なんでだろう?
2つのLEDをつないで一方に強い光を当てると、もう一方が光りました。
そうなんだ!
接続したLEDが光ったということは、光を当てたLEDが発電したのでしょうか。まるで太陽電池のようですね。実は、太陽電池とLEDはどちらも半導体を使ったよく似た構造をしており、太陽電池もLEDによる発電も、光電効果を利用しています。光電効果とは、物質に光が当たると電子が飛び出す現象です。太陽電池の半導体に光が当たると、マイナスの電気を持つ電子が飛び出し、プラスの電気を持つ電子の抜け穴(正孔)と分かれます。マイナス側の極とプラス側の極をつなぐと、電流が流れます。一方LEDは、電流を流すことで電子と正孔が結合して発光しますが、半導体に光が当たると電子と正孔を生じ、電流が流れます。LEDと太陽電池は同じ原理に基づく逆の反応なので、効率を考えなければLEDで発電もできるのです。
①超高輝度赤色LED 2個
②クリップ付きリード線 2本
③明るいLEDライト(光源用)
【応用編】
スチレンボード(厚さ5mm)
黒い紙
超高輝度LED 緑色 4個、赤色 3個、黄色 1個
小型の目玉クリップ 6個
クリップ付きリード線 4本
明るいLEDライト(光源用)
実験で使用した材料の詳細
・LED 秋月電子通商 超高輝度5mm広角赤色LED OS5RKA5B61P
・LEDライト 大創産業 明るいランチャーライトメタリック(1LED)
〈ビジュアル用・WEB用〉
・LED 秋月電子通商 超高輝度5mm緑色LED OSG58A5111A
・LED 秋月電子通商 超高輝度5mm オレンジ色LED OS50AA5111A
・スチレンボード 大創産業 COLOR BOARD 黒、黄 約450×840×厚さ5mm
・黒い画用紙 大創産業 色画用紙/くろ
・目玉クリップ 大創産業 目玉クリップ(小)
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
2個のLEDをクリップ付きリード線で図のようにつなぎます。
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2
部屋を薄暗くし、片方のLEDに近くからライトの光を当てて、反対側のLEDを観察します。
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3
反対のLEDにも同様に光を当て、観察しましょう。
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応用編 1
「LEDでLEDを光らせるクリスマスツリーを作ろう」
発電用、発光用に複数のLEDを使えば、カラフルなクリスマスツリーを点灯させることができます。
1)スチレンボードを星形とツリー形に切り抜き、ツリー形の片面に黒い紙を貼ります。
2)星形のボードに3個の緑色LEDと2個の赤色LEDを密集させて足を突き刺します。ツリー型のボードに赤、黄、緑のLEDを分散させて足を突き刺します。 -
応用編 2
3)図のように目玉クリップとリード線でLEDを接続します。
星形の緑色LED 3個分の同じ極の足(長い足どうし、短い足どうし)を目玉クリップでまとめてはさみ(並列つなぎ)、リード線でツリー形の緑色LEDの同じ極の足と接続します。
同様に星形の赤色LED 2個分の足を目玉クリップではさみ、ツリー形の赤色・黄色LEDの足を目玉クリップでまとめてはさんだものとリード線で接続します(どちら側も並列つなぎ)。
4)部屋を薄暗くし、星形のLEDに近くからライトの光を当てるとツリー形のLEDが光ります。
※LEDの同じ色の足は同じ極を表しています。目玉クリップではさむときも、リード線で接続するときも、必ず同じ極どうしをつないでください。
実験を成功させるコツとヒント
・LEDは超高輝度タイプを使用してください。その中でも、最もエネルギー変換効率の高い赤色LEDがおすすめですが、白色以外の他の色のLEDでも条件によっては可能です。
・白色LEDは特殊な構造をしているので、この実験には使わないでください。また、異なる色のLEDをつないだ場合、点灯しないことがあります。
・LEDが1個で点灯しない場合は、発電用LEDの数を増やして並列に接続すると点灯できます(「もっと知りたい」参照)。
太陽電池とLEDと、半導体と、持続可能社会
LED(発光ダイオード)に光を当て、太陽電池と同じはたらきをすることを実験で確かめました。これは、太陽電池もLEDも、性質の異なるP型とN型という2種類の半導体を接合した、よく似た構造をしているからです。それぞれの本来のはたらきをもう少しくわしく見てみましょう。
太陽電池では、接合部に光が当たるとエネルギーを受け取った電子が飛び出し、そのあとに抜け穴が(正孔)ができます。マイナスの電気を帯びた電子はN型の方に移動し、プラスの電気を帯びた正孔はP型の方に移動します。それぞれの半導体に電極をつけて回路につなぐと、N型極からP型極に向かって電子が移動し、電流が取り出せます。
LEDの場合は、電子を多く持つN型半導体に電源のマイナス極をつなぎ、正孔を多く持つP型半導体にプラス極をつなぐと、電子と正孔がともに接合部に移動します。電子と正孔が再結合する際に両者の持っていたエネルギーが余るので、光となって放出されます。反対に接合部に光を当てると、太陽電池と同じ現象が起こります。
金属などに光を当てると電流が流れる光電効果は19世紀前半には発見されていましたが、当初は発電効率が低く、カメラの露出計などの用途に限られていました。1950年代以降シリコン半導体を使った高効率な太陽電池が開発され、電源としての用途が広がります。LEDも1962年に赤色LEDが発明され、その後効率の良い半導体の開発によって急速に実用化が進みました。これからの持続可能な社会に欠かせない太陽電池とLEDが同じ原理に基づき、ともに半導体によって支えられているのは興味深いですね。
日本ガイシも、半導体の製造に欠かせないセラミックヒーターなどを通じて半導体づくりをサポートしています。
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