なんでだろう?
密封したポリ袋の中で湿度が上昇した謎を解く!
そうなんだ!
水分を含むと紙のせんいが伸びて変形することを利用して、簡単な湿度センサーを作りました。ポリ袋にその簡易湿度センサーを入れて密封し、湿度の高い場所に置きます。するとセンサーが反応して、ポリ袋の中の湿度も高くなったことを示しました。水を入れてももれないポリ袋なのに、どうして密封した袋の中の湿度が上昇したのでしょう?
謎を解くカギは、ポリ袋の材質にあります。ポリ袋はポリエチレンという物質を薄いフィルム状にして作ります。ポリエチレンは、炭素と水素からなるエチレンの分子が多数結合し、網目のようになったものです。このような構造の物質を高分子化合物といいます。
液体の水分子はくっつき合って大きなかたまりになる性質がありますが、気体の水分子は基本的にバラバラです。単独の水分子はポリエチレンの網目より小さく、比較的容易に通り抜けることができるので、密封していてもポリ袋内に浸入できたのです。分子の網目が細かく水分子が通れないガラスの容器で実験すると、センサーは反応しません。
1. トレーシングペーパー
2. クレヨン
3. 割りばし 2本
4. ポリ袋(透明容器に入る大きさ) 1枚
5. 輪ゴム 1本
6. 透明容器 1個
7. ふきん
8. 密閉できるガラス容器 1個
・はさみ
・セロハンテープ
・水
実験で使用した材料の詳細
・トレーシングペーパー 協和紙工 トレーシングペーパー A4
・クレヨン 大創産業 六角オイルクレヨン18色
・ポリ袋 大創産業 キッチン用保存袋(Sサイズ)透明
・透明容器 大創産業 飼育容器(中)
・ふきん 日本箸 使い切りカウンタークロス グリーン
・ガラス容器 大創産業 スチールキャップガラスポット 約250ml(丸)
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
トレーシングペーパーを4cm角に切り、 片面にクレヨンをまんべんなく塗ります。
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2
①のクレヨンを塗った面を上にして手にのせ、曲がる方向を確かめます。
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3
図のように、紙の曲がる方向にそって1cm幅に切り分けます。
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4
2本の割りばしを図のように切り、③のクレヨンを塗っている面を外側にして2枚ずつセロハンテープで固定すれば、簡易湿度センサーの完成です。
※息を吹きかけて加湿すると湿度センサーの先が開くことを確認します。 -
5
ポリ袋に湿度センサーを1本入れ、袋の口を割りばしと一緒に輪ゴムでしばって密封します。
※息でふくらませないでポリ袋に十分空気を入れ、空気がもれないようにきつくしばってください。 -
6
透明容器をふせた状態でポリ袋が宙に浮くように底にテープで貼り付けます。
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7
水で湿らせたふきんを平らな場所にしき、⑥を置きます。
湿度センサーの変化を観察します。 -
8
ガラス容器のふたの裏にもう1本の湿度センサーをテープで貼り、密閉します。ガラス容器をふきんの上に置いて透明容器をかぶせ、ポリ袋と比べます。
実験を成功させるコツとヒント
・「簡易湿度センサー」は湿度の上昇を検知するものなので、もともと湿度の高い条件ではほとんど反応しません。雨の日や加湿した部屋での実験は避けてください。
・センサーはくり返し使用できますが、製作してから時間が経過すると正しくはたらかなくなることがあります。その場合は新しく作り直してください。
・ポリ袋は透明なものを使ってください。不透明なポリ袋には水蒸気を通しにくい製品があります。
ポリ袋は意外にスカスカ?
いろいろ通り抜けてしまいます。
においの強いものをポリ袋に入れ、密封したはずなのに冷蔵庫や部屋がくさくなったという経験はありませんか。気体の水分子が通り抜けることからわかる通り、ポリエチレン分子のつくる網目は結構粗いのです。そのため、空気中を漂うにおいの分子も多くが通り抜けてしまいます。
また、液体の水も、蒸発して気体分子になってごくわずかですがポリ袋を通り抜けています。ポリ袋は手軽で便利ですが、過信は禁物。
特性を理解して上手に使いましょう。
ポリエチレンは何から、どのようにつくられるの?
ポリ袋以外にもマヨネーズの容器やポリバケツなど、ポリエチレンは暮らしのあらゆるシーンで使われています。安価に製造できるうえ、加工するのも簡単なので、現代社会には欠かせない素材です。
ポリエチレンのおおもとの原料は石油です。採掘された原油は精製工場で重油やガソリンなどの成分に分けられ、その中のナフサという成分をさらに分解すると、エチレンなどの各種のガスができます。気体であるエチレンに高温高圧をかけたり触媒を加えたりすると、分子同士が手をつないで細長くつながり、ポリエチレンに変身します。
ポリエチレンには、製造方法によっていくつかの種類があります。ポリ袋などに使われるものは分子が途中で枝分かれしており、透明で薄くのばしやすいのですが粗い網目状になります。一方、枝分かれの少ない分子のものは、すき間なく詰まるので固く密度の高い製品になります。ポリ袋でも、不透明で薄く(0.01mm程度)丈夫な種類は密度の高いポリエチレンが使われており、水分子をほとんど通しません。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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