なんでだろう?
手でつかめそうなリアルな像が目の前の空間に現れました。
そうなんだ!
虫めがねの向こう側の物体をスクリーンに映すと、ある場所でピントが合ってはっきり見えます。「実像」と呼ばれるものです。そこで、スクリーンを外して直接虫めがねをのぞくと、スクリーンがあった空間に立体的で非常にリアルな像が現れます。まるで実物がそこにあるかのようですが、もちろん手でさわることはできません。一見、本物のように見えるこの像の正体は何でしょう?実はこの像も実像です。スクリーンに映した実像は平面的ですが、直接目で見る実像は立体的に見えるのです。実像とは、実際に物体から出た光でできる像です。人間は、左右の目で少し違う角度からものを見て、2つの画像を脳が認識して立体感を得ています。平面のスクリーンでは左右の目で同じものを見るので立体感がありませんが、空中の実像を直接見ると、実物を見るときと同じように左右で異なった像が見えます。そのため、立体的でリアルな像を認識することができ、実像は実際に光が存在して見えていることがよく理解できます。
①虫めがね(直径7cm程度) 2個
②薄手のコピー用紙
③プラスチックコップ(口の直径9cmくらい) 1個
④立体感のある小物
⑤LEDライト
・セロハンテープ
・はさみ
・定規
実験で使用した材料の詳細
・虫めがね DAISO 拡大鏡 小 約2倍 約75mm No.59
・プラスチックコップ DAISO クリアカップ545ml
・小物 Kei Road アヒルの親子 ウキウキ
・小物(ビジュアル用) 自由研究通販 ミニモデルフィギュア 羽毛ティラノサウルス恐竜
・LEDライト DAISO 明るいランチャーライトメタリック(1LED)
〈動画用〉
・ドライアイス 坪内 ドライアイス
・プラスチック容器 DAISO 何でも保存容器 パンやさん 4.2L
・キッチン整理棚 ニトリ 積み重ね棚M(幅41×奥行22.4×高さ19.2cm)
・洗濯ネット DAISO 角形 LAUNDRY NET
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
-
1
虫めがねを重ねて、セロハンテープで固定します。
-
2
コピー用紙を切って、プラスチックコップの半分を内側からおおいます。
-
3
小物に②のコップをかぶせ、上からライトで照らします。
-
4
コップと虫めがねを図のように置きます。部屋を薄暗くし、コピー用紙のスクリーンに像を写し、ピントの合う場所をAとします。
-
5
スクリーンをはずし、50cm程度後ろからAの空間に目のピントを合わせるようにして見ると、そこに実物のように立体的な像が現れます。これが実像です。
※像が2つにわかれて見える場合は、1つに見えるまで後ろに下がり、ピントを像に合わせたまま前進すると見えやすくなります。
※左右の視力差などの理由で立体的に見えない場合がありますが、片方の目で見えているのも実像です。 -
応用編
「ドライアイスのスクリーンで、さらに立体的な実像を見よう」
ドライアイスのスクリーンで、実像は立体的な光の集まりであることを確かめてみましょう。ドライアイスの白い煙(水蒸気)には濃淡のむらがあるので、断続的に奥の方まで光が届きます。この煙にレンズを通した実像を映すと、奥行きのある立体的な像が浮かび上がります。平面のスクリーンほど鮮明ではありませんが、この像は横や上からも観察することができます。実験の説明のページに動画を掲載しています。
〈ドライアイスのスクリーンの作り方〉
1)プラスチックの保存容器の側面上部にドライアイスの煙を出す小窓を開けます。
2)洗濯ネットにドライアイスを入れ、かなづちで2〜3cm角に砕きます。
※ドライアイスを直接手でさわらないでください。
3)キッチン整理棚などの上に保存容器を乗せ、ドライアイスを入れます。
4)保存容器にお湯を注いでフタを閉めると、小窓からドライアイスの煙が流下します。
実験を成功させるコツとヒント
・実像が立体的に見えない場合は、無意識のうちに片目で見ている可能性があります。片方ずつ目を閉じて、両目で見ているかどうか確かめてください。
・レンズの口径を大きくすると立体的に見えやすくなります。ただし、口径の大きいレンズは一般的に焦点距離が長く、実像を結ぶ位置もレンズから遠くなります。虫めがねを2枚重ねているのは、焦点距離を短くするためです。
先端技術がつくり出すリアルな映像は実像?虚像?
実像と虚像の関係を簡単におさらいすると、スクリーンに映した映画のように、そこに実際に光があるものは実像。望遠鏡で拡大した像のように、像の見える場所に実際に光がないものは虚像です(No.236「実は兄弟!?カメラと望遠鏡」の「もっと知りたい」参照)。それではVR(バーチャルリアリティ)やホログラフィーなど、先端技術で生み出されるリアルな映像は、いったいどちらなのでしょう。
VRは、コンピューターによる人工的な映像を、まるで現実の世界のように見せる技術です。ゴーグル型のディスプレイに左右別々の映像を映し出し、それを頭の中で合成することによって、現実の世界を両目で見るときと同じ立体感を生み出しています。VRの像は非常にリアルに感じますが、もちろんそこに実際の光はないので虚像です。
空間に立体的な映像を映し出すホログラフィーも研究が進み、SF映画だけの話ではなくなってきました。映画や写真は光の強さだけを記録したものですが、ホログラフィーのデータは光が来る方向も記録しています。そのため、ホログラフィーの像を見ると実物のように立体的に感じますが、像を映しているのは平面のディスプレイなので、立体的な像は虚像です。ところが近年、実験でドライアイスの煙に実像を映したように、空中の透明な物質に実像を映し出す技術も研究されています。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
本サイトのコンテンツ利用に関しては、本サイトお問い合わせ先までご相談ください。