試してフシギ

音の伝わり方水を伝わる音はどんな音?(No.248)

水を伝わる音はどんな音? 水を伝わる音はどんな音?

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

外からは聞こえにくい音が、水中ではしっかり聞こえます

そうなんだ!

シンクロナイズドスイミングの選手は一見、音が聞こえないように思える水の中で、音楽を聴きながら演技をしているといいます。音は水の中でも空気中と同じように聞こえるのでしょうか。簡単な水中マイクを自作して、水の中を伝わる音を聞いてみましょう。
水の中で金属のクリップをぶつけると、水の外ではかすかな音しか聞こえません。ところが水中マイクで音を拾うと、カチカチという音がしっかり聞こえます。水中スピーカーで音楽を流すと、空気中とは少し音色が違いますが、音楽もはっきり聞こえます。
私たちが普段聞く音は、音源の振動が波(音波)となって空気を伝わり、耳の鼓膜をふるわせて聞こえます。空気だけでなく、水でも金属でも、音波を伝える物質があれば音は伝わります。性質の異なる物質へは音波が伝わりにくいので、水の中の音は外からは聞こえにくいのですが、水の中ではよく聞こえるのです。

①耐震マット(5cm角) 1枚
②目玉クリップ(中) 2個
③ミニスピーカー 1個
④チャック付きポリ袋(小)
⑤プラスチック容器
⑥割りばし 1本
⑦ストロー 1本
⑧ダブルクリップ 1個
⑨ボイスレコーダーと付属のイヤホン
・はさみ
・セロハンテープ

実験で使用した材料の詳細

・耐震マット 大創産業 耐震マット
・目玉クリップ セイワ•プロ 目玉クリップ(中)
・ミニスピーカー 大創産業 耳もとキューブスピーカー
・チャック付きポリ袋 大創産業 チャック付き収納パック 小物用(小)
・プラスチック容器 無印良品 アクリル 小物収納1段 CUBBY BOX
・ダブルクリップ アスクル ダブルクリップ ブラック 中 幅25mm
・ボイスレコーダー オリンパス Voice-Trek V-51

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

工作・実験の手順

  • 1

    耐震マットを半分に切り、それぞれの端を目玉クリップではさみます。

  • 2

    ミニスピーカーをチャック付きポリ袋に入れ、簡易水中マイクを作ります。
    割りばしを差し込み、スピーカーのコードを出して袋の口を閉じます。
    ※スピーカーはマイクと構造が同じなのでマイクの代わりに使います。

  • 3

    プラスチック容器に水を入れ、ストローとダブルクリップを図のように組み合わせて、水中マイクの袋を水の中に固定します。

  • 4

    ミニスピーカーのコードをボイスレコーダーのマイク端子に接続し、録音待機状態にします。

  • 5

    ①を水の中でぶつけ、水の外に伝わる音を聞きます。

  • 6

    ボイスレコーダーのイヤホンを耳に付け、①をぶつけて水の中を伝わる音を聞きます。
    ②と同じものをもう1組作り、オーディオ機器に接続して水中で音を出せば、水中を伝わる音楽を聞くことができます。

実験を成功させるコツとヒント

・水中マイクのポリ袋は、中の空気をできるだけ追い出して水に沈めてください。また、袋に水が入らないように、必ず袋の口を水面より上にしてください。
・ボイスレコーダーのモニター音量は、なるべく大きめに設定してください。尚、この状態で水中マイクの袋に触れると大きな雑音が発生するので注意してください。
・ボイスレコーダーの外付けマイクがある場合は、ミニスピーカーの代わりに使うと感度がアップします。

水中での通信手段は「音」が主役です

現代の通信手段は、携帯電話や無線通信のように電波を使うものが主流ですが、水中ではどうでしょう。実は、水中では電波がすぐに弱まってしまい、一部の特殊な電波を除くと通信手段には適しません。そこで、水中でも比較的遠くまで届く音波が、さまざまな用途に利用されています。
潜水調査船と母船との連絡をはじめ、潜水船が水中で自分の位置を知るGPSのようなしくみや、レーダーのように障害物を探知するソナーなどにも音波が使われています。音波による最新の通信技術では、音声だけでなくカラー画像を送れるものもあります。

音を使って水中でコミュニケーションするクジラ

水中での音の利用に関しては、人間よりクジラやイルカの方がはるかに先輩です。クジラのなかまの水生動物は、水中でさまざまな音声を発し、またそれを聞く能力を持っています。水中スピーカーと水中マイクを備えているようなものですね。
クジラやイルカは、親子や群れで音声によるコミュニケーションをとり、社会的生活を営んでいると考えられています。シロナガスクジラなどの大型のクジラでは1000km以上も鳴き声が届くという研究もあり、地球規模で海洋を回遊するクジラたちが音声で遠距離通信をしている可能性も指摘されています。また、イルカや一部のクジラは、音波をレーダーのように使って海中の障害物を避けることが知られています。クジラたちは音を巧みに利用して、水中で独自の進化をとげてきました。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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