なんでだろう?
紫外線で照らすと緑の葉っぱが赤く光りました
そうなんだ!
薄暗い場所で、植物の葉に紫外線ライトの光をあててみましょう。すると、緑色の葉が赤紫色に光っているように見えます。紫外線ライトは、目に見えない紫外線と青っぽい光しか出しません。それなのに、葉が赤く光って見えるのは不思議ですね。
葉の赤い発光は、緑の葉に含まれるクロロフィルという物質が起こす現象です。クロロフィルは、光を吸収するとエネルギーの高い不安定な状態になります。不安定になったクロロフィルは、エネルギーを放出して安定した状態に戻ろうとします。植物はそのエネルギーを利用して光合成を行いますが、使われなかったエネルギーの一部は赤い光として放出されます。これをクロロフィル蛍光といいます。
通常のクロロフィル蛍光はごく弱いものなので、蛍光を見るためには、葉からクロロフィルを抽出するなどの特殊な方法が必要です。しかし、高いエネルギーを持ち、観察のじゃまになる可視光を含まない紫外線なら、(生の)葉のままでも蛍光を見ることができます。
1. 紫外線ライト(ブラックライト)
2. LEDライト
3. 大葉などの新鮮な植物
・本などにのっている印刷された葉
実験で使用した材料の詳細
・紫外線ライト La Blanche ジェルネイル用ペン型UV LEDライト 携帯用/9灯
・LEDライト ELPA ARMY SPEC DOP-011SL
・植物の葉 大葉
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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部屋を薄暗くして、植物の葉に紫外線ライトの光をあてて観察します。
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比較のために、同じ葉にLEDライトをあてたり、紙に印刷された葉に紫外線ライトをあてたりしてみましょう。
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3
植物の種類や、葉の状態による違いを調べてみましょう。生えている植物でも試してみましょう。
実験を成功させるコツとヒント
・周囲が明るすぎると蛍光がよく見えません。薄暗くして実験して下さい。
光合成の要になるクロロフィルを紫外線で調べよう
光合成はよく知られているように、植物などが光のエネルギーを使って、水と二酸化炭素からデンプンなどの有機物と酸素を生み出すはたらきです。その際に、光から光合成に使うエネルギーをつくり出しているのが、葉緑体の中のクロロフィルです。そのため、クロロフィルが多く存在する場所では光合成がさかんに行われると考えられます。紫外線をあてて蛍光を見る方法で、身近な植物のクロロフィルの分布を調べてみましょう。たとえば、切り取った葉と生えている葉で違いはあるでしょうか? 葉の白い部分(ふ入り)や枯れて変色した葉にクロロフィルは存在するでしょうか? ピーマンなどの緑の実や、スイカの黒い模様ではどうでしょうか?
クロロフィル蛍光を利用した新しい光合成研究
植物の光合成は、古くから科学的に研究されてきました。そのメカニズムもほぼ解明されており、研究しつくされた分野と思われていましたが、近年になって生命科学や地球環境問題の観点から、新しい光合成の研究が注目されるようになりました。人工光合成による光エネルギーの利用や、植物工場での作物の栽培などがその一例です。
これらの分野では、光合成の新しい研究手法として、クロロフィル蛍光からのアプローチが利用されています。「蛍光CCDカメラ」や「パルス変調蛍光測定装置」といった機器が開発されたことで、クロロフィルの状態やはたらきを簡単に調べることができるようになりました。紫外線を使った今回の実験は、いわばその簡易版といったところです。光合成は古典的な科学のテーマであるとともに、最先端の研究対象でもあるのです。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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