試してフシギ

無重量泡の宇宙遊泳(No.218)

泡の宇宙遊泳 泡の宇宙遊泳

実験監修:東海大学特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

水を入れて放り上げたボトルの中にきれいな球形の空間が現れました。

そうなんだ!

ボトルの水は普通どんな向きにしても、水面は地面に対して水平になります。ところが、ボトルを落下(放物運動)させると、落下中は水のまん中に球形の空間ができます。実はこのボトル、無重力の宇宙空間と同じ状態だといったら、信じられますか? 正確には、落下しているボトルの中では見かけ上、重力の効果が打ち消され、重力のないのと同じ状態(無重量)になっているのです。無重力や無重量の空間ではものの重さが「ゼロ」になるので、重力のある地上とは異なる現象が起こります。たとえば、空中に浮いている液体は、表面張力によって球形になろうとします。同様に液体中の気体の泡も表面張力で球形になります。ボトルの中で泡が丸くなったのは、そこが無重量状態である証拠です。

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    透明な容器に容量の約9割まで水を入れ、ふたをしっかり閉めます。

  • 2

    容器を真上に投げて、落ちるときの空気の形を観察しましょう。

実験を成功させるコツとヒント

・容器を大きくすると泡を観察しやすくなりますが、きれいな球形にはなりにくくなります。
・シロップや油など、水より粘度の高い液体を入れると、きれいな球形ができやすくなります。ただし、細かい気泡が発生するので、連続した実験には向きません。
・なるべく容器が回転しないように投げ上げてください。

ゴムでつるしたオモリと 木の枠を同時に放すと落ちるのは どちらが先?

重たいオモリが先?それとも、重さに関係なく同時?正解は、枠が先です。十分な高さから落下させると、途中で枠がオモリを追い越していきます。
理由を考えてみましょう。落下中の物体は重力の影響を受けない無重量状態です。そのため、重さ(質量)は落下速度に関係しません。ところが、オモリは最初ゴムにつるされていました。落下が始まると、ゴムの縮む力がオモリには上向きに、枠には下向きにはたらき、落下速度が変化して追い越されたのです。

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    4本の割りばしを四角に組み、角に輪ゴムをかけて固定します。

  • 2

    輪ゴムを3個結び、ガムテープで単1形乾電池とつなぎます。
    枠とは別の割りばしに輪ゴムをかけて電池をつるします。

  • 3

    電池をつるした割りばしを枠にのせ、枠を持った両手を同時に放して落下させます。

    ※下にクッションなどを敷いてください。

実験を成功させるコツとヒント

・容器を大きくすると泡を観察しやすくなりますが、きれいな球形にはなりにくくなります。
・シロップや油など、水より粘度の高い液体を入れると、きれいな球形ができやすくなります。ただし、細かい気泡が発生するので、連続した実験には向きません。
・なるべく容器が回転しないように投げ上げてください。

無重力と無重量はどう違うの?

無重力と無重量はよく似た言葉ですが、厳密にいうと違いがあります。無重力とは、「重力がない」ということです。重力の影響を受けないので重さもありません。ただし本当に無重力なのは、重力を生み出すあらゆる天体から遠く離れた宇宙空間だけです。一方、無重量は「重量がない」、つまり重さを感じないということです。重力の影響があってもそれを何らかの方法で打ち消して、見かけ上、無重力と同じ重さがない状態になっているのです。無重力も無重量も結果的には同じ状態なので、普通は同じ意味で使われています。
自由落下しているものの中では重力の影響が打ち消され、無重力と同じ状態になるのではないか、と最初に考えたのはアルベルト・アインシュタインです。アインシュタインはこのことから、有名な一般相対性理論を導き出しました。

重さがない空間で起こる不思議な現象

ものが空中に浮かんだり、液体や液体中の気体が球形になったりと、無重量状態では地上ではありえない現象が起こります。ものの浮き沈みがないのも、そのひとつです。重さがないので、比重の異なる水と油も簡単に混じり合って分離しません。また、液体や気体を加熱しても対流が起こりません。火をつけたロウソクは、対流による空気の流れができないので、丸い形の炎で燃え続けます。
これらの現象を利用すると、地上ではつくれない物質を製造することや、はるかに高品質な素材を開発することができます。そのため、国際宇宙ステーションなどを使って、無重量環境での研究がさかんに行われています。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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