なんでだろう?
野菜や果物の密度を塩と水で簡単に測れるって信じられますか?
そうなんだ!
いろいろな野菜や果物の密度(単位体積あたりの質量)を比べてみましょう。とはいえ、形や大きさが違うものを同じ体積にして比べるのは難しそうですね。そこで登場するのが水と塩。水に塩を溶かすと、塩の量が増えるにつれて塩水の密度が高くなります。密度を比べたい野菜や果物を水に沈めます。ほとんどの野菜や果物は水より密度が高い(重い)ため、水に沈みます。水に少しずつ塩を溶かしていくと、塩水よりも密度が低く(軽く)なったものが浮きあがってきます。このときの塩水1cm3の重さが、浮いたものの密度に近い値です。
1. 水に沈む野菜や果物(ニンジン、ジャガイモ、サツマイモ、レンコン、ブドウ、キウイフルーツなど)
2. 水槽などの容器
3. 計量カップ
4. 計量スプーン
5. 塩(水1Lあたり200g)
・包丁
・まな板
・水
・はかり
実験で使用した材料の詳細
・野菜、果物 洋人参、メークイン、サツマイモ、レンコン、巨峰、キウイフルーツ
・容器 大創産業 飼育容器(中)
・計量カップ 大創産業 計量カップ(容量250mL)
・計量スプーン ローソンストアー100 計量スプーン3P
・塩 ジャパンソルト 塩1kg
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
野菜や果物の密度の順序を低い方から予想しましょう。
大きな材料は容器に入れやすい大きさに切っておきます。 -
2
容器に水を入れ、材料を沈めます。
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3
容器の水を計量カップですくい取り、大さじ1杯分の塩を入れて
溶かします。塩がよく溶けたら、全体に混ざるように容器に戻します。
この作業を繰り返します。 -
4
材料が浮いたら取り出します。
このときの塩水の密度が、浮いた材料の密度に近い値になります。
塩水100mLの重さを量って材料の密度を求めます。
密度(塩水1cm3の重さ)=塩水100mLの重さ÷100
すべての材料が浮くまで③④を繰り返します。
密度が低い順に浮きます。※紹介している動画では、ニンジン、キウイ、サツマイモ、ジャガイモの順に浮き、ブドウとレンコンが最後に同時に浮きました。
実験を成功させるコツとヒント
・野菜や果物は、季節や品種、保存状態などによって、同じ種類でも密度が変わります。また、乾燥によって密度が変化する可能性があるので、なるべく新鮮なものを使ってください。
・塩を材料を入れた容器で直接溶かすと、溶け残りや濃度のムラができやすくなります。必ず、別の容器で水をすくい取って塩を溶かし、もとの容器に戻すようにしてください。
・砂糖でも同じように実験できます。ただし、砂糖水を塩水と同じ密度にするためには、塩の約2倍の砂糖を溶かす必要があります。
泳げなくても沈まない不思議な湖「死海」
波の影響を考えなければ、プールよりも海の方が少し浮きやすく感じるでしょう。海水には1Lあたり約35gの塩分が溶けているので、真水より密度が高くなるからです。それでは、もっと濃い塩水で泳いだらどうなるでしょう? 中東のイスラエルとヨルダンの間にある死海は、一般的な海水の7~8倍の塩分が溶けているといわれています。実験で用意した塩(水1Lあたり200g)を全部溶かしたものよりも多い割合です。そのため湖水の密度が非常に大きく、真水や海水には沈むものが、ぷかぷか浮かびます。死海では、湖に浮かびながら、本や新聞を読むこともできますよ。
塩水で米の収穫量をアップさせる!?
塩水が真水より密度が高くなることを利用した、農作物の収穫量を増やす技術があります。もみにおおわれたイネやムギなどの種子は、外見では種子の状態がよくわかりません。そこで、一定の濃度の塩水を作り、種もみをつけて浮き上がったものを取り除く方法がとられます。塩水に浮き上がった種もみは密度が低く、発芽するときの養分が少ないと推測されるからです。残った種もみをまくと発芽率が高まり、その後の生育も良くなります。 この技術は塩水選(えんすいせん)とよばれ、明治時代初期に農学者の横井時敬によって考案されました。それ以前から、種もみを水につけて選別する方法は知られていましたが、塩水を使うことでより密度の高い良質の種もみが選べるようになり、収穫量が大きく伸びたといわれています。横井時敬は、後に東京農業大学の初代学長になりました。
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