なんでだろう?
こすった下敷きをかざすと、魚が上がったり下がったり。
そうなんだ!
静電気を帯びた下敷きをメラミンスポンジでできた魚にかざすと、魚が飛び跳ねるような動きをします。静電気でくっつくのはわかりますが、上下するのは不思議ですね。
この動きは、メラミンスポンジを介して、下敷きとテーブルの間で静電気のやりとりが起こることが原因です。プラスチックの下敷きを紙でこするとマイナスの静電気を帯びます。メラミンスポンジはもともと電気的にプラスとマイナスがつり合っていますが、マイナスに帯電した下敷きをスポンジにかざすと、下敷きに近い側にプラスの電気が集まります(下図1)。スポンジのプラスに帯電した部分は下敷きに吸い寄せられ、くっつきます。すると、下敷きのマイナスの電気がスポンジに移り、スポンジは全体としてマイナスに帯電します(下図2)。マイナスになったスポンジは下敷きと反発してテーブルに落ちます。テーブルはあらかじめ湿らせてありアースの役割をするので、スポンジの余分なマイナスの電気を逃がして(下図3)、スポンジの電気はつり合います。この動きは、下敷きのマイナスの電気が減少し、電気的につり合うまで繰り返されます。
1. メラミンスポンジ(4cm×2cm×1.5cm 1個)
2. ふきん
3. ティッシュペーパー 1枚
4. 透明なプラスチックの下敷き 1枚
・カッターナイフ
・テーブル
・水
実験で使用した材料の詳細
・メラミンスポンジ コーナン商事 メラミンスポンジ ピカイチ
・ふきん 日本箸 使い切りカウンタークロス グリーン
・プラスチックの下敷き 大創産業 A4サイズ下敷き 透明
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
メラミンスポンジをカッターナイフで図のように切ります。
※違う形でもかまいませんが、とがった部分があった方がよく動きます。左の図は写真で使った魚の形の参考です。 -
2
水でぬらして固くしぼったふきんでテーブルをふき、スポンジを置きます。
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3
新しいティッシュペーパーで下敷きを10回程度こすります。
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4
スポンジの上に下敷きをゆっくり近づけ、スポンジがくっついたらその位置で止めます。
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5
そのままの状態で、しばらくの間スポンジの動きを観察します。
実験を成功させるコツとヒント
・静電気の実験には湿度が大きく影響します。なるべく、気温の低い乾燥した日をおすすめします。乾燥している冬場は好条件です。ただし、加湿器や水分の出るガスストーブなどを使わない環境で実施してください。
・テーブルが乾いたら、その都度、ぬれふきんで拭いて湿らせてください。
電気は通さないのに、静電気を通すのはなぜ?
実験で使ったメラミンスポンジは不思議な素材です。
電気を通さない絶縁体に分類されますが、静電気は比較的よく通します。身近な素材では、紙もよく似た性質を持っています。小さく切ったティッシュペーパーを丸めて実験してみると、メラミンスポンジと同じような動きをします。実は、この2つの素材には、どちらもごく細かいせんいがからみ合っていて、表面に汚れなどがつきやすいという共通点があります。
それではなぜ、電気は通さないのに静電気は通すのでしょう?
一般に、静電気は電流はわずかなのに電圧が非常に高い(1000ボルト以上)という特徴があります。そのため、静電気は表面についた汚れや水分を伝わって通ることができるのです。
静電気を上手に逃がして、トラブルを避ける
冬場にドアノブに触れると、ビリッとするのも静電気のしわざです。
着ている服などの摩擦によって発生し、人体にたまった静電気が金属のドアノブに一気に移動することで起こります。実は、このいやな現象を防ぐヒントが、今回の実験にあります。
この実験は、メラミンスポンジを介して、下敷きにたまった静電気が少しずつテーブルに逃げることを利用しています。人体にたまった静電気も、一気に移動させずに少しずつ逃がしてやれば、いやな思いを避けられます。
静電気を通しやすい金属に触れる前に、少しだけ静電気を通すコンクリートや木の壁などをさわりましょう。また、テーブルを湿らせて、アース代わりにしたことも参考になります。きりふきで服に水を一吹きするか、水と同じ役割をする静電気防止スプレーを使うと、静電気を逃がしやすくなります。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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