なんでだろう?
拡大も記録も自由自在。レントゲン写真のように葉脈を見る。
そうなんだ!
葉の葉脈は、まるで人の指紋のように植物によってさまざまです。葉脈の複雑な形や、種類による違いにはどんな意味があるのでしょう?
葉脈の観察は、薬品を使って標本にするのが一般的ですが、実はもっと手軽に見る方法があります。簡易なライトボックスとデジタルカメラを利用するのです。この方法なら、観察も記録も簡単なので、いろいろな植物で数多くの葉脈を調べることができます。
ところで、葉脈を観察していると、いくつかの特徴的なパターンに気付くでしょう。最も多く目にするのは、中央の太い筋から左右に筋が枝分かれし、さらに網の目のように細かく広がる形です(写真①)。木でも草でも同じようなパターンが見つかります。細長い葉によく見られるのが、根元から葉先まで同じ太さの葉脈が平行に伸びる形です(写真②)。また、イチョウなど一部の植物では、放射状の葉脈が所々で2つに分かれためずらしい形をしたものもあります(写真③)
1. 硬質カードケース(A5サイズ程度) 1枚
2. プッシュライト(押すと点灯する平べったい電池式照明器具) 1個
3. 半透明の食品保存容器 1個
※プッシュライトが入る大きさのもの
4. スマートフォンまたはデジタルカメラ
5. 植物の葉
実験で使用した材料の詳細
・カードケース 大創産業 硬質カードケース A5
・プッシュライト 大創産業 3LEDプッシュライトミニ
・食品保存容器 大創産業 グッドパック 1450ml 角
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
カードケースに観察する葉をはさみます。
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2
食品保存容器に プッシュライトを入れ、点灯してふたを閉めます。
簡易なライトボックスのできあがりです。 -
3
葉を入れたカードケースをライトボックスの上に置きます。
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4
スマートフォンやデジタルカメラで葉を撮影します。
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5
葉の写真を拡大して観察します。
実験を成功させるコツとヒント
・観察する場所を真っ暗にする必要はありませんが、少し暗めの方が葉脈がよく見えます。晴天の屋外のように明るい場所ではライトボックスの効果があらわれず、普通の写真になってしまいます。
・カメラの自動露出機能で撮影すると、葉の形状によっては全体が暗くなって葉脈がよく見えない場合があります。葉がきれいに写るように露出を調整してください。
人の血管にそっくり! 葉脈は水と養分を運ぶ大切な器官です
葉脈の中で最も一般的な網状脈は、人の血管に構造がそっくりです。
実際に、そのはたらきもよく似ています。葉脈は水を運ぶ道管(どうかん)と、養分を運ぶ師管(しかん)が合わさったものです。根から吸い上げた水は道管を通って葉のすみずみに送られます。葉の葉緑体はその水を使って光合成を行います。光合成でつくられたデンプンは師管を通って植物全体に送られ、養分として使われたり、貯蔵されたりします。葉脈はただの飾りではなく、植物にとってなくてはならない器官なのです。
葉脈の形と植物の種類には、どんな関係があるのでしょう?
木や草のように種子でふえる植物は、種子になる部分がむき出しの「裸子(らし)植物」と子房(しぼう)でおおわれている「被子(ひし)植物」にわけられます。さらに被子植物は、種子の中に準備されている葉(子葉)が1枚の「単子葉植物」と2枚の「双子葉植物」にわけられます。
これらの植物の分類と葉脈の形は一部例外もありますが、おおむね対応しています。双子葉植物の葉は網状脈、単子葉植物は平行脈、裸子植物は二又脈です。植物は裸子植物から被子植物へ進化し、さらに被子植物の中でも双子葉植物が大きく繁栄しました。葉脈の形の違いは、この植物の進化と大きく関わっているのです。
二又脈は葉の端で葉脈が切れていますが、網状脈と平行脈はつながっています。また網状脈は他の形と比べて複雑な構造です。葉脈が端で終わるよりつながって循環する方がムダがなく、さらに細かいネットワークになっている方が効率よく水や養分を運べます。そのため、被子植物の中でも網状脈を持つ双子葉植物が繁栄したと考えられています。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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