試してフシギ

アルキメデスの原理浮力を直接はかってみよう(No.254)

浮力を直接はかってみよう 浮力を直接はかってみよう

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

水中のボールをはかりで押さえます。示しているのは何の値でしょう?

そうなんだ!

ボールが浮き上がろうとする力なので、ボールの浮力と考えられます。浮力をはかる実験では、バネばかりに物体をつるし、水中に沈めたときの重さの変化を見る方法が一般的です。空中より軽くなった分が浮力というわけです。ところがこの方法では、水より軽い物体の浮力をはかるのは困難です。
そこで、100円程度で売られている簡易キッチンスケールを使って、浮力を直接はかってみましょう。このタイプのはかりは、あまり精度が高くなく目安程度ですが、上向きにはたらく力もはかれるものがあります。ボールを完全に水に沈め、はかりの台で押さえて目盛りを読みます。これがボールの浮力です。
測定した浮力を別の方法で確かめてみましょう。ボールの体積を水に置き換え、重さをはかります。直接はかった浮力と比べると、おおよそ一致することがわかります。浮力は、物体が押しのけた水の重さと等しいという原理は、古代ギリシャのアルキメデスが発見したといわれています。

①簡易キッチンスケール
②普通のはかり
③ボールなどの浮力をはかるもの
④ものを沈める容器
⑤水を受ける容器
・水

実験で使用した材料の詳細

・簡易キッチンスケール 大創産業 キッチン目安計
・通常のはかり 海外製 デジタルキッチンスケール QE-KE-4
・青いボール 大創産業 パールエアーボールミニ
・ものを沈める容器 大創産業 飼育容器(中)
・水を受ける容器 大創産業 スッキリ収納トレーワイド

〈ビジュアル用〉
・アヒル Kei Road(ケイ ロード) アヒルの親子 ウキウキ 60個入り
・カエル munchkin 水でっぽう8コセット/ファーム
・カラーサッカーボール タニカトーイ ビニールサッカーボール(黄)4インチ

〈動画用〉
・浮力をはかるもの おもちゃの大阪玩具 海の仲間たちぷかぷかエアーヨーヨー(かめ)

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    普通のはかりにキッチンスケールを押し当てて力を加え、両方の表示を比べます。
    大きな差がなければ、キッチンスケールを逆さにしても使用できます。
    ※簡易キッチンスケールの表示は目安です。
    50グラム程度の誤差があります。

  • 2

    水を受ける容器にものを沈める容器を置き、水をいっぱいに入れます。

  • 3

    キッチンスケールでボールを押さえて完全に水中に沈め、表示される目盛りを読みます。

  • 4

    あふれた水の重さをはかり、③の値と比べます。

  • 5

    さまざまな形や材質のもので浮力を測定してみましょう。

実験を成功させるコツとヒント

・簡易キッチンスケールは、目盛りの最小値や最大値付近では誤差が大きくなります。なるべく目盛りの中間付近で使用してください。

意外に感じるけど、鉄も木も浮力は同じ!?

アルキメデスの原理に従えば、水中にある同じ大きさの鉄と木の浮力は同じです。水に沈む鉄と浮く木が同じ浮力なんて信じられないかも知れませんが、物体の浮力は体積で決まるのです。鉄が沈み木が浮くのは、鉄と木の密度が違い、同じ体積でも質量が違うからです。密度が高く質量の大きい鉄は、浮力より重力がまさるので沈み、密度が低く質量の小さい木は、重力より浮力がまさるので浮きます。アルキメデスは王冠の材料を調べる方法を考えているときに、浮力の原理を発見したと伝えられています。質量と体積(浮力)の関係から、純金との密度の違いを証明しました。

空気中でも成り立つアルキメデスの原理

気球や飛行船が空に浮かぶ理由を考えてみましょう。アルキメデスの原理は、水などの液体中だけでなく、空気などの気体中でも成り立ちます。気球や飛行船が押しのけた空気の重さが浮力になるのです。
気球や飛行船の中には、地上付近の空気より密度が低い水素やヘリウムなどの気体が入っています。そのため、気球や飛行船本体の質量を合わせても同じ体積の空気より軽くなるので、重力より浮力がまさって浮き上がります。ところが、空気の密度は高度が上がるにつれてどんどん低くなっていくので、上空では浮力が小さくなり、やがて上昇が止まります。ちなみに熱気球の場合は、気球の中の空気を熱することで、周囲の空気より密度を低くして浮力を得ています。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
本サイトのコンテンツ利用に関しては、本サイトお問い合わせ先までご相談ください。

このサイトが気に入ったらシェアしてください

page top