、ものが燃えにくい特殊なガスを封入しています。

①アルミホイル
②単3形乾電池 2本
③乾電池ホルダー(単3、2本用)
④クリップ付きリード線 2本
⑤台にするもの(燃えにくい素材)
⑥ピンセット
⑦竹ぐし
・定規
・はさみ
・セロハンテープ

実験で使用した材料の詳細

・アルミホイル 三菱アルミニウム FOIL 25cm×8m
・単3形乾電池 パナソニック 単3形アルカリ電池 エボルタネオ LR6NJ20SW
・乾電池ホルダー ELPA エルパ電池ボックス(単3×2本)UM-321NH
・台にする木片 DAISO 工作材料 直方体 8個 90×30×15mm
・竹ぐし DAISO あじわい 竹串 18cm 150本入

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    8cm×4cmのアルミホイルを縦に3回折って幅5mmの帯状にします。同じものを2本作ります。

  • 2

    ①の一端をそれぞれ5mm折り曲げ、間隔を5mmあけて台にセロハンテープで固定します。

  • 3

    電池を入れた乾電池ホルダーと②のアルミの端をリード線でつなぎます。

  • 4

    長さ2cmのアルミホイルをなるべく細くなるようにたくさん切ります。その中から、0.5mm以下で 幅が均一なものを選んでフィラメントにします。

  • 5

    ④をピンセットで②の折り曲げた部分にのせます。

  • 6

    通電してフィラメントの様子を観察します。成功すれば、フィラメントが赤熱して明るくなります。
    光らない場合は、右下の図のように竹ぐしで圧着したり、フィラメントの位置を少し動かしたりしてください。 それでも光らなければ、フィラメントが太すぎる可能性があるので細いものに交換してください。

    ※電池に接続したフィラメントやアルミは高温になって危険です。実験中や実験直後は絶対にさわらないでください。実験後はもちろん、実験中もそのつど接続をはずしてください。また、燃えやすいものを周囲に置かないでください。

実験を成功させるコツとヒント

・フィラメントにするアルミホイルは、細すぎるとすぐに燃え尽き、太すぎると光りません。たくさん切った中からさまざまなタイプを試し、最適な幅のものを選んでください。
・フィラメントを太いアルミホイルにのせただけでは、接触が不十分で通電しないことがあります。竹ぐしで接触を調整してください。
・電池の電圧が低下していると光りにくくなるので、新品の電池を使ってください。

電気抵抗の増大による発熱は家庭内にもいろいろ

白熱電球のフィラメントは、電気抵抗による発熱を光に変えて利用しますが、多くの場合はそのまま熱として利用します。たとえば、ドライヤー、電気コンロ、トースター、電気カーペットなどの電気で発熱する機器です。これらの機器には、電気抵抗が大きく高温に強いニクロム線などを細くしたものが、発熱体として使われています。一方、家庭の配線に使われる電線は電気抵抗の小さい銅線をたくさん束ねてあり、本来は電流をよく通しますが、いちどに多くの電流が流れると発熱することがあります。コンセントや電源コードに多くの電気機器をつなぐのは危険です。

電流と電気抵抗の関係はどうなっているのだろう?

実験では、電気抵抗が大きくなると電流が流れにくくなることを利用して、細いアルミホイルを光らせました。実は、この話には、電圧というもうひとつの存在が隠れています。電流を(I)、電気抵抗を(R)、電圧を(V)とすると、V=R×Iという公式が成り立つのです。つまり、回路を流れる電流の強さは電圧に比例し、電気抵抗に反比例するという関係です。これをオームの法則といい、電気におけるもっとも重要な法則のひとつです。
ドイツの物理学者G.S.オームは独自に電気の研究を行い、1826年にオームの法則を発見しました。これによって電気の基本的な要素の関係が定義され、電気学の発展に大きく貢献することになります。後にオームの業績をたたえ、その名が電気抵抗の単位(Ω)として採用されました。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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