試してフシギ

毛細管現象水のみで動いています(No.216)

水のみで動いています 水のみで動いています

実験監修:東海大学特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

周期的に頭を上下させる「水飲み鳥」。どうして動いているのでしょう?

そうなんだ!

なつかしい「水飲み鳥」を身近な材料で作りました。おもちゃとして売られている水飲み鳥に用いられる薬品(揮発性溶剤)は使いません。電気などの動力も一切使っていないのに、コップの水を飲んでは起き上がる動作を、ほぼ一定の間隔で繰り返します。実は、この水飲み鳥を動かしているのは、「水」です。胴体のストローに詰めたティッシュペーパーの毛細管現象を利用しているのです。
毛細管現象は、細い管の中で液体が吸い上げられる現象で、紙や布の繊維のすき間でも起こります。コップの水面からくちばし側のティッシュペーパーによって吸い上げられた水は、毛細管現象でしっぽ側まで達し、一滴ずつタレビンに落下します。タレビンに水がたまって重くなると、しっぽが下がって頭をもたげます。すると、タレビンにたまった水が小皿にこぼれるのでしっぽが軽くなり、再び頭を下げてくちばしでコップの水を吸い上げる… という動作を繰り返します。

1 竹ぐし(18cm) 1本
2. ストロー(直径6mm) 2本
3. ティッシュペーパー 1枚
※2枚重ねのものを1枚にはがす。
4. 洗濯ばさみ 2個
5. つまようじ 1本
6. 角形の大きめのタレビン 1個
7. ヘアゴム(髪留め用輪ゴム 直径5.5cm)
8. コップ(高さ8cmくらい) 1個
9. 受け皿 1枚
・カッターナイフ
・セロハンテープ
・定規
・画びょう
・水

実験で使用した材料の詳細

・竹ぐし 大創産業 あじわい竹串18cm 150本入
・ストロー 大創産業 曲がるカラーストロー(6mm×210mm)
・洗濯ばさみ 大創産業 カラーピンチ(40個入)
・つまようじ WATARU TRADING お徳用つま楊枝(65mm 約620本入り)
・タレビン ナカヤ科学産業 タレビン角(小4個・中4個・大3個)中を使用
・へアゴム 大創産業 リングゴム 標準サイズM(2P黒)
・コップ 東洋佐々木ガラス シャトラン オンザロック(6個セット)
・受け皿 大創産業 ニューボーン丸皿約10cm

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    1枚のティッシュペーパーを半分に切り、竹ぐしを芯にして巻きます。

  • 2

    16cmに切ったストローに①を通し、竹ぐしだけ抜き取ります。

  • 3

    3cmに切ったストローと②を図のように二重にしたヘアゴムで固定します。

  • 4

    7.5cmに切ったストローを2本用意し、端から5mmに画びょうで穴をあけます。洗濯ばさみではさんで垂直に立てます。

  • 5

    ③の短いストローと④のストローの穴につまようじを通して胴体と脚を組み立てます。

  • 6

    タレビンを図のように切って加工し、セロハンテープで長いストローのしっぽ側に固定します。

  • 7

    胴体のティッシュペーパー全体に水を含ませてから、ゴムで固定した胴体を前後に動かして、頭部がしっぽより少し低くなるようにバランスを調整します。

  • 8

    コップに水をいっぱいに入れ、図のように受け皿と水飲み鳥をセットします。

    ※高さが合わない場合は、コップや水飲み鳥の下に台を置いて調節してください。

実験を成功させるコツとヒント

・ティッシュペーパーはストローにきつく詰めすぎないようにしてください。
・胴体と回転軸を固定するのは輪ゴムでも可能ですが、ストローをつぶさないように、ゴムの掛け方に注意してください。
・バランスの調整は、胴体のティッシュペーパー全体が完全に水を含んでから行ってください。
・ティッシュが吸い上げた水は重力によって落下するので、必ず頭をしっぽより高くしてください。
・回転軸をゴムで留める位置を調節すると、水を飲む周期が変わります。前寄りにすると速く、後ろ寄りにすると遅くなります。

服が濡れるのも、筆やペンで書けるのも毛細管現象です

ティッシュペーパーが水を吸い上げるように、紙や布の繊維は毛細管現象を起こしやすいので、身の回りには数多くの事例が見つかります。たとえば雨や汗で服が濡れるのも、染料で布がカラフルに染まるのもその一例です。また、万年筆をはじめ、フェルトペンや筆が使えるのも毛細管現象のおかげ。インクやスミをペンや筆に吸い上げるだけでなく、字や絵として紙の繊維にしみ込ませて定着させるときにも、毛細管現象が起きています。

昔なつかしい「おもちゃの水飲み鳥」はなぜ動く?

実験で作った水飲み鳥は毛細管現象を利用したものですが、市販の水飲み鳥は別の原理で動きます。揮発性の液体の状態変化(気化・液化)と、水の気化熱が動力源です。水飲み鳥の胴体は両端がふくらんだフラスコのような形をしており、回転軸で脚部に取り付けられています。胴体には揮発性の強い溶剤が密封されており、管を通って頭部と腹部を行き来できます。頭部はフェルトでおおわれています。
おもちゃの水飲み鳥は、最初は体を起こした姿勢になるようにバランス調整されているので、腹部には液体の溶剤が、頭部には気化した溶剤が入っています。頭部を水で濡らすとフェルトにしみた水が蒸発して気化熱が奪われ、頭部が冷やされます。気体の温度が下がると液体に戻り、頭部の圧力が下がります。その結果、腹部の液体が頭部に吸い上げられます。頭部に液体がたまって重くなると、おじぎをしてくちばしを水につけます。頭が下がって胴体が水平に近くなるので、頭部の液体は管を通って腹部に戻ります。すると、腹部が重くなるので最初の姿勢に戻ります。あとは、この動きのくり返しです。
結構複雑なしくみですね。かわいい外見からは動く原理がまるで想像できないので、昭和40年代を中心に、不思議な科学玩具として人気を集めました。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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