なんでだろう?
簡単な手作り測定器で静電気の極性を判定しよう
そうなんだ!
下敷きやストローをティッシュペーパーでこすると静電気が起こりますね。このとき、下敷きやストローはマイナスに帯電しています。ところで、静電気の極性はいつでもマイナスなのでしょうか。実は、こすり合わせる物質の種類によって、プラスに帯電するものもあります。それぞれの極性に帯電しやすい順に並べたものが、下図の帯電列です。図の2つの物質をこすり合わせると、左側にある物質がプラスに、右側にある物質がマイナスに帯電します。それでは、極性を見分けるには、どうすればよいのでしょう?
静電気も電池の電気と同じように、閉じた回路に流すとプラスからマイナスに電流が流れます。そこで、静電気によるわずかな電流をトランジスタで増幅してLEDを光らせる回路を作ります。LEDには極性があるので、プラスに帯電したものをプラス側の足に近づけると放電によって電流が流れ、LEDが光ります。マイナスに帯電している場合はマイナス側の足に近づけると電流が流れ、LEDが光ります。逆の場合は光らないので、静電気の極性が判定できるのです。
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1. トランジスタ 2SC1815型 1個
2. LED(なるべく高輝度なもの) 1個
3. 3Vコイン型電池 1個
4. 虫ゴム 1cm
5. ゼムクリップ(小) 1個
6. プラスチックのシート
※お総菜パックなどの平らな面を切ったもの
7. アルミテープ
8. アクリル樹脂の定規
9. ティッシュペーパー
・セロハンテープ
・はさみ
・油性マーカーなど
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実験で使用した材料の詳細
・トランジスタ 東芝 2SC1815-GR(F)
・LED LED PARADISE 5φ緑色LED
・コイン電池 三菱 リチウム電池 CR2016
・虫ゴム 大創産業 自転車修理用虫ゴム
・ゼムクリップ アスクル ゼムクリップ小(23mm)
・プラスチックのシート 大創産業 フードパック深型タイプL
・アルミテープ 大創産業 台所用アルミテープ(幅70mm×長さ3m)
・アクリル樹脂の定規 レモン カラーアクリル定規 15cm
※実験材料の一例です。準備する際の参考にしてください。
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
トランジスタの平らな面を上にして、左右の足を広げます。
LEDの足も図のように曲げます。 -
2
LEDの短い足とトランジスタの真ん中の足とをねじり合わせて、虫ゴムをかぶせます。
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3
伸ばしたゼムクリップをLEDの長い足といっしょに電池のプラス極に、トランジスタの左足を電池のマイナス極にセロハンテープで固定します。
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4
トランジスタの右足とゼムクリップを手で触れてLEDが光れば、回路は正しく接続されています。
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5
プラスチックシートにアルミテープを図Aの寸法に切って貼ります。
[4]の回路をセロハンテープで図Bのように固定し、プラス・マイナスがわかるように印をつけます。 -
6
アクリル定規をティッシュペーパーで10回ほどこすります。マイナス側のアルミテープを持ってプラス側に定規を近づけるとLEDが光り、逆にすると光らないことを確認します。
身のまわりのいろいろなもので静電気を起こして極性を調べてみましょう。
※静電気を調べるものはアルミテープに触れる直前で止め、しばらくそのままの状態にしてください。
接触させたり、すばやく動かしたりすると極性が逆でも光り、正確に判定できません。
実験を成功させるコツとヒント
・静電気の実験には湿度が大きく影響します。なるべく、気温の低い乾燥した日をおすすめします。また乾燥している冬場でも、加湿器や水分の出るガスストーブなどは使わないでください。
・人体が帯電していると正しく作動しない場合があります。帯電の心配があるときは、金属製の水道の蛇口などをさわり、静電気を逃がしてから実験してください。
・LEDの光は指向性が強いので、正面から見るようにしてください。光が見えにくい場合は、部屋を薄暗くするか、超高輝度タイプの赤色LEDを使用してください。
電気も静電気も、電子が生み出す物理現象です
静電気が、電池やコンセントの電気(電流)と同じように回路を流れ、LEDを光らせることができるのはなぜでしょう? その理由は、電流も静電気も同じ電子による現象だからです。すべての物質を構成するさまざまな原子は、プラスの電気を帯びた原子核とマイナスの電気を帯びた電子でできています。その電子の一部が何らかのきっかけで飛び出し、移動し続けると電流に、とどまると静電気になります。静電気は、2つの物質を摩擦することなどで、片方の物質の電子がもう一方の物質に移動して発生します。電子が増えた方がマイナスに、電子が減った方がプラスに帯電します。静電気は、通常はとどまっていますが、空気中を放電するときや、電子が動きやすい金属などの中を移動するときは電流となります。
静電気が必要なときも、不要なときも帯電列を利用
帯電列は、摩擦によってプラスとマイナスのどちらに、どれくらい帯電しやすいかを示したものです。つまり、図の左側にある物質は電子を放出しやすく、右側にある物質は電子を受け取りやすい物質です。また、位置が離れているほど、多くの電子が移動して多くの静電気が発生します。そこで、静電気の実験などで強く帯電させたいときは、なるべく離れた位置にあるものをこすり合わせます。一方、静電気に弱い電子部品をあつかうときには、人体との摩擦で帯電しやすいアクリルせんい(アクリル樹脂とは別のもの)の衣類などは避けた方が賢明です。また、重ね着する際の組み合わせも、帯電列で近い位置のものを選ぶと静電気をおさえられます。
このように帯電列は大変便利なものですが、実際に測定してみると物質の表面の状態などによって、必ずしも理論通りにならないことがあります。静電気のふるまいは非常に複雑なので、帯電列は大まかな傾向を知る目安と考えましょう。
![](/resource/img/library/no232/know02.gif)
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