なんでだろう?
炎にへだてられた2本の針の間に稲妻のような光が走りました。
そうなんだ!
光の正体は、稲妻と同様の放電現象によるものです。炎をはさんだ2本の針(電極)の間に高い電圧をかけると、放電が起こって空中を電流が流れます。電源に利用しているのは、ライターの着火装置などに使われる圧電素子という部品です。空気は本来、電気を通しにくい物質ですが、圧電素子は瞬間的に高い電圧を発生させるので、ごく近い距離なら放電が起こります。しかし、電極間の距離がある程度離れると、空気の絶縁性のため放電は起こりません。それではなぜ、電極の間に炎があると、かなり離れた距離でも放電するのでしょう。
炎は、固体でも液体でも気体でもない、プラズマという特殊な状態であると考えられています。気体を高温にすると、気体を構成している原子や分子が激しく衝突し、プラスの電気を帯びた陽イオンと、マイナスの電気を帯びた電子に分かれます。この状態がプラズマであり、通常の気体とは異なる性質を持ちます。その一つが、電気が通りやすくなる通電性です。本来は電気を通さない気体でも、プラズマになると電子が自由に飛び回っているので、電圧をかけると電気が流れるのです。
①点火用の圧電素子 1個
②まち針 2本
③クリップ付きリード線 2本
④ブックエンド 2個
⑤ガスライター
⑥ゴム手袋
・セロハンテープ
実験で使用した材料の詳細
・点火用圧電素子 松本無線パーツ 圧電素子 No.10
・まち針 藤久 Craft Cafe セル待針18本入
・ブックエンド 大創産業 ブックスタンド カラー 大
・ガスライター 大創産業 CR 使いきりターボ炎 ハンディーガスマッチ
・ゴム手袋 アスクル 現場の力 使いきりニトリル手袋ブルー M 粉なし(100枚入)
・ビジュアル用ガスバーナー コールマン ラボガス(Labogaz 206)
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
圧電素子にクリップ付きリード線をつなぎます。
※これら以外のタイプは購入店に問い合わせてください。 -
2
ブックエンドにもう片方のクリップをテープで図のように固定します。
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3
クリップにまち針をはさみ、針先が一直線に向き合うようにしてください。
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4
まち針の間隔を5mm程度にし、ゴム手袋をはめて圧電素子を押して放電が起こることを確かめます。
※感電する恐れがあるので、必ずゴム手袋をはめてください。 -
5
完全に放電が起こらなくなるまで、少しずつまち針の間隔を広げます。
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6
(5)の状態でライターの火をつけ、針と針の間に炎がくるようにして圧電素子を押します。
炎があるとふたたび放電が起こることを観察します。
実験を成功させるコツとヒント
・点火用圧電素子は、本体を押すと正負の2つの電極に間に高い電圧が生じます。電極のリード線や金属端子などの形状で、写真やイラストで紹介しているもの以外にもさまざまなタイプがあります。不明な場合は購入店に問い合わせてください。
・圧電素子は点火用以外のものもあるので、購入の際はご注意ください。
・炎の色が明るすぎると放電が見えづらくなります。空気量を調節して炎の色を薄くしたり、炎の周辺部を使ったりして見やすくしてください。
プラズマって何? 身の回りから宇宙まで広がるプラズマの世界
物質が固体、液体、気体の3つの状態をとることはよく知られていますが、プラズマという第4の状態を意識することは普段あまりないでしょう。しかし、宇宙の物質の99%はプラズマ状態であるともいわれ、むしろ固体や液体の方が宇宙では例外的な状態です。宇宙で最も代表的なプラズマは太陽です。太陽などの恒星は、非常な高温のために全体がプラズマ状態になっています。その太陽から放出される太陽風もプラズマであり、太陽風が地球の磁場に作用して引き起こされるのがオーロラです。
身近に視点を移すと、実験で確かめたように、ガスやロウソクの炎は、燃焼による高温がつくりだしたプラズマ状態です。蛍光灯は、管の中の気体の水銀をプラズマ化し、そこから放出される紫外線を蛍光物質に当てて発光させています。また、ネオンサインや一部のテレビ、空気清浄機にも使われており、意外なところで活躍しているのです。さらに、半導体の精密加工やロケットエンジンなど、さまざまな先端技術への応用も期待されています。
どうしてプラズマでテレビが映せるのでしょう?
プラズマと聞くと、プラズマテレビを思い浮かべるかも知れませんね。それまで、あまり一般的ではなかったプラズマという言葉が、家電製品の名称になって身近に感じるようになりました。
プラズマテレビ(プラズマディスプレイ)の原理は、蛍光灯とよく似ています。2枚のガラス基板の間に特殊なガスを封入し、電圧をかけて放電を起こすと、ガスがプラズマ状態になり紫外線が発生します。この紫外線がガラスに塗った蛍光塗料に当たると発光します。赤、緑、青(光の三原色)の蛍光塗料を塗った微小なセル(画素)を多数並べ、画素それぞれの明るさをコントロールして点灯することで、美しいカラー映像を映し出すことができるのです。プラズマディスプレイは、プラズマ放電によって映像をつくることなどから、比較的多くの電力を消費します。そのため、最近ではあまり使われなくなりました。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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