なんでだろう?
紙コップに向かって大きな声を出すと、壁に光が描く不思議な形が現れました。波形やらせん形など、連続して変化する図形が次々に描かれます。声の出し方を変えると、それにつれて光の図形も形が変わります。この図形は何を表しているのでしょう?
そうなんだ!
音は空気の振動が波として伝わるものです。レーザーポインターと鏡を使った簡単な仕掛けで、その見えない振動の波を映し出したのが、壁に現れた光の図形の正体です。紙コップに向かって声を出すと、底に張ったポリ袋の鏡が振動してレーザー光を揺らします。手順4で見る光の形は、光の点が振動で揺れてできるもので、大きな音は大きな形に、小さな音は小さな形になります。その光を回転する鏡に反射させることで、揺れる光の点が軌跡を描き、音に応じた波形が現れるのです。大きな声は大きな波形に、小さな声は小さな波形になって映ります。
1. 紙コップ 3個
2. ポリ袋
3. ミラーシート 1cm角
4. 小型のレーザーポインター
5. アルミワイヤー(太さ3mm)60cm
6. 薄型のCDまたはDVDケース(外側に穴の開いているもの)
7. 竹ぐし
8. 小型の鏡
・カッターナイフ
・はさみ
・セロハンテープ
・両面テープ
・本などの台
・壁などのスクリーン
![](/resource/img/library/no204/tool01.jpg)
実験で使用した材料の詳細
・紙コップ 大創産業 ペーパーカップ 54個入(205mL)
・ポリ袋 大創産業 冷凍用ポリ袋(小)
・ミラーシート サンワ カッティングミラーシート 400×300
・レーザーポインター SONIC-JAPAN 超ミニLEDレーザーポインターペン携帯キーホルダー型
・アルミワイヤー 大創産業 アルミ自在ワイヤー 3mmタイプ
・竹ぐし ローソン 竹串15cm
・鏡 大創産業 カラーコンパクトミラー
[実験の注意]
・NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものであり、工作の完成品は市販品と同等、もしくは代用品となるものではないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
・必ず手順を読んでから工作・実験を行ってください。
・器具の取り扱いには十分注意し、けがをしないようにしましょう。
・小学生など低年齢の方が実験を行う場合は、必ず保護者と一緒に行ってください。
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1
紙コップの底をくり抜き、10cm角に切ったポリ袋をセロハンテープでピンと張ります。ミラーシートをポリ袋の中央より少し上に両面テープで貼ります。紙コップを水平に設置できるように、別の紙コップを図のように切って台をつくります。
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2
レーザーポインターを紙コップにセロハンテープで固定します。スイッチをテープで固定して、ずっと点灯するようにします。
※常時点灯モードがある場合は、それを使います。※絶対にレーザー光源を直接見てはいけません。鏡に映った光源も見ないでください。
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3
本などでレーザーポインターの高さを調整し、図のように配置して、ミラーシートで反射した光がスクリーンに映るようにします。
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4
①の紙コップに向かって大きな声を出し、スクリーンに映る光の変化を観察します。
※部屋を暗くしてください。
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5
アルミワイヤーを図のように曲げ、CDまたはDVDケース(穴の開いている方)にセロハンテープで固定します。
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6
鏡の裏面に竹ぐしをセロハンテープで固定し、⑤のワイヤーの輪とケースの穴にセットします。
※3つある穴の1つを利用します。
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7
図のように配置して、ミラーシートと鏡で2回反射した光がスクリーンに映るように調整します。
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8
竹ぐしを回転させながら①の紙コップに向かって大きな声を出し、スクリーンに映る光の形を観察します。
※部屋を暗くしてください。
実験を成功させるコツとヒント
・紙コップの底のポリ袋に貼る鏡は、軽くて加工しやすいミラーシートが最適です。小さく切った鏡が入手できる場合は、鏡でも代用できます。
・ミラーシートは、紙コップの底の中心をはずして貼ってください。中心に貼ると前後の動きだけになるので、スクリーンに映る光の図形が小さくなります。また、ポリ袋の張り加減を少しゆるめると動きが大きくなる場合があります。
・それぞれのパーツを配置する際は、鏡に対して入射光と反射光が同じ角度になることを利用して大まかな位置決めをし、レーザー光を当てながら微調整してください。
・声を出すときは、強弱や高低の変化をつけてください。高い声より低い声の方が大きな変化が現れます。
・回転する鏡は、一定の速度でゆっくり回すのが大きな図形を描くコツです。
「音を見る」ときは3つの要素がチェックポイント
音には強さ、高さ、音色の3つの要素があります。音の強さは、実験で確かめたように波の大きさで表されます。音の高さは波の細かさで表されます。高い音は波が細かく、低い音は波が粗くなります。音色は波の形によって表されます。人間の声や楽器の出す音は、機械的な音に比べて特徴のある複雑な形をしています。音の高さと音色を正確に見るためには、オシロスコープのような専用の装置が必要です。
オシロスコープってどんな装置? 何をするもの?
電気の分野で活躍するオシロスコープは、電気信号が変化する様子を画面に映す測定器です。温度や圧力など、電圧(の変化)に変換して表せる現象なら何でも測れます。音もマイクを通して電気信号に変換されるので、映し出すことができます。オシロスコープは、電圧が変化していく様子をリアルタイムに表示するので、音の波形を見るのにぴったりの装置です。
![](/resource/img/library/no204/know01.gif)
声はウソをつかない!? 声紋(せいもん)の不思議
よく知っている人なら、声を聞いただけで顔を見なくても大体誰かわかります。人間の声は主に声帯の大きさによって違いが生まれますが、骨格や口、鼻などの形によっても影響を受けます。体つきや顔が違うように声の特徴も人によって違うので、誰の声かわかるのです。声の特徴を専用の装置で分析すると、声紋と呼ばれる一人一人異なるパターンが現れます。声紋はカゼをひいた声でも、他人をまねた声でも、正しく判別できます。指紋と同じように、犯罪捜査や個人を識別する目的で使われています。
NGKサイエンスサイトで紹介する実験は、あくまでも家庭で手軽にできる科学実験を目的としたものです。工作の完成品は市販品と同等ではなく、代用品にもならないことを理解したうえで、個人の責任において実験を行ってください。
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