なんでだろう?
ノズルから吹き出す水蒸気にマッチを近づけると火がつきました。
そうなんだ!
マッチの発火する温度は、約150℃〜200℃といわれています。一方、水を沸騰させて気体になった水蒸気は、1気圧では100℃を超えることはありません。それではなぜ、水蒸気でマッチに火がついたのでしょう? 実は、アルミのついたての向こうにロウソクを置いて、水蒸気が通るノズルを加熱しているのです。液体の水は100℃になると沸騰して、加熱してもそれ以上温度が上がりません。しかし、気体になった水(水蒸気)に熱を加えると、さらに温度を上げることが可能です。100℃以上の水蒸気を過熱水蒸気といい、普通の水蒸気と異なる性質を利用して、さまざまな分野での活用が期待されています。
1. アルミのボトル缶(350mLくらいの容量) 1本
2. 画びょう 1個
3. 化粧品用スポイト(注射器型)の針 1本
4. コンロパネル
5. アルミテープ
6. ロウソク 4本
7. カセットコンロ
8. 焼き網
9. 点火用ライター
10. マッチ
・接着剤・はさみ
・水・高さ調節用の皿など
・灰皿などのマッチのかす入れ
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実験で使用した材料の詳細
・ボトル缶 キリン ファイア挽きたて極微糖260gボトル缶(塗装をはがして使用)
・画びょう ミツヤ ハイタック画鋲 φ11mm針長7mm 約90本入
・注射器 大創産業 化粧品用スポイド 20ml
・コンロパネル 大創産業 天ぷらパネル(サイズ約 横76 cm×縦32cm)
・アルミテープ 大創産業 キッチンアルミテープ(幅7cm×長さ3m)
・ロウソク 大創産業 高級ローソク 3号14本入
・カセットコンロ 藤波タオルサービス カセットコンロ ポータブルキッチンミニ2.1kw
・焼き網 大創産業 やきあみ 卓上ミニコンロ用 15cm角型
・点火用ライター 大創産業 着火ライター Slim Grip Lighter
・マッチ 兼松日産農林株式会社 BEST SAFETY MATCH
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
ボトル缶のふたと缶の側面の図の位置に画びょうで穴を開けます。
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2
ふたの穴にスポイトの針を通し、接着剤ですき間をふさぎます。
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3
コンロパネルを切って図のようなついたてをつくります。
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4
③にロウソク4本をアルミテープで固定し、ロウソクの上端から約2cm上に画びょうで穴を開けます。
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5
缶に水を約50mL入れ、ふたをしっかり閉めます。
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6
カセットコンロに焼き網をのせ、その上に、缶に開けた穴が真上になるようにボトル缶を置きます。ついたての穴と針の位置がそろうように高さを調節します。
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7
カセットコンロに点火し、水が沸騰して針先から湯気が出てきたら弱火にします。
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8
ロウソクにライターで点火して針を加熱します。
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9
湯気が透明になったら、針先にマッチの頭を近づけてみましょう。
※透明な水蒸気は非常に高温です。針先には指など近づけないでください。
実験を成功させるコツとヒント
・コンロのサイズが大きく、缶を置いたときに不安定に感じる場合は、容量の大きい(500mL程度)ボトル缶を使用してください。
・水蒸気の勢いが強いと、マッチの頭薬が発火しても吹き消されることがあります。頭薬が発火しかけたら、ノズルの先から少し遠ざけるようにすると火がつきやすくなります。
・しばらく水蒸気を当てても着火しなかったマッチは、頭薬が湿っています。実験し直すときは、乾いた新しいマッチを使ってください。
・ロウソクの炎は、芯の近くよりも上の方が高温です。炎の上部がノズルに当たるように高さを調節してください。
・透明な過熱水蒸気を確認するには、金属のスプーンを使います。スプーンをノズルの先に当てて水滴がつけば、過熱水蒸気が出ています。非常に高温なので、絶対に手を近づけないでください。
水で焼く!? 過熱水蒸気の性質をおいしく利用
過熱水蒸気は、普通の水蒸気(飽和水蒸気)とは異なる性質を持つ気体です。液体の水滴を含まず、300℃以上の高温にすることも可能です。温度が高い分、飽和水蒸気よりも多くの熱エネルギーを持つので、高圧の過熱水蒸気は従来からタービンなどの動力用に利用されてきました。近年では、常圧(1気圧)の過熱水蒸気が食品加工の分野で注目されています。食品の表面にきれいな焦げ目をつけたり、空気を遮断した加熱で油やビタミンの酸化をおさえた調理が得意です。
![](/resource/img/library/no214/know01.gif)
白い湯気と透明な加熱水蒸気の違いに注目しましょう
水を沸騰させて、ノズルから最初に出てくるのは白い湯気です。それをロウソクで熱して過熱水蒸気にすると、透明になります。湯気と過熱水蒸気はどこが違うのでしょう? 沸騰した100℃の水からは、水蒸気(気体)がさかんに発生します。実は、水蒸気そのものはどんな状態でも透明です。ところが、空気中に存在できる水蒸気の量(飽和水蒸気量)は温度が低いと小さくなるので、空気で冷やされて100℃より温度が下がると、飽和水蒸気量を超えた部分は液体の水に戻ります。これが湯気の正体です。細かい水粒は光を乱反射するので、白く見えます。雲や霧と同じですね。 一方、水蒸気を熱して過熱水蒸気に変化させて吹き出すと、空気中に出てもすぐには100℃以下になりません。その後冷えても、水蒸気は薄まって飽和水蒸気量を下回るので、液体に戻らず透明なままです。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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