なんでだろう?
ぬれたガラスを強く押しつけているとくっついて、はがれなくなりました
そうなんだ!
ガラス板を水できれいに洗い、少しぬれている状態で重ね合わせて、クリップで強くはさみます。一晩おいてクリップをはずすと、2枚のガラスはしっかりくっついて容易にはがれません。ガラスは水によって接着しているのでしょうか?
確かに、ぬれたガラスはぴったりくっつきますが、水平方向にずらすと簡単にはがれます。一晩おくと、水も乾いています。実は、ガラスをくっつけているのは、ごく近い分子どうしの間にはたらく力です。これを分子間力といいます。ガラスのように、きわめてなめらかな面どうしを密着させると、接した面の分子の間に引き合う力が多数はたらき、強くくっつくのです。最初に水でぬらしたのは、空気を追い出して2枚のガラスをより密着させるためです。
1. スライドガラス(「縁磨」タイプ) 2枚
※角を磨いてない「切放」タイプを使う場合は、ゴム手袋などを使用して手をキズつけないように注意してください。
2. ゴムシート(厚さ3~5mm)2.5cm×6cm 2枚
3. ペーパータオル(キッチンペーパー)
4. ダブルクリップ(中) 4個
5. プラスチックのコップ(大) 1個
6. たこ糸(30cm程度)
7. ガムテープ
・台所用洗剤
・水
・カッターナイフ
・オモリ(乾電池など)
実験で使用した材料の詳細
・スライドガラス ケニス スライドグラス(水縁磨) 厚み1mm×縦75mm×横25mm
・ゴムシート 和気産業 ゴムシート GS-11 厚み3mm×縦200mm×横200mm
・ペーパータオル 大王製紙 エリエール超吸収キッチンタオル
・ダブルクリップ アスクル ダブルクリップ ブラック
・プラスチックコップ大 大創産業 クリアカップ 545ml
・たこ糸 大創産業 たこ糸40m
・ガムテープ 大創産業 粘着布テープ15m
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
スライドガラスを台所用洗剤できれいに洗い、軽く水を切って図のように重ねます。
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2
①の表面の水をペーパータオルでふき取ります。
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3
ガラスの重なった部分にゴムシートをあて、ダブルクリップで両側からはさみます。そのまま一晩放置します。
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4
ダブルクリップとゴムシートをはずし、2枚のガラスがくっついていることを確認します。
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5
プラスチックのコップとたこ糸でバスケットを作り、ガラスの一端にガムテープでたこ糸を固定します。
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6
バスケットにオモリを少量入れ、ガラスの端を持って静かに持ち上げます。
少しずつオモリを増やして、どれくらいの重さを持ち上げられるか試してみましょう。
※オモリが落ちたときに床がキズつかないよう、座布団やタオルなどを敷いておくとよいでしょう。
実験を成功させるコツとヒント
・スライドガラスは新品か、きれいに洗ったものを使ってください。
・スライドガラスは少し水気が残った状態で重ね、間に気泡やホコリなどが入らないようにしてください。表面に付いている水はペーパータオルで完全にふき取ってください。
接着剤も分子間力を利用。ものをくっつける基本の力
分子間力は分子どうしが十分に接近してないと、はたらきません。
ガラスは表面が非常になめらかなので密着しやすく、分子間力でくっつきやすいのですが、一般の物質は平らなように見えても表面に細かい凹凸があるので、分子間力がはたらきにくくなります。そこで、いろいろな物質をくっつけるときには接着剤が活躍します。
接着剤は3つの作用でものをくっつけます。物質の凹凸に入りこんで「いかり」のようにはたらく作用。一部の物質と化学反応を起こして結合する作用。そして物質の分子に密着して、物質と接着剤の分子の間で分子間力をはたらかせる作用です。
接着剤は、接着するものの性質に合わせてこれらの作用を上手に組み合わせ、最適な接着力を生み出しています。
ぬれたガラスをくっつけているのは、どんな力?
実験の最初にやったように、水でぬれたガラスを重ね合わせると、ぴったりくっつきます。ガラス面と水平な方向へは簡単にずらせますが、垂直な方向にはがそうとすると、非常に大きな力が必要です。このときガラスはどんな力でくっついているのでしょう。
このときガラスとガラスの間は水で満たされています。空気が入れないので、ガラスの外側から大気圧がかかります。吸盤がくっつくのと同じ理由です。大気圧は1cm2当たり約1kg重にもなるので、2枚のガラスは相当大きな力で押しつけられ、くっつくのです。ただし、水は変形しやすいので大気圧が影響しない水平方向の力には弱く、横にずらすと簡単にはがれてしまいます。このことから、水平方向にも動かない乾いた状態は、大気圧ではなく、分子間力がはたらいていることがわかります。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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