試してフシギ

3Dプリンターの原理手動だけど3Dプリンター(No.205)

手動だけど3Dプリンター 手動だけど3Dプリンター

実験監修:東海大学特任教授 滝川洋二 
※監修者の役職は掲載当時のものです。
企画制作: 日本ガイシ株式会社

なんでだろう?

近ごろ、よく耳にするようになった3D(スリーディー)プリンターとは、三次元データから立体的なものをつくる装置のこと。航空機や自動車など、高度な工業製品の試作品づくりに使われてきましたが、いよいよ身近に普及し始めました。そんな話題の3Dプリンターの原理を、手動で体験できるといったら信じられますか?

そうなんだ!

輪切りにした形を少しずつ積み上げて立体にするのが、3Dプリンターの原理です。実際には三次元データの断面図をもとに、1000分の数ミリずつ積み重ねて立体をつくりあげます。たとえばピラミッド型なら、四角を少しずつ小さくして積むだけ。これなら図面がなくても手動でつくれそうですね。グルーガン(樹脂を溶かす器具)を使って、形を思い描きながら樹脂を積み重ねて立体にしてみましょう。手動だけど、まさに3Dプリンターと同じ原理でしょ?

1. グルーガン(樹脂を溶かす手芸や工作用の器具)
2. グルースティック(グルーガン用の樹脂)
3. オーブン用クッキングシート
・セロハンテープ
・はさみ

実験で使用した材料の詳細

・グルーガン 大創産業 グルーガン(7.5mm用)
・グルースティック 大創産業 グルースティック(太さ7.5mm 24本入)
・クッキングシート 大創産業 ブラウン クッキングシート(6m×25cm)

[実験の注意]

・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。

  • 1

    グルーガンにグルースティックをセットします。
    クッキングシートを適当な長さに切って机の上にセロハンテープでとめます。

    ※グルーガンの取り扱いは製品の取扱説明書に従ってください。

  • 2

    グルーガンのレバーを押して、クッキングシートの上に溶けた樹脂で形を描きます。

    ※グルーガンの先端や溶けた樹脂は熱いので、やけどに注意してください。

  • 3

    樹脂が固まったら、その上に再び溶けた樹脂を重ねていきます。

    ※室温にもよりますが、溶けた樹脂を固めるために1分以上間隔を開けてください。

  • 4

    全体が完全に固まったら、クッキングシートから取りはずし、はさみなどで形を整えてください。

  • 5

    カラーのグルースティックを使ったり、複数のパーツをつくって組み合わせて、自分だけのフィギュアをつくってみましょう。

上級編に挑戦! 手動3Dプリンターでここまでできる

  • 上級編①パーツに分ける

    複雑な形のものは、パーツごとにクッキングシートに下絵を描き、その上に樹脂を積み重ねます。パーツができあがったら、樹脂や接着剤でくっつけて組み立てます。

  • 上級編②型を使う

    塔のように細長いものは、クッキングシートで型をつくり、溶けた樹脂を巻きつけるように積み上げていきます。途中で太さが変わる部分は、パーツに分けてつくります。

実験を成功させるコツとヒント

・グルーガンを一定の速さで動かすと、きれいに仕上がります。まず平面で、均一な太さの線が描けるように練習してから、立体に挑戦するのがよいでしょう。
・描くのを止めるときは、グルーガンを素速く動かして、溶けた樹脂を引き切ります。冷えて固まったら、細く伸びた不要な部分をはさみなどで整えてください。
・最初は、つくりやすい小さめのピラミッド型や円すいを試してみましょう。慣れてきたら、「上級編①パーツに分ける」「上級編②型を使う」を参考に複雑な形に挑戦してください。

3Dプリンターが変えるモノづくりの未来

コンピューターで三次元の設計図さえ描ければ、基本的にどんな形でもつくれるのが3Dプリンターの特徴です。今までは、立体的な形を正確につくるためには、精密な工作機械や金型が必要で、非常に多くの時間や費用がかかっていました。3Dプリンターを使えば、個人でも必要なモノが必要なときに1個から、比較的安くつくれるようになるのです。3Dプリンターの利用はまだ始まったばかり。これから新しいアイデアが形になって、どんどん世の中に出ていくことでしょう。

一家に一台、3Dプリンターの時代も

3Dプリンターは、工場や会社で仕事のために使うだけの装置ではありません。価格やサイズが手頃になってきているので、学校や家庭に普及するのもそんなに先の話ではないと言われています。通信販売などで購入した商品も実際のモノのやりとりは行わず、商品のデータだけが送られて、家庭の3Dプリンターで実物をつくる時代が来るかも知れません。まるで、写真や年賀状を家庭で印刷する感覚ですね。あなたは、どんなモノを3Dプリンターでつくってみたいですか?

NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。

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