試してフシギ

トランジスタ水でつながる明かりの回路(No.225)

水でつながる明かりの回路 水でつながる明かりの回路

実験監修:東海大学特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

小さなカップを水に浮かべるとLEDが光りました。

そうなんだ!

プラスチックのカップにLEDを使った簡単な電子回路が入っています。カップの回路から出ている2本のリード線を水につけるとLEDが光ります。また、リード線にぬれたティッシュペーパーをあてたり、人間の手で触れたりしても光ります。普通の水や人体はわずかに電気を通しますが、本来LEDを点灯させるほどの電流は流れません。それなのに、どうしてLEDが光ったのでしょう?
実は、カップの中の回路にヒミツがあります。LEDに接続されているのは、トランジスタという電子部品。小さな電流を増幅するはたらきがあるので、水や人体を流れるわずかな電流でもLEDを点灯できたのです。この実験で使った型のトランジスタでは、約100倍の増幅能力があります。

1. トランジスタ 2SC1815型 1個
2. LED 1個
3. 3Vコイン型電池 1個
4. 銅線 40cm
5. 虫ゴム 3.5cm
6. プラスチックのミニカップ
(ふたつき、直径約4.5cm) 1個
7. マスキングテープ
・定規
・ニッパー
・はさみ
・容器に入れた水

実験で使用した材料の詳細

・トランジスタ 東芝 2SC1815-GR(F)
・LED LED PARADISE 5φ赤色LED、5φ青色LED、5φ白色LED、5φ黄色LED、5φ緑色LED、5φアイスブルーLED(各10本セット)
・3Vコイン型電池 maxell マンガンリチウム電池 CR2016
・銅線 ダイドーハント 銅線0.3ミリ×15メートル
・虫ゴム 大創産業 自転車修理用虫ゴム
・プラスチックのミニカップ 大創産業 プチカップ(小)8個入
・マスキングテープ 日東工業 塗装用マスキングテープ(幅18mm)

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    銅線と虫ゴムを表示の長さに切り分けます。

  • 2

    部品を接続して回路を組みます。
    ※トランジスタの平らな面を上に、LEDの長い足を左にして置いてください。
    ※回路のテスト:2本の銅線の先に手で触れてLEDが光れば、回路は正しく接続されています。

  • 3

    電池のマイナス極を上にしてカップの底に置き、他の部品を収めて2本の銅線をカップから引き出します。

  • 4

    カップにふたをします。
    銅線をマスキングテープでカップの側面に固定します。

  • 5

    銅線をカップの底面に沿わせて折り曲げたら完成です。
    水を入れた容器に浮かべるとLEDが点灯します。

実験を成功させるコツとヒント

・銅線の代わりにエナメル線でも工作できますが、部品に接続する部分の皮膜を紙やすりで完全にはがしてください。また、虫ゴムの代わりに網戸用の「網押さえゴム」も利用できます。
・コイン型電池は側面がプラス極になっているので、マイナス極につないだ銅線が接触しないように注意してください。
・手順2の回路テストでLEDが光るのに、カップに収めると正常に作動しない場合は、カップの中で回路がショートしている可能性があります。銅線や部品の足が他と接触していないかチェックし、触れている箇所があればマスキングテープで絶縁してください。

トランジスタが開いたコンピューター時代

小さくて地味な部品ですが、トランジスタは現代社会を支えているといっても過言ではありません。トランジスタが発明されるまで、電子機器には真空管という部品が使われていました。ガラス製の真空管は大きく、大量の電力を消費します。真空管でつくられた20世紀半ばのコンピューターは、家ほどの大きさだったといいます。トランジスタの誕生により、電子機器は一気に小型化されます。
その後、トランジスタを含む回路をひとつの部品に組み込んだIC(集積回路)や、ICをさらに高密度にしたLSIが開発され、コンピューターをはじめとするあらゆる分野で使われています。

もう一つのトランジスタのはたらき

トランジスタには二つの重要なはたらきがあり、今回の工作は、そのうちの増幅機能を利用したものです。連続して変化する電気信号を大きくすることができるので、空中の微弱な電波から取り出した信号の増幅や、録音された音の信号を増幅するのに利用され、アナログ時代に大活躍しました。
もう一つのトランジスタのはたらきは、増幅機能を応用したスイッチ機能です。電気信号の変化を「流れている」と「流れてない」の二つの状態として感知し、スイッチを「入」「切」に切り替えます。一見、単純なはたらきに見えますが、スイッチこそがデジタルとコンピューターの根本。コンピューターはすべてのデータを「1」と「0」のデジタル信号で扱うので、トランジスタのスイッチ機能を利用すると非常に都合が良いのです。機械的なスイッチに比べて高速で動き、耐久性にも優れたトランジスタの登場でコンピューター時代の幕が上がりました。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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