試してフシギ

人が乗ると水はどこまで上がる?(No.250)

人が乗ると水はどこまで上がる? 人が乗ると水はどこまで上がる?

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

水を入れた袋に人が乗ると、袋につながった管の水はどうなるでしょう。

そうなんだ!

正解は、②の「顔くらいまで上がる」です。なぜ管の水がその高さで止まるのかは、パスカルの原理で説明することができます。液体や気体を容器に閉じ込めて一部分に力をかけると、容器のどの部分にも同じように力がかかるという法則です。つまり、同じ面積あたりにかかる力は等しく、受ける力は面積に比例します。この実験で使う袋に水を入れて板を乗せると、袋と板が接する面積は約400平方センチメートル。一方、袋につながっている管の断面積は約0.2平方センチメートルなので、管の口の断面にかかる力は板の約1/2000です。その力と同じ力で外から押してやると、力が釣り合って水は動きません。
体重40kgの人なら、管に約1m水が入ると水の重さで力が釣り合います。このとき、水の高さは体重に比例しますが、管の太さには関係しません。管が細いと小さな力で釣り合い、管が太いと水量が多くなるからです。

①ウォーターバッグ(35cm×25cm程度でフラットなもの)
②キリ
③彫刻刀
④ビニールチューブ (直径5mm程度)2m
⑤板(ウォーターバッグと同じくらいの大きさ)
⑥メジャー
・水
・支えにする机やいすなど

実験で使用した材料の詳細

・ウォーターバッグ 大創産業 OUTDOOR WATER BAG(3.9L)約37×23.7cm
・ビニールチューブ コーナン商事 トクシュタイカンチューブ 3×6
・木の板 コーナン商事 端材(中)
・アクリル板(撮影用) モノタロウ ノーブランド アクリル板(透明) 厚さ8mm 8×200×300
・メジャー 大創産業 ロータリーメジャー1.5m

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    キリと彫刻刀で、ウォーターバッグのふたにビニールチューブより少し小さい径の穴を開けます。

  • 2

    ①の穴にビニールチューブをねじ込み、内側に1~2cm引き出します。

  • 3

    バッグに半分程度水を入れ、空気を抜いてふたをきつく閉めます。
    ※水を入れすぎないでください。

  • 4

    バッグを地面に置いて板をのせます。机やいすを支えにし、チューブを持って板の上に乗ります。水の位置をマークしてメジャーで測ります。
    ※水がこぼれてもかまわない場所で実験しましょう。
    ※袋に乗るときは転ばないように必ず手すりとなる支えにつかまってください。

実験を成功させるコツとヒント

・ウォーターバッグのふたとビニールチューブの接合部分から水がもれないように、ふたに開ける穴はチューブの直径より小さくしてください。水漏れする場合は、ふたの裏から接着剤ですき間をふさぎ、完全に乾かしてから実験してください。
・チューブの水の高さは、乗る人の体重とウォーターバッグの大きさによって変わります。水の高さは体重に比例し、ウォーターバッグの大きさ(板と接する面積)に反比例します。
・ウォーターバッグに水を入れすぎないでください。水が多いとバッグがふくらみ、板と接触する面積が小さくなるので水位が上がります。

パスカルの原理を使って小さな力を大きな力に変える

今回の実験を管の方から見ると、管の中のわずかな水の重さが約2000倍の体重を支えています。つまり、パスカルの原理を使えば、小さな力を大きな力に変えることができるのです。このしくみは、てこの原理とよく似ていますが、液体や気体を使うので、コンパクトで自由な形にしやすいという利点があります。パスカルの原理を応用した身近な例が自動車のブレーキです。基本的なブレーキのしくみは、ペダルを踏むと油の入ったピストンが押され、力が伝わって車輪と一緒に動く円板や円筒を摩擦して減速します。踏む側の断面積を小さく、止める側を大きくすることで、踏んだ力よりはるかに大きな力が得られます。他にも、重いものを持ち上げるジャッキや押しつぶすプレス機など、パスカルの原理を使った機器は工場や工事現場で活躍しています。

17世紀の天才科学者パスカルのもうひとつの顔

パスカルの原理を発見し、圧力の単位に「パスカル(Pa)」の名を残すブレーズ・パスカル(1623〜1662)は、科学や数学の天才として知られています。幼い頃から数学の才能を発揮し、その後の数学に大きな影響を与えるパスカルの定理を導いたり、確率論の基礎をつくったり、機械式計算機を開発するなど、数多くの業績を残しました。
その一方で、パスカルはキリスト教を深く信仰し、神学者や哲学者としても活躍しました。「人間は考える葦(あし)である」という有名な言葉は、人間の弱さと尊さを見事に言い表したものとして、現代でも多くの人に影響を与えています。39歳の若さで亡くなったパスカルの多くの思索や名言は、死後『パンセ』という本にまとめられました。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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