試してフシギ

滑車の原理ロープ1本で自分を持ち上げる(No.207)

ロープ1本で自分を持ち上げる ロープ1本で自分を持ち上げる

実験監修:東海大学特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

あなたの体重はどれくらいですか? 自分と同じ重さのものを持ち上げるのは、なかなか難しそうです。ところが、少し工夫するだけで、鉄棒にかけたロープを引っぱって、自分を持ち上げることができちゃいます。いったい、どうやっているのでしょう?

そうなんだ!

自分を持ち上げられたのは、ロープのかけ方にヒミツがあります。1本のロープを二重にかけて体をつるし、自分でロープの端を持っています(図)。このとき、体は4本のロープでぶら下がっているので、1本のロープには体重の1/4の重さしかかかりません。つまり、体重の1/4を持ち上げる力でロープを引っぱれば、体全体が持ち上がるというわけです。これは、滑車を組み合わせて物をつり上げるしくみと同じです。鉄棒が定滑車、ロープの輪が動滑車の役割をしています。

1. ロープ(太さ6mm以上) 5m
2. 水道ホース 0.5m
3. スプリングフック
(ロープの連結などに使う金具) 1個
4. 滑り止め付き軍手 1組
・高さ1m〜1.3m程度の鉄棒

実験で使用した材料の詳細

・ロープ 大創産業 黄混ロープ 太さ約6mm
・ホース 大創産業 水道ホース内径15mm
・スプリングフック コーナン商事 PRO-ACT スプリングフック 9mm(使用荷重:約95kg)
・滑り止め付き軍手 おたふく手袋 こどもてぶくろ 綿100%ボツ付 Sサイズ

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    ロープの端にホースを通し、「もやい結び」で直径1m程度の輪をつくります。

    <もやい結び>
    結びたい位置に小さい輪をつくり、ロープの先を順番に矢印のようにくぐらせます。

  • 2

    輪の端から90cmのところに滑り止めの結び目をつくります。さらに、そこから25cm間隔で合計4つの結び目をつくります。

  • 3

    軍手をはめて輪の中に体を入れ、鉄棒にロープをかけます。

  • 4

    ※スプリングフックはロープの摩擦を減らすために使っています。

  • 5

    ホースをおしりの位置にあわせてロープを引っぱると、体が持ち上がります。

    ※バランスを崩して鉄棒の支柱や地面で頭を打たないように注意してください。

実験を成功させるコツとヒント

・ロープで輪をつくるときは、必ず「もやい結び」を使ってください。もやい結びは比較的簡単に結べて、輪がゆるんだり締まったりすることが少ないので、覚えておくとアウトドアなどで便利です。
・スプリングフックを使わなくても実験は可能ですが、ロープの摩擦が大きいので、理論上の値よりかなり大きな力が必要になります。
・ロープを一回かけただけでも、力の強い人なら持ち上げることができます。この場合は、体重の1/2を持ち上げる力が必要です。
・太いロープを使った方が引っぱりやすくなります。また、6mmのロープは、体重30kg程度の子どもを想定した最低限の太さです。大人や、体重の重い人で実験するときは、もっと太いロープを使ってください。

別の人に引っぱってもらったら?

実験では、体重の1/4を持ち上げる力で自分を引き上げることができました。それでは、別の人にロープを引っぱってもらったら、どうなるでしょう? 一見、同じ装置を使うのだから同じ力でいいように思いますが、実は1/3の力が必要です。自分で引っぱるときは4本のロープで体重を支えていましたが、別の人が引っぱると3本のロープで体重を支えます。ちょっぴり余分な力が必要なんですね。

定滑車と動滑車は性格の違う兄弟

固定された滑車を定滑車といい、力の向きだけを変えます。一方、動滑車は荷物といっしょに動き、引っぱる力の2倍の重さを持ち上げることができます。定滑車と動滑車をうまく組み合わせると、複雑なはたらきをさせることも可能です。滑車は古代から使われてきた単純な装置ですが、現代でも工場や建築、運輸などの現場では欠かせない存在です。身の回りで活躍している滑車を探してみましょう。

ロープを引っぱった長さと動いた距離の関係

二重にかけたロープで自分を持ち上げたとき、ロープをたくさん引っぱっても、少ししか体が上がらないことに気付いた人もいるでしょう。きちんと測ると、引っぱったロープの長さは、体が移動した距離の4倍になっています。力は1/4ですみましたが、引っぱる長さは4倍になっていたわけです。物体に加えた力と移動した距離をかけたものは、いつでも一定になるという法則があります。もし、ロープ三重にかけて引っぱると1/6の力で持ち上がりますが、引っぱる距離は6倍になります。

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

NGKサイエンスサイトは日本ガイシが運営しています。ご利用に当たっては、日本ガイシの「プライバシーポリシー」と「ご利用条件•ご注意」をご覧ください。
本サイトのコンテンツ利用に関しては、本サイトお問い合わせ先までご相談ください。

このサイトが気に入ったらシェアしてください

page top