なんでだろう?
箱の中の風船が、ひとりでに破裂しました。風船には誰も手をふれていません
そうなんだ!
フタをした箱の中で、手をふれずに風船を割ることができるのでしょうか。
風船しか入ってなければ難しそうですが、箱の中には液体の入ったコップが
あり、泡が出ています。実は、コップの中身は水に重曹とクエン酸を溶かしたものです。重曹とクエン酸溶液が反応すると二酸化炭素が発生します。風船を破裂させた犯人は、箱の中に充満した二酸化炭素だったのです。
それではなぜ、二酸化炭素でゴム風船が破裂するのでしょう。気体分子は、分子が網目状につながったゴム膜を、圧力の高い方から低い方へ少しずつ通り抜けます。その際粒子の小ささと膜への溶けやすさが通り抜けやすさに影響します。二酸化炭素はゴムに溶けやすく、いったんゴム膜に溶けて拡散し、通り抜けます。二酸化炭素は、窒素や酸素だけでなく、粒子の小さな水素と比べても、ゴム膜を通りやすいのです。風船の外の二酸化炭素は、ゴム膜を通って二酸化炭素の圧力が低い風船内にどんどん入ってきます。一方、風船の中の空気は短時間ではほとんど外に出ていかず、風船がふくらんで破裂したのです。
①水風船などの小型の風船 1個
②バケツや観察ケースなどの容器
③重曹
④クエン酸
⑤計量スプーン大さじ
⑥計量カップ
⑦プラスチックのコップ
⑧下敷きなどフタにできるもの
・水
![](/resource/img/library/no259/tool01.jpg)
実験で使用した材料の詳細
・小型の風船 大創産業 水ふうせん
・容器 大創産業 飼育容器(中)
・重曹 大創産業 落ち落ちV 重曹350g
・クエン酸 大創産業 落ち落ちV クエン酸200g
・計量スプーン エコー金属 計量スプーン3本組
・計量カップ 大創産業 計量カップ(容量250ml)
・プラスチックのコップ 大創産業 クリアカップ275ml
・下敷き 大創産業 下敷き 透明 A4
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
-
1
風船をできるだけ大きくふくらませて口をしばって閉じ、容器に入れます。
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2
プラスチックのコップに重曹とクエン酸をそれぞれ計量スプーン大さじ2杯入れ、風船の横に置きます。
-
3
コップに水100mLを注いで軽くかき混ぜ、下敷きなどで容器にフタをします。
※換気に気をつけて行いましょう。 -
4
そのまま30分程度観察します。徐々に風船が大きくなり、やがて破裂します。
※破裂すると大きな音がします。事前に家の人に知らせておきましょう。
実験を成功させるコツとヒント
・風船は小さめのものを使い、なるべく大きくふくらませてください。ふくらみ方が足りないと割れるまでに時間がかかったり、割れなかったりする場合があります。
二酸化炭素の増加は、なぜ地球を温暖化させるのでしょう?
現在の地球はどんどん暖かくなっており、その主な原因は二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの増加であると考えられています。それではどうして、二酸化炭素が増えると気温が上昇するのでしょう。
地球は太陽からの熱エネルギー(赤外線)で温められています。もし、大気中に温室効果ガスがなければ、地球が受けた熱エネルギーはほとんど宇宙空間に逃げてしまい、地球の平均気温は現在より30℃以上低い極寒の惑星になるでしょう。ところが、二酸化炭素などの温室効果ガスは赤外線を吸収する性質を持っており、地球から出ていく赤外線を吸収して、一部を再び地球に向かって放出します。ちょうど温室のガラスのように、地球から出ていく熱を閉じ込めているのです。現在の気温は適度な温室効果によるものですが、大気中に二酸化炭素が増えると温室効果が強まり、気温も上昇します。その結果、生態系や人々の生活に深刻な影響が現れると考えられています。
![](/resource/img/library/no259/know01.png)
膜を使って二酸化炭素を回収
地球温暖化を防ぐために、その原因物質とされる二酸化炭素の削減が世界的な課題です。省エネなどで排出を抑えるだけでなく、排出された二酸化炭素の回収も重要なのですが、他の気体に混ざっている二酸化炭素を分離するのは、容易ではありません。ところが、今回の実験でわかるように、ゴムなどの薄い膜には二酸化炭素を他の気体から分離するはたらきがあり、有望な回収技術として注目されています。膜を使った分離法は、他の方法と比べて、非常に少ないエネルギーしか必要としないという利点があります。現在、日本をはじめ世界各国で、より効率のよい膜の素材や回収技術の研究が進められています。
日本ガイシでは天然ガスからメタンと二酸化炭素の分子をふるい分けるサブナノセラミック膜を開発しています。
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