試してフシギ

大気圧ポリ袋を破る謎の力(No.243)

ポリ袋を破る謎の力 ポリ袋を破る謎の力

実験監修:教育学博士 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

ポリ袋を張った「ろうと」を吸うと、大きな音をたてて破裂しました

そうなんだ!

薄いポリ袋に息を吹き込んで息の力だけで破裂させようとしても、容易には破れません。ところが、ろうとの開口部にポリ袋をピンと張って先端から強く息を吸うと、比較的簡単に破ることができます。いったいどんな力がはたらいて、ポリ袋は破れたのでしょう?
ろうとにポリ袋を密着させて息を吸うと、ろうとの内側の空気が減少して圧力が下がります。一方、ろうとの外側には常に一定の空気の圧力(大気圧)がかかっています。そのため、ポリ袋は大気圧によって外側から強く押されるようになり、耐えられなくなって破裂したのです。
地上付近の大気圧は1平方センチメートルあたり約1kg重になり、実験で使ったろうとの開口部には約80kg重の圧力がかかります。普段は内側からも同じ力で押されているので圧力を感じませんが、密閉して内側の空気を減少させると、大気圧が大きな力となって現れます。

①ろうと(直径10cm程度)1個
②ポリ袋(厚さ0.02mm)1枚
・はさみ
・セロハンテープ

実験で使用した材料の詳細

・ろうと パール金属 PCロート大
・ポリ袋 大創産業 キッチン用保存ポリ袋 (小) 縦250mm×横180mm(厚さ0.02mm)

※実験材料の一例です。準備する際の参考にしてください。

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    ろうとの開口部より一回り大きいサイズでポリ袋を切り取ります。

  • 2

    ポリ袋でろうとの開口部をおおい、たるみがでないようにピンと張ってセロハンテープで固定します。
    ※四すみを対角線方向に引っぱりながらテープを貼り、すき間をうめるように全体で8ヵ所程度をとめます。

  • 3

    ろうとの先端部から強く息を吸うと、大きな音をたててポリ袋が破れます。

実験を成功させるコツとヒント

・ポリ袋の厚さ(0.02mm)は目安です。息を吸う力が弱い場合は、ポリ袋を薄くすると破れやすくなりますが、薄すぎると伸びるだけで破れない場合があります。
・うまく破れない場合は、密着してない部分がないか確認してください。
・息を吸うときは、先に軽く吐いてから勢いよく息を吸い込んでください。

ドラム缶も簡単につぶれる大気圧の意外な大きさ

ポリ袋を破るくらいでは、大気圧はそれほど大きいと感じないかもしれません。それでは、実際に行われたこんな実験ならどうでしょう。ドラム缶の中に水を少し入れ、下から加熱して沸騰させます。どんどん加熱すると、中の空気が追い出されて水蒸気だけになります。そこで、ドラム缶を密閉して冷やします。水蒸気が冷えて気体から液体に戻ると体積は約1700分の1になるので、ドラム缶の中はきわめて空気の少ない真空状態です。そのため、頑丈なドラム缶でも大気圧に耐えられず、つぶれてしまいました。大気圧はかかる面積の大きさに比例するので、表面積の大きいドラム缶では想像をはるかに超える圧力になります。大気圧のこの力は、真空ポンプや掃除機に利用され、暮らしに役立っています。

高さが変われば気圧も変わる。大気圧と高度の関係

飛行機に乗ったり、高層ビルのエレバーターに乗ったりすると、耳がツンとなることがあります。この原因は高度による大気圧の違いです。大気圧は、その場所の上空にある大気(空気)の全質量なので、高度が高くなるほど大気圧は低くなります。高度1000mでは地上付近の約9割、10000mなら1/3ほどに低下します。耳の鼓膜は薄い膜でできており、耳の外側と内側の空間を隔てています。そのため、気圧差のある場所に急に移動すると、気圧の高い方から低い方に鼓膜が押されてツンとなるのです。
ツンとした感じを直すためには、鼓膜の内外の気圧差を解消する必要があります。耳の内部は鼻と細い管でつながっていますが、普段は閉じています。ものをのみ込んだり、あくびをしたりするとと管が開くので、耳が通ります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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