なんでだろう?
複数の振り子がさまざまな形を描きながら1分後にスタート地点に整列しました。
そうなんだ!
一斉に動き出した振り子のビー玉(オモリ)は、波を描いたり、左右2列に並んだり、バラバラになったりと、途中で複雑に形を変えていきます。そして、スタートからちょうど1分後に元の一直線に戻ります。
実は、振り子のオモリが往復する時間(周期)は振り子の長さで決まります。そのため、厳密に長さを調節した振り子を作れば、狙った場所にタイミングを合わせて整列させることが可能です。
写真の振り子は、1分間に46回から55回往復するように正確に長さを調節してあります。すべての振り子を同時に揺らし始めると、周期の違いで少しずつ揺れ方がずれていき、1分後にはすべてスタート地点に戻ります。
振り子を使ったこのようなしかけは、
ペンデュラムウェーブと呼ばれています。
①プラスチックの下敷き 1枚
②キッチン整理棚(上部がすのこ状で幅40cm程度のもの)
③大型ビー玉(直径25mm程度) 10個
④ストロー(直径4mm) 1本
⑤ナイロンテグス2号 10m
⑥50cm定規
⑦園芸用支柱(50cm程度) 4本
⑧ダブルクリップ 10個
・カッターナイフ
・はさみ
・セロハンテープ
・両面テープ
・サインペン
実験で使用した材料の詳細
・プラスチックの下敷き 大創産業 下敷き 透明 B5
・キッチン整理棚 大創産業 積み重ね整理棚(縦39.5×横14×高さ15cm)
・大型ビー玉 大創産業 ビー玉 メタリックカラー ビッグ
・ストロー 大創産業 ミニストロー 100本
・ナイロンテグス 大創産業 道糸 2号
・50cm定規 大創産業 幅広タイプ方眼直線定規 CLEAR
・園芸用支柱 大創産業 のび~る支柱(長さ40~60cm×3本)
・ダブルクリップ 大創産業 ダブルクリップ シルバー 狭口25mm
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
振り子のテグスを留める部品を下敷きで作ります。整理棚のサイズと形状に合わせて、長方形の小片を10組(20枚)切り取ります。
※整理棚の形状によっては、8組や9組でもかまいません。 -
2
長さ1cmに切ったストローを、セロハンテープですべてのビー玉に固定します。
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3
テグスをビー玉のストローに通し、ビー玉の中心からの長さが「振り子の長さ表」の1番の数値に近づくように定規で測り、両面テープを貼った①の部品にはさんで固定します。サインペンで番号を記入し、10番(または8、9番)まで同様に作ります。
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4
整理棚の足に園芸用支柱をセロハンテープで固定し、振り子をつるす台を作ります。
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5
④の台に振り子をナンバー順に並べて留めたら、ペンデュラムウェーブの完成です。
※振り子の糸が棚板に触れないように留めてください。 -
6
定規を使って全部の振り子を図のように一斉に動かし、揺れ方を観察します。
1分後にそろわない振り子がある場合は、テグスの長さを 微調整してください。
※テグスを長くすると周期が長く、短くすると短くなります。 -
完成図
振り子の長さ表(ビー玉の中心からの長さ)
※ビー玉が直径25mm、ストローが直径4mmの場合、テグスの長さはこの値から1.65cm引いたものになります。
※移動や保管する際は、テグスがからまないようにプラスチックの部品に巻きつけ、必ずクリップで留めてください。
仕切り付きのケースを利用すると整理しやすくなります。
実験を成功させるコツとヒント
・正確に測って製作しても、材料や工作の精度によって多少の誤差が生じる場合があります。一度組み上げて振り子を動かし、それぞれの振れ方を見ながら糸の長さを微調整してください。
・工作中も、完成してからも、テグスの糸からみに注意してください。複数のテグスを同じ場所に置く場合は、必ず何かに巻きつけてクリップなどで留めるようにしてください。
・振り子の振幅を大きくし過ぎると台が不安定になるうえ、周期に誤差が生じる場合があります。棚の幅の範囲内で揺らすようにしてください。
単純な振り子の動きに隠された複雑な科学のテーマ
今回の実験でわかるように、振り子の糸の長さを変えると周期が変わります。しかし、オモリの重さを変えても周期は変わりません。また、揺れの大きさ(振幅)が変わっても周期は同じように見えます。これを振り子の等時性といい、最初に発見したのは16世紀イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイといわれています。振り子の等時性を利用して、後にオランダのクリスチャン・ホイヘンスが振り子時計を作りました。
実は、ガリレオの息子も振り子の等時性を利用した時計を作ろうと試みたのですが、成功しませんでした。その後、振り子の等時性は振幅が一定の範囲でのみ近似的に成り立ち、振幅が大きくなるほど誤差が大きくなるということに気付いたホイヘンスは、大きく振れたときの補正装置を考案し、振り子時計を完成させたのです。
振り子の等時性が成立しない場合がもうひとつあります。振り子の周期には重力加速度も影響しているので、重力加速度が異なる場所では同じ長さでも周期が異なります。東京と大阪程度ではその違いはわずかですが、高度や緯度が大きく異なる地点では無視できない差になります。この原理を応用して、各地の重力加速度を測定することもできます。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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