試してフシギ

反発力温めるとよく跳ねる!?(No.267)

温めるとよく跳ねる!? 温めるとよく跳ねる!?

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

ゴム球を温めるとよく弾み、冷やすとあまり弾まなくなります。

そうなんだ!

一般にスーパーボールと呼ばれ、地面にぶつけるとよく弾むおもちゃのゴム球を使って、面白い実験をしてみましょう。
温度の異なる球を、同じ高さから落として、弾み方がどう変化するか比べます。
すると、温めた場合は常温より高く反発し、冷やすと低くなります。なぜ、弾み方が変わるのでしょう?
自然落下する球は、位置エネルギーに由来する運動エネルギーを持っています。地面との衝突の瞬間に、球の中では運動エネルギーの一部が熱エネルギーに変わり、球の温度が上がります。ところが、もともと球の温度が高い場合は熱エネルギーを少ししか受け取れず、より多くのエネルギーが運動エネルギーとして反発後の運動に使われるので、高く弾みます。
反対に球の温度が低い場合は、多くの熱エネルギーを受け取って運動エネルギーが少なくなるので、弾み方が低いのです。

①スーパーボール 1個
②厚紙 2cm×9cm
③配線カバー(モール) 8cm
④方眼紙または目盛りを書いた紙
⑤デジタルカメラやスマートフォンのビデオカメラ
⑥三脚などカメラを固定するもの
⑦容器に入れた熱湯(電気ポットの お湯程度の温度)
⑧容器に入れた氷水
⑨小さめのポリ袋 1枚
・50cm程度の台や箱
・机などのかたい面
・セロハンテープ

実験で使用した材料の詳細

・深さのある容器 大創産業 8リットルバケツ
・厚紙 オキナ つばめ画用紙 G320 8つ切り・10枚入 厚口170kg
・配線カバー(モール) エレコ Laneed フラットモール テープ付 LD-GAF1/WD(木目)
・三脚 大創産業 スマホスタンド三脚タイプ
・ポリ袋 ユープランニング キッチンポリ ミニサイズ17cm×25cm 厚さ0.02mm 透明タイプ
・動画用スーパーボール 大創産業 跳ねるボール 直径約20mm
・ビジュアル用スーパーボール 人形の観月 3000スーパーボールバラセット

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    厚紙と配線カバーで発射台を作り、台などの端にセロハンテープで固定します。

  • 2

    机などのかたい面の上に台をのせ、方眼紙か目盛りを描いた紙を後方に貼ります。

  • 3

    全体が写るように三脚などでカメラをセットします。

  • 4

    スーパーボールを発射台から落下させ、ビデオ撮影モードで撮影します。コマ送りで再生し、跳ね返った高さを測ります。

  • 5

    ポリ袋にスーパーボールを入れ、容器に入れた熱湯に約5分つけます。

    ※熱湯のあつかいに注意してください。

  • 6

    ポリ袋からボールを取り出し、④と同様に跳ね返った高さを測ります。

  • 7

    ポリ袋にスーパーボールを入れ、容器に入れた氷水に約5分つけます。

  • 8

    ポリ袋からボールを取り出し、⑥と同様に跳ね返った高さを測ります。

実験を成功させるコツとヒント

・スーパーボールは製品によって反発力にバラつきがあります。複数のボールを使って実験するときは、同じくらいの反発力のボールを選んでください。
・同じスーパーボールでも、当たる場所によって弾み方が変わります。正確なデーターを取りたいときは、複数回測定して平均値を求めるようにしてください。
・ボールを反発させる面は、かたく、がたつきのないものを使ってください。薄い板や防音タイプの床などは、衝突の衝撃を吸収するのでうまくいきません。

跳ねないボールも跳ねる!温度と反発力の不思議な関係

ゴム球の温度を上げると衝突時の反発力が大きくなり、温度を下げると小さくなるのは、衝突の前後でエネルギーの合計が変わらない「エネルギー保存の法則」がはたらいているからです。球の温度を上げて運動エネルギーから熱エネルギーへの変換を少なくすると、衝突後の運動エネルギーがあまり減少せず、反発力が大きくなります。ゴム球を弾ませて観客に見せた後で、見た目がそっくりな弾まない球にすり替え、落下させて驚かせる「跳ねないボール」という手品があります。この跳ねないボールも、お湯で温めてやると、少し跳ねるようになります。これぞ科学マジックですね。

やわらかいゴムと、かたい鉄の反発力はどう違うの?

スーパーボールは、普通の床や地面でよく弾みます。鉄球は普通の床や地面ではあまり弾みませんが、石板などの非常にかたい面に落とすと結構よく弾みます。ゴムと鉄の弾み方の違いには、どういう理由があるのでしょう。
ゴムはたくさんの分子が立体的にゆるくつながった構造をしています。床などに衝突するとゴム球は変形し、すぐにもとの形に戻ろうとします。このとき、多くのエネルギーは運動エネルギーとして使われて反発力を生み、一部は熱や音の発生に使われます。
一方、鉄は鉄原子が規則正しく並んだ結晶構造をしています。ゴムのように容易に変形しないかわりに、元に戻ろうとする力も強力です。鉄球がかたい面に衝突すると大きな反発力が生じますが、それほどかたくない面では、ぶつかったものを変形させて多くの運動エネルギーを熱や音に変えます。そのため、今回のような条件で温度を変えて実験しても、あまり差を観察できない可能性があります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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