なんでだろう?
絵の上に透明な筒を置くと、拡大された絵の中に縮小された部分が現れました
そうなんだ!
拡大と縮小が同時に見られる秘密は、透明な筒に入れた水にあります。水で筒を完全に満たすのではなく、少しだけ空気が残るように量を調節しているのです。
水は筒の形によって真ん中が厚く両端が薄い形状になるので、水に満たされた部分は凸レンズと同じはたらきをします。そのため、筒の向こう側が拡大されて見えます。一方、空気の泡がある部分では、水がまるい泡に押されてへこみ、凹レンズのような形状になります。そのため、泡の部分では縮小されて見えるのです。
ところで、空気の泡はなぜまるくなるのでしょう?
水は分子どうしが引っ張り合う力が強い物質です。水分子が互いに引っ張り合う結果、空気との境界面をできるだけ小さくしようとして、まるくなります。これを表面張力といい、コップのふちで水が盛り上がるのも同じ理由です。
1. 円筒形の透明な密閉容器(直径2cm〜5cm程度)
2. 水
・絵や雑誌など
実験で使用した材料の詳細
・円筒形の透明容器 大創産業 ワンタッチボトル100ml
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
円筒形の容器に水をいっぱいに入れ、1〜2滴分捨ててから、ふたをしっかり閉めます。
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2
容器を横にして、泡の形をチェックします。 容器の直径の1/4〜1/3の大きさで、円形に 近い泡が理想的です。
※泡が細長いだ円形になっている場合は、水が少なすぎます。泡が小さい場合は、水が多すぎます。水の量を調整してください。 -
3
絵などの上に水を入れた容器を水平に置き、泡の部分とその他の部分で見え方がどう変わるかを観察します。
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4
泡の大きさや容器の直径、形状の違いで、見え方がどう変わるか調べましょう。
実験を成功させるコツとヒント
・水中に細かい気泡が含まれていると、像がきれいに見えません。入れたての水道水には気泡が含まれている事が多いので、しばらく置いて気泡がなくなってから実験してください。
葉っぱの水玉も、アメンボが沈まないのも表面張力のはたらき
表面張力は、表面の面積をできるだけ小さくするようにはたらく力です。同じ体積で表面積が最も小さくなる形は球形なので、重力の影響がない宇宙空間などでは、水は完全な球になります。地球上では重力に引っぱられてつぶれた形になりますが、葉っぱについた水滴程度の小さい質量では、重力より表面張力がまさるので球に近い形になるのです。また、水面をスイスイ走るアメンボは、アメンボにかかる重力が水面を押し下げますが、やはり水の表面張力の方がまさっているので沈みません。
意外な使い方から始まったレンズの歴史
レンズの一般的な役割は、ものを大きくして見たり、小さくして見たりすることですね。ところが、人類がレンズを使い始めた頃は、別の用途が主だったようです。現存する最古のレンズといわれているのは、諸説ありますが、アッシリアの遺跡から発掘された紀元前700年頃の水晶の凸レンズです。この時代のレンズは太陽の光を集め、火を起こすために使われたと考えられています。レンズが拡大鏡やめがねとして使われるようになるのは、イタリアで高品質なガラスが製造されるようになった13世紀以降でした。 一方、古代ローマの文献に「小さな文字でも水を満たした球形のガラスの容器を通してみると拡大してはっきり見える」という記述があることから、当時の人もレンズが像を拡大する機能は認識していたようです。このときの古代ローマ人は、水中の泡が像を縮小することに気付いていたでしょうか?
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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